新生県立美術館の整備、“立ち止まる”

■平成30年8月2日(木) 第18183号

=公立美術館の空白続く=

予定されていた新生県立美術館の完成予想図

【県】 新たな滋賀の美の拠点として建設が予定されている“新生県立美術館”について三日月大造知事はこのほど、「整備は一たん、立ち止まらせていただく」と表明した。入札不調により見直されてきた整備事業は、事実上、凍結されたことになる。
 三日月知事は、県議会7月定例会議で自民党県議団とチームしが県議団から行われた代表質問に答える形で明らかにした。
 新生美術館は、県立近代美術館(大津市)が中心となって収集・保管してきた「近代・現代の美術品」、2008年から休館中の琵琶湖文化館(同市)に収蔵されている各地から寄託された重要文化財を含む仏像などの「仏教美術」、専門的な芸術教育を受けていない人たちが手がけ、新しい芸術の形として注目を集める「アール・ブリュット」を3本柱として一堂に会し、回遊式の庭園や交流棟などを有した大型の美術空間として、20年のグランドオープンを予定してきた。
 整備計画は、11年、嘉田由紀子知事の時代から始まっており、17年4月にはリニューアル工事に伴って近代美術館を休館させたが、同年8月、本体工事費に関する業者との折り合いがつかず、入札不調となってから、完成予定を先延ばしにして調整を行ってきた。
 県議会で三日月知事は、「建築工事の再入札に向けた設計見直しを行うべく、様々な観点から検討してきた」とし、「今日なお整備の目途が立てられておらず、ご期待頂いている県民や関係者の皆様に大変申し訳なく思っている」と工事の遅れを謝罪した。続けて「2年後の東京オリンピック・パラリンピックを控えて建設単価が高止まりすると想定される中、皆様の期待に応える形で新生美術館の整備を行うためには、(本体工事費と計上している)47億円に収めることができないと判断するに至った」と説明した。
 担当する県文化振興課では、近代美術館の施設・設備の狭あい化・老朽化への対策や琵琶湖文化館の機能継承は喫緊の課題とし、今後、既存の近代美術館の施設を改修した上で、各美術品の収蔵を進めることを見込んでいる。
 本会議終了後、記者の質問に応じた三日月知事は「プロジェクトは一たん立ち止まるが、滋賀の有する美術を生かした県政に取り組むという意味では凍結でも中止でもない。すぐに対応しなければならないことと長い時間をかけてやらなければならないことを整理する。これまでデザインされた新生美術館のイメージは、現状、すべてを実現することはできない。ただ、白紙にするのではなく、生かせる点は生かしていく。新生に向けた当初の思想や目標は、時間がかかったり、別の形で表現しても取り組みたい」と語った。さらに、今後の具体的な対応内容や美術館再開の時期などについては「県民に早めに示すようにする」と述べるに止めた。


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