鈴木宣弘東京大学特任教授 JAグリーン近江研修会で講演
【東近江】 「農業の憲法」とされる農業基本法が6月、1999年の制定以来、初めて改正された。最も大きいのは「食糧安全保障の確保」を基本理念に位置づけた点。食料安保を「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ国民一人一人がこれを入手できる状態」と定義した。
「安全保障」の観点から同法を読み解く研修会(JAグリーン近江主催)が6日、東近江市内で開催され、参加者140人は農水省官僚の経歴をもつ鈴木宣弘東京大学特任教授(農業経済学)の講演を熱心に聞き入った。
同法では食料自給率など複数の目標を設定し、達成状況を少なくとも年1回調査するとしている。食糧自給率ではカロリーベースで2022年度が「38%」で、これまで政府が示す目標45%を達成できずにいる。
これについて鈴木特任教授は、野菜のタネや化学肥料の原料(リン、カリウム)、畜産飼料を海外に大きく依存していることから、実質9・2%と見積もり、「計算方法を見直すべきだ」と指摘した。
さらに「種を制する者は世界を制する。1400品種の種が(海外に)取り上げられている。自給率10%あるかないかの日本が独立国といえるのか今こそ問われている」と懸念を示した。
コメの品薄についても、遠因を昨年の猛暑や訪日客増による消費とする政府説明に対して、コメ需要の減少を理由にした畑地化や、厳しい稲作収支の現状(自給換算で10円)から「政策の方向性の問題」と理論のすり替えを批判した。
一方で、「農業者ががんばっていることで関連産業が成り立っている。このままだと運命共同体として沈みかねない。都市と農村のネットワークを大事してほしい。また、(一般の消費者は)地域の農産物を買い支えてほしい」と呼びかけた。
最後に「世界一過保護と誤解され、本当は世界一保護なしで踏ん張ってきたのが日本の農家。そのがんばりで今でも世界10位の農業生産額を達成している。日本の農家はまさに精鋭。誇りと自信をもち、これからも家族と国民を守る決意を新たにしてほしい」と締めくくり、同法の実効性を高めるため関心をもつよう、結集を呼びかけた。







