中央政界特報

■平成30年8月16日(木) 第5372号

「政治特報」

 9月20日の総裁選をにらみ、自民党内の動きがあわただしくなってきている。各派による夏の研修会が熱を帯びている。

 今年の夏は長くて、しかも暑い。
 関東甲信越地方の梅雨が明けたのは6月29日。記録が残っている中で最も早く、本格的な夏に突入。
 それもかつてない酷暑に。7月23日には埼玉県熊谷市で史上最高の41・1度を記録。
 そんな暑さの中、さらに暑いのが永田町。
 「暑さ」に加えて「熱さ」が。
 自民党総裁選まで1カ月とちょっと。
 「燃えに燃えまくっている。かつてない熱い総裁選になっている」(永田町筋)
 3選を目指す安倍晋三首相、激しく追い上げる石破茂元幹事長は、地方票獲得で全国を回っている。
 そして各派閥は研修会で「結束」を。
 西日本豪雨の甚大な被害から、各派は研修会を先送りしていた。
 岸田派は当初、7月26、27日の両日、山梨県で行うことになっていた。
 石原派も7月24、25日を予定していた。
 8月の声を聞くと同時に先送りしていた研修会が一斉に開かれている。
 いち早く「安倍3選」の声をあげている二階俊博幹事長。
 「外交をやれるのは安倍首相しかいない。支持すると言った以上、どんなことがあっても支持する。それに1ミリの狂いもない」
 そう断言しており、他派にさきがけ7月31日に韓国・ソウルで二階派の研修会を。2015年の総裁選でも二階氏は派閥研修会の先陣を切り、「無投票再選」の流れを作っている。
 研修会には派閥所属議員だけでなく財界人も同行。
 8月5、6日には安倍首相の出身母体である細田派が。
 9日には石原派が。9月にはいってからは2日に竹下派、3日に岸田派が研修会を行う。
 研修会とは別に石破氏は7月3日に、地元鳥取市で政治資金集めのパーテイーを開いている。
 自民党内では94人の最大勢力を誇る細田派をはじめとして59人の麻生派、55人の竹下派、48人の岸田派、44人の二階派、20人の石破派、12人の石原派、20人の谷垣グループが競いあっている。
 研修会では派としての結束が確認され、総裁選投票先の念押しが。
 竹下派は安倍首相を支持する衆院議員と石破氏を支持する参院議員の二つに割れてしまっているが、細田派、麻生派、二階派、岸田派の4派は「安倍首相支持」を確認しあっている。

「獺祭」

 日本国内にとどまらず、外国でも人気の高い、日本酒「獺祭」。
 この「獺祭」と手をつなぎ、島耕作が立ち上がった。
 島耕作は弘兼憲史氏の作品、人気漫画の主人公。
 西日本豪雨で大きな被害を受けた被災地を支援するために。
 「獺祭」の醸造元は山口県岩国市の旭酒造。
 弘兼氏は岩国市が故郷。作品「会長島耕作」の中にも「喝采」の名で「獺祭」が出ている。
 そこで旭酒造とのコラボで純米大吟醸「獺祭 島耕作」(4合瓶、1200円)を発売。売り上げを岡山、広島、山口、愛媛の被災地に寄付するというもの。
 予定しているのは65万本で、全部売り切れれば大きな金額に。
 旭酒造も蔵が浸水という大きな被害を受け20日ほども生産を停止していた。
 生産が再開されたのは7月29日。
 発売価格は1200円だが、中身は1本1500円から3万円以上のものが。
 人気の「獺祭」が、さらにその名を知られたのは2年前の2014年4月23日、米国オバマ大統領が来日したときに。
 安倍晋三首相は東京・銀座の3つ星の寿司屋「すきやばし次郎」でオバマ大統領を「お・も・て・な・し」している。
 店主、小野二郎氏が握った「おまかせ」のトロ、コハダなどをオバマ大統領は口にし「とてもおいしい」と。
 このとき安倍首相がオバマ大統領にお酌したのが「獺祭」だ。
 「すきやばし次郎」を出てきたときのオバマ大統領の顔には満足の笑みが浮かんでいた。

