大戦末期 特攻兵器「桜花」秘密基地

■平成30年7月7日(土) 第18161号

=県平和祈念館で動画を一般初公開=

映像を解説する藤原さん

 【東近江】 旧日本海軍のロケット型特攻兵器「桜花」の比叡山訓練基地(大津市)を終戦後に撮影した動画が、初めて一般公開された。大分県の市民団体「豊の国宇佐市塾」のメンバーが、米国国立公文書館に所蔵されている映像を独自に入手し、県平和祈念館(東近江市下中野町)で上映した。(高山周治)

比叡山頂の発射台生々しく
大分県の市民団体、米国より独自入手


 太平洋戦争末期に開発された「桜花」は、操縦士1人が爆弾もろとも敵艦に体当たりする生還不可能な特攻兵器。長距離飛行できる母機につり下げられ、標的近くの上空で切り離された後、火薬ロケットで推進する。
 総重量2トンの桜花を抱えた母機の動きは鈍く、敵艦に接近する前に多くが母機とともに撃墜された。製造機数は数百機とされる。1945年3月の九州沖航空戦から実戦投入され、55機出撃できたうち、米艦撃沈1隻にとどまる。
 比叡山の訓練基地は、1945年7月下旬に完成した国内唯一の訓練基地。しかし、8月15日に終戦を迎えたため、実際に使用されることはなかった。


琵琶湖方面にせり出した発射台(豊の国宇佐市塾提供)

 訓練機はグライダーを使用。ふもとから高さ700メートルの山頂まで坂本ケーブルで運搬し、発射台から火薬ロケットブースターによる加速で空に放出、3000メートル離れた滋賀海軍航空隊(大津市唐崎)に着陸する計画だった。
 基地の動画は、1945年10月23日、米軍によって撮影された白黒映像。ケーブルで斜面を登るシーンから始まり、延暦寺駅付近から山頂へ続く軌道、琵琶湖方面にせり出す発射台などを生々しく映し出し、講座の参加者は食い入るように見つめていた。
 解説した市民団体「豊の国宇佐市塾」のメンバー、藤原耕さん(45)は「戦争は二度と繰り返してはいけない。戦後70数年経過して分かってきた事実もあるので、関心をもってほしい」と語った。


延暦寺駅付近の軌道(同)
米軍に接収された「桜花」(同)

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