泥沼化する野洲市民病院問題(6)

■平成29年8月24日(木) 第17893号

=経営難は不透明な経営のあり方に=

市議選後の住民投票に疑問を呈する山仲善彰・野洲市長

◇野洲
 野洲市の議論を二分している市立野洲市民病院整備問題は、この30日から開会予定の8月定例市議会、さらには10月15日告示の市議選などで正念場を迎える。そこで山仲善彰市長に、新病院の必要性とその背景となる民間の野洲病院が経営難に陥った理由などについて改めて聞いてみた。(石川政実、高山周治)

「理事だった反対派議員こそ責任の総括を」
山仲野洲市長が現・野洲病院を語る


―生田邦夫県議は本紙インタビューで「民間の野洲病院がなぜ経営難になったか総括がされていない」と述べているが。

 生田氏は「病院職員は公立病院のように考え、市が助けてくれると甘えていた」と総括しておられるが、これは的を射ていません。問題は、病院職員ではなく、野洲町(現野洲市)が絡んだ不透明な経営の在り方です。
 町は、1985(昭和60)年度から3年間にわたり毎年3億円、計9億円を民間の野洲病院に貸し付けました。自治体がやってはいけないことです。病院問題が持ち上がった6年前でも、大半が未返済でした。早い段階で債権は焦げ付いていました。
 しかし、町は、さらに98(平成10)年、病院が新館増築等の資金約21億円を金融機関から借り入れる際に補償を議決しています。これも禁じ手です。それ以来、町は、病院に返済資金等として毎年1億数千万円の補助を継続し、その結果が経営難です。また増築時に手術室等がある東館の耐震を行わなかったことも問題です。不思議なことばかりですよ。
 このようなことを病院職員も住民も知らされてなかった。野洲病院の実質的経営者は、ある段階から町長と町議ら5人程度の理事だったと言えます。現在反対している市議のなかにも当時理事だった人たちがいます。経営が悪くなれば公金を入れたらいいという認識と民間の密室性が、経営難の元凶だと思います。いずれにしろ、病院への市民の強い願いの実現が肝心です。

―生田県議は「人口5万人の自治体で市立病院を持つのは厳しく、市民病院が開院して2年目で黒字は無理」と指摘するが。

 約90億円で建設し、年間20数億円の売上げを想定しています。その利益から借金を計画的に返済し、経営は成り立つ見込みです。病床稼働率85%も無理ではありません。
 病院の対象人口と、町の人口は別です。後背地人口で見るべきです。現在でも竜王町や湖南市からの利用があるが、駅前で充実した新病院ができれば、利用圏人口は10万人を超えるでしょう。

―8月市議会冒頭で住民投票を議員提案する動きにあるが。

 冒頭で住民投票が議員発議されたら、制度上、予算をつけざるを得ません。仮に30日に発議され、9月はじめに私が通知すれば、選挙管理委員会は30日から90日以内に実施しなければならない。日程は選挙管理委員会が判断しますが、市議選(10月15日告示、22日投開票)前の実施は、会場や投票用紙、広報の準備などで難しい。
 市議選との同日実施を議会質問で主張している議員もいます。すでに説明済みですが、市条例では在住外国人にも住民投票権がありますが、市議選の投票権がないため同じ会場では無理であり、同日実施は困難です。通常の日程では、市議選後の11月になります。市議選という住民投票よりも高度な住民の意思表明の機会があるのに、その直前か直後に約1700万円を支出してまで実施する必要はあるのでしょうか。

―病院問題を市議選の争点にせず、住民投票で病院問題の賛否を問い、この結果に従うと病院反対派の議員は主張しているが。

 選挙でこそ、候補者は市の重要課題に対し自分の考えを明確に訴えて市民の審判を仰ぐべきで、病院問題はまさにその最たるものです。それを棚上げしては選挙の意味がありません。本末転倒です。

―反対派議員は「公設公営を許さない」とし、8月市議会で同様の病院予算案が提出されれば6度目の否決をする構えだが。

 昨年12月可決の病院設置条例には、病院の場所、診療科、開院時期が定められています。もし今回も否決なら、条例を議決した責任を認識していないことになります。反対派は、6月議会でこの条例を停止する条例案を提案して可決されたものの、再議で否決されています。「公設公営はダメ」というだけで、実現性のある対案はありません。6月議会での病院予算案否決により、条例で定めた開院時期が3か月遅れますが、8月議会でも否決なら先が読めません。新病院を前提に滋賀医大から野洲病院へ16人の医師に来てもらっているが、8月議会の結果や市議選の動向次第では、過去の否決時のようにはいかない恐れもあります。(連載終わり)


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