中央政界特報

■平成29年9月14日(木) 第5324号

「政治特報」

 12年ぶりの再登板になった民進党前原誠司代表。前回は自滅してしまったが、2度目の登板は注目されている。その横顔は。

 勝負ネクタイは赤。9月1日に開かれた臨時党大会。 
 502ポイント獲得し、代表の座を手にした前原氏は黒のダークスーツに赤い色のネクタイ。
 12年前の2005年9月17日の光景がダブってくる。
 このときは右側の岡田克也氏、左側の菅直人氏の手を握り、高く振りあげた。
 今年は右側に蓮舫氏、左側に枝野幸男氏。
 左右の顔は違うが、ネクタイは赤色。
 12年前は大逆転勝利だった。投票直前まで「20票差で菅氏が有利」と言われていたのが、結果は前原氏が96票、菅氏が94票。わずか2票と言う僅差で代表に選出されている。
 今回は枝野氏に170ポイントの差をつけているが、内情は厳しい。
 国会議員票で無記名などの8人分が無効投票に。
 この時点で「反旗」の動きに。
 8人もの無効票が出たのは異例なこと。
 前原氏が異例な事実を認めている。
 「大変なこと」と。
 1962年4月30日、京都市左京区生まれ。
 京都市立集学院小学校、京都教育大付属中学、京都教育大付属高校から京都大学法学部に。すんなり合格したわけではない。1浪している。
 少年時代は苦労している。京都家庭裁判所の総務課庶務係長だった父親が中学2年のときに他界。
 このときからアルバイトで家計を助けてきた。それだけに奨学金の有り難さを身にしみている。
 小学時代から野球に夢中になっており、高校まで部活は野球部。大学でも体育会の野球部に。投手だった。阪神タイガースの熱烈なファンだ。
 京大卒業後の87年に政治家を目指して松下政経塾に。
 議員としての第一歩は京都府議。91年4月に府議会史上最年少の28歳で初当選。
 国会議員になったのは93年7月の衆院選。日本新党からの出馬で。安倍晋三首相とは当選同期。
 代表に決まるや、すかさず安倍首相から「切磋琢磨したい」のエールがきている。
 「美人」と評判の愛妻の愛里さんは6歳年下。パソナグループの会社で働いていた。知りあってから2カ月後に前原氏がプロポーズ。
 趣味はSL撮影の「撮り鉄」だ。
 写真展を開いたり、SL関連本でエッセーも執筆と、本格的な「撮り鉄」。
 身長177センチ、血液型はA型。座右の銘は「至誠、天命に生きる」。
 代表就任は座右の銘そのものか。
 「次の総選挙で政権を奪う。総理大臣になる」
 そう断言している。

「自民党五役・二階俊博幹事長」

 二階俊博幹事長、ほとんど表情を変えない。
 ギョロリと目をむくか、ときには眠たそうな目をするだけ。
 これが二階幹事長の凄みになっている。
 「何を考えているかわからない。その恐さがある」
 自民党のトップは総裁である安倍晋三首相だが、実質的なトップは二階幹事長。
 党本部の幹事長室で、金庫、選挙の候補者選びなど、すべてを仕切っている。
 自民党には「安倍チルドレン」とも呼ばれる当選、1回、2回生が圧倒的に多い。
 この若手議員は二階幹事長の前では直立不動だ。
 「幹事長室のドアをノックするにはよほどの勇気がいる」と2回生議員。
 そんな凄みをきかせているが、一方では「面倒見のよさ」では自民党幹部では際立っている。
 いったん、フトコロに飛び込んできた者は、見放さない。
 見放せばどうなるか。恨みをいだいて反感を強くしてくる。
 二階幹事長にはそれがよくわかっている。
 人を大事にすることで人脈をひろげており、それは中国にも太い人脈を作り上げている。
 昨年9月に幹事長のポストに就いてから1年。この1年で二階派は膨張。8人増え、党内で五番目の44人の勢力に。
 「大幹事長」といったことまで永田町では言われるように。
 自民党一筋できているイメージが強いが、そうではない。
 初当選は自民党だったが、その後、新生党、自由党、保守党と渡り歩いており、自民党に復党したのは2003年。