「影響力誇示」

 元長老の影響力は絶大だ。
 元長老とは青木幹雄自民党元参院議員会長。
 自民党にあって55人と3番目の勢力を引き継ぎ、竹下亘総務会長が「竹下派」代表の座に坐ったのは4月19日。
 このときから青木氏の影響力が。
 9月20日投開票の総裁選。竹下亘氏は当初、安倍晋三首相の「支持」を明らかにしていた。
 それが衆院議員の多くは安倍首相、参院議員は石破茂元幹事長を支持と二分。
 派内で投票先が割れてしまったのは青木幹雄氏の強い影響力からきている。すでに議員バッヂを外している青木氏だが、改めて「影響力」の大きさを。
 青木氏は竹下亘氏の実兄、竹下登元首相とは「実の兄弟」のような固いつながりだった。
 竹下元首相は早大時代の先輩。
 在学中に竹下元首相が県議会から国政に出馬したときに手伝いを。
 以後、秘書として8年間。
 きまって口にしたのが「趣味は竹下登」だった。
 それほど竹下元首相につくしてきている。
 「言語明瞭意味不明」と言われた竹下語の通訳を。
 自身の政治家活動は1967年に島根県議に初当選したのがはじまり。
 国会議員になったのは86年の参院選。
 当選してからは99年に官房長官として初入閣している。
 「ドン」と呼ばれる力を身につけたのは自民党参院議員会長になってから。
 とにかく「腰が低い」(永田町筋)ことで有名で、根回しは際立っていた。

「比例区で公認」

 社民党の吉田忠智前党首が、比例区での公認候補になった。
 8月2日に開いた常任幹事会で決定されている。
 来年夏の参院選は、社民党としては「党の存亡」がかかった選挙だ。
 選挙のたびに議席を減らしており、現在の議席は衆参両院で4議席しかない。
 参院選で議席減、さらに得票率を減らしてしまうと、政党として存在しなくなってしまう。
 状況は厳しい。昨年の衆院選では小選挙区に19人を擁立したが、比例区と合わせ2議席確保がやっとだった。 
 吉田氏は社民党の「目玉」だ。
 党首だったことで全国に知名度があり、集票力が期待されている。
 吉田氏自身にとっても「絶対に負けられない」リベンジの戦いになる。
 16年の参院選。党首として全国を約6500キロ走り回ったが当選したのは福島瑞穂元党首1人だけ。
 自身は落選してしまっている。 
 「護憲」を前面に打ち出して戦ったが、まさに惨敗だった。
 1956年3月7日、大分県臼杵市出身。九州大学農学部を卒業し大分県庁に。
 大分県庁では農業土木を担当。労働組合活動では自治労大分県職員組合労働組合執行委員長を。
 政治の世界に入ったのは大分県会議員に。3期務めたあと、2010年の参院選に社民党公認で比例区から出馬し初当選。
 社民党内で参院国対委員長、参院幹事長を歴任し13年に福島瑞穂氏の後を受け党首の椅子に。
 ぼくとつとした喋り方、生真面目そのものの姿勢。
 吉田氏に期待されているものは大きい。

「20人、確保できるか」

 野田聖子総務相が政策本「みらいを つかめ」を出版した。
 9月20日投開票の自民党総裁選をにらんでのもので、8月5日、地元岐阜市で政策本出版報告会を。
 政策本で明らかにしているのが『世界標準の国』だ。「ダイバーシティ」(多様性)、「インクルージョン」(全員参加)、「サステイナブル」(持続可能)を目指していくと。
 安倍晋三首相の「アベノミクス」からの転換も主張している。
 野田氏が出馬となれば総裁選は安倍首相、石破茂元幹事長との三つ巴戦になる。
 「日本で最初の女性首相」に強い意欲を。
 問題は出馬するには国会