平松式水力発電機、開発の動き

■平成24年11月24日(土) 第16120号

=高島市の市民グループが平松氏や京大に協力要請へ=

農業用水路に設置された水車(高島市今津町)

◇高島市
 草津市の平松敬司氏は発電機を回す際に生じる磁石の抵抗を大幅に軽減させる“平松式発電機”を発明したが、水車の発電機開発に取り組んでいる高島市の市民グループがこれに着目し、特許を持つ平松氏や同氏発案を解析で裏づけた京都大学などに、水力発電機の技術協力を近く要請する予定だ。合意が得られれば来年にも、わずかな水力で発電できる小型水力発電機の開発が動き出しそうだ。【石川政実】

 小型の発電機として一般に知られているのが、自転車の照明用発電機。図の発電機のように、N極とS極が交互に配された永久磁石を回転することで、鉄片が磁化され、コイルに起電力が生れる仕組みになっている。しかし永久磁石の磁力を強力にすると、磁石が鉄片を吸着しようとする大きな引力が働くことになる。この引力が回転軸に及ぼす力を“コギングトルク”(一種の抵抗力)という。
 このため平松氏は、図のように複数の発電機を同一の回転軸に連結し、鉄片の位置をずらして、“コギングトルク”を減少させる発電機を考え出した。そこで平松氏は昨秋、京都大学の中村武恒准教授に解析を依頼。同准教授がコンピューターで解析したところ、発電機を八台並べると磁力の抵抗が大きく減少することが分かり、茨城県つくば市で今年五月に開かれた春季低温工学・超電導学会に発表した。これを契機に、平松氏の発明は、風力発電や小型水力発電、自動車、自転車などに実用化できるのではと、脚光を浴びている。


平松氏の発明した発電機の回転抵抗を減少させる仕組み

 一方、高島市今津町の市民グループ「淡海地区小水力エネルギー研究会」(前川博彦代表)では、農業用水路に発電用の簡易水車(写真)を設置し、家庭電力の一部をまかなう“地産地消”の試みを行っている。それだけに、わずかな水力でも発電機を回せるとみられる平松式発電機は、まさに“救いの神”に映った。
 このため前川氏らは近く、高島市の副申書(注)や地元の土地改良区の上申書などを添えて、平松氏や解析を行った中村准教授に加えて、中村氏が所属する京都大学に対しても技術協力を要請する予定だ。
 同研究会の前川代表は「水車の発電能力を少しでも良くするために、平松氏や京都大学などに技術協力を要請するもの。来春にも新しい水力発電機が完成するよう取り組んでいきたい」と話した。
 また同市の竹脇義成副市長は「来年度予算に再生可能エネルギー事業を盛り込む方向で現在、検討中だ。平松式水力発電機の動きも、注目している」と述べている。

(注)副申書=官庁が申請書やその他の文書を上級機関に伝達するとき、その文書に対して参考意見を述べること。また、その参考意見。


関連記事

powered by weblio




同日のニュース