県琵琶湖環境科学研究センターなど

■平成30年7月20日(金) 第18172号

=琵琶湖の水質保全に関する研究が受賞=

受賞した研究の内容を三日月知事(右)に説明する岡本係長ら

 【全県】 県琵琶湖環境科学研究センター(大津市柳ヶ崎)はこのほど、国立環境研究所(茨城県つくば市)と東レテクノ(大津市園山)との共同で行ってきた調査研究と同センターなどが取り組んできた研究に関する論文が、日本水環境学会から表彰されたことを受け、同センター環境監視部門公共用水域係の岡本高弘係長らが県庁を訪れ、三日月大造県知事に受賞の報告を行った。
 今回、2007年から共同研究に取り組んできた「湖沼・河川および発生源における難分解性有機物の標準分析手法の確立」が独創的な水環境に関する調査研究であり、将来を期待されるとして同学会の技術奨励賞を受賞。また、同センターの佐藤祐一氏らによる研究論文「琵琶湖における難分解性有機物の起源:発生源における生分解試験とボックスモデルによる推計」が論文奨励賞(廣瀬賞)を受賞した。
 共同研究の概要は、水質指標の一つであるCOD(化学的酸素要求量)の増加に影響があるとされる有機物に関するもの。CODは、値が高いほど水中の有機物が多く、水質が悪いとされる。COD増加原因の一つに、微生物に分解されにくい「難分解性有機物」の関与が指摘されてきたが、これまでその分析手法は標準化されておらず、一定の成果を上げた水域に用いた手法を他地域へ適用することは困難だった。それに対し、同センターらは定量的に分析する考え方と手法を確立した。
 また、佐藤氏らの論文は、琵琶湖の難分解性有機物がどこから来るのかを論じた内容。これまで、生活排水や工業排水に含まれる有機物が河川から琵琶湖に流入し、CODの数値を上げる最大の要因となっているのではないかと考えられてきたが、研究の成果から、近年では、難分解性有機物は琵琶湖内部で発生する量が多いことが判明した。佐藤氏は「『琵琶湖石けん運動』などの取り組みで、河川から流入する同有機物は減少したのではないかと推察できる。今後の水質保全政策として、これまでと同じ取り組みを維持するだけでなく、新しい試みを行う段階になったのではないか」と分析している。
 報告を受けた三日月知事は「県民がこれまで取り組んできた環境活動が、一定の成果を上げているという科学的分析はうれしい報告だ。この成果を多くの県民に知ってもらいたい」と語った。
 岡本係長は「研究や論文を通じ、琵琶湖の水質保全に一つの方向性を示せた。今後、研究成果をもとにして、生態系全体を力点とした新たな研究や政策が進められていけば」と期待している。


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