「連携を密に」

 安倍晋三首相、米国トランプ大統領。
 ひんぱんに電話会談をしている。
 米大統領と日本の首相がこれほどの電話会談をしているのは過去に例がない。
 緊密度では世界の首脳で際立っている。
 共通した趣味を持っている。いわずと知れたゴルフだ。
 昨年、大統領に就任する前に訪米し、会談したとき安倍首相が持参した土産はゴルフクラブ。
 54万円ともいわれるドライバー。
 大統領に就任したあとの2月に訪米した安倍首相をトランプ大統領はフロリダの別荘で歓迎。
 2人でトランプ大統領自慢のコースをまわっている。
 ちなみにトランプ大統領のハンデは「3」で安倍首相は「20」と言われている。
 トランプ大統領は当初、8月4日から20日まで17日間の夏休みを明らかにしていた。
 東部ニュージャージー州ベッドミンスターの自身のゴルフ施設で。
 だが、夏休みを満喫とはならなかった。
 安倍首相の夏も、昨年のようなゆったりしたものではなくなっていた。
 夏休みは15日から18日までの4日間と短くなってしまっている。
 昨年までの夏休みは、7月と8月の2回。
 7月の休みをあわせると9回のゴルフを。
 それが今年の夏休みは一度もクラブを振らずじまいだった。
 トランプ大統領、安倍首相ともに目の色が違っている。
 いま世界は大きく揺れている。両首脳の抱えている問題は大きい。
 電話会談はまだまだ続きそう。

「一兵卒からの出直し」

 前原誠司代表で出直しをはかる民進党。
 「一致団結で」の声を高くする前原代表とは対照的に、寂しさいっぱいの蓮舫前代表。
 わずか1年しか代表の座におれなかった。
 これまでは、まさにトントン拍子。
 「挫折」という言葉は蓮舫代表にはなかった。常に脚光を浴びてきている。
 青山学院大時代に「クラリオンガール」に選ばれ、モデルに。
 そのあとはテレビの人気キャスターに。
 国会議員には05年の参院選で。
 いきなり500万票を獲得してのトップ当選。
以後、選挙では圧勝を。
 国会議員としては鳩山由紀夫内閣で行政改革相。
 「1位じゃないと駄目なんですか。2位では駄目なんですか」はすっかり流行語になり「仕切りの女王」の異名までつけられていた。
 蓮舫氏が目標としていたのは政権の座。
 民進党政権で総理大臣に。
 言葉のはしはしにそのことへの意欲をみせていた。それが、わずか1年で代表を辞任。
 対比して名前があげられるのは小池百合子東京都知事。
 「結局、蓮舫氏は小池知事のようにはなれなかった」(永田町筋)
 都議会選で圧勝し、小池知事には国政への進出、さらには「政権取り」までささやかれている。
 前原代表による新執行部では蓮舫氏ははじき出された。
 役はまわってこず、文字通り「一兵卒」からの出直しだ。
 蓮舫氏が起こしたのは「求心力」ではなく「遠心力」。このことの誤算は大きかった。

「権力は責任を持つこと」

 安倍晋三首相の今年の夏休みは短かった。
 その短い休み入りのときの一枚の写真が永田町で話題になり、注目されている。
 一枚の写真は笹川陽平日本財団会長がブログに投稿したワンカット。
 小泉純一郎元首相、森喜朗元首相、安倍首相、麻生太郎副総理兼財務相と、歴代首相が4人並んでテーブルに着いての会食の写真だ。
 4人はそれこそ大笑いしている。小泉元首相にいたっては、笑いすぎて腹が痛いといったような感じにまで。
 どんな話題で、こんなに大笑いしたのか。
 この日、安倍首相は午後に東京・富ケ谷の自宅を出て、山梨県鳴沢村の自身の別荘に寄ったあと、同じ鳴沢村にある笹川氏の別荘に。
 ここで夕食会を3時間半ほど。一枚の写真はこのときに撮影したもの。
 ブログには「心からのリラックス」の一文が。
 注目されたのは歴代首相の大笑いだけではない。
 この席に福田康夫元首相が入っていなかった。
 森元首相以降の自民党首相は小泉、安倍、福田、麻生の5氏。
 夕食会に姿のなかった福田元首相の発言も注目されている。
 8月31日、東京日比谷の日本新聞協会ビル内の日本記者クラブで会見を。
 夏の間の各世論調査で支持率を急落させた安倍首相。
 「(安倍首相は)資質もある。よくやっている」と言ったあと「大事なことは伝えてある」とも。
 そしてこうも。
 「権力を持てば偉いと思う人もいるが、そうではない。権力を持つことは責任があるということ」とピシャリ。

「まかされたまとめ役」

 民進党のまとめ役をまかされた大島敦幹事長。
 前原誠司代表は「政権を取る。総理大臣になる。そのために代表になった」
 と、声を高くしている。
 だが、党役員人事を発表した9月5日の両院議員総会は「前途多難」を露呈していた。
 党の新しい船出でありながら、出席議員は6割にも満たなかった。
 9月1日の代表選では8票の無効票が出ている。
 「分裂のはじまりではないか」(永田町筋)といった声がさらに強くなっている。
 そんな中での幹事長就任。
 「大変な役を背負わされたものだ」
 党内からは同情の声も聞かれる。
 民主党政権時代に内閣府副大臣、総務副大臣を経験してきているとはいえ、野党第一党の幹事長という「難しいポスト」は初めて。
 まして、これまで国会内はもとより、民進党内にあってもほとんど「無名」に近い。
 これは本人が言っている。
 「大島とは誰れだ? ではないですか」
 1956年12月21日生まれの60歳。
 早稲田大学法学部を卒業し、日本鋼管(現JFEスチール)に入社。その後、ソニー生命に移り、サラリーマン生活を19年。
 政治の世界に足を踏み入れたのは2000年の衆院選挙。
 候補者公募で埼玉6区から出馬して初当選。現在6期目だ。
 民進党は各政党の寄り合い世帯。主張している政策はそれぞれ違っている。
 対する自民党の二階俊博幹事長は百戦錬磨。まさに「大変な役」就任だ。

「真価発揮となるか」

 前原誠司氏が民進党代表に決定するや、安倍晋三首相は間髪を置かずに「祝意」を示した。
 安倍首相は前原代表とは93年衆院選初当選の同期。
 共産党志位和夫委員長の口からまず出たのは「話し合いをしたい」。
 前原氏の代表決定に対する自民党、共産党の「本心」が安倍首相と志位委員長の発言にあらわれている。
 自民党内からは「安堵の声」が。一方、共産党からは「ため息」が。
 東京のど真ん中をぐるりと丸い円を描くように走っている山手線。
 その代々木駅前に堂々たるビルが。共産党本部だ。
 政党本部では自民党本部に次ぐ大きさ。それも自民党と同じく自前のビル。賃貸の民進党とは違う。
 ここに共産党の勢いの一端が表われている。
 本部の大きさだけではない。力もパワーアップだ。
 いま、野党で最も勢いに乗っている。そのことは近年の選挙で「勝ち続けている」ことで明らか。
7月の東京都議選でも18議席確保の勝利だった。
 勢いに乗っていることは各世論調査でも裏付けられている。野党の中では堅実な支持率を確保。
 志位委員長が目指しているのは「野党共闘」だ。これによる「打倒自民党」を。
 志位委員長はこんなことまで言及している。
 「場合によっては党名を変更してもいい」
 前原代表には「共闘」のエール。
 前原代表は代表選でも共産党との「共闘」には慎重な発言を。
 志位委員長がどう口説き落とすか、真価の発揮しどころだ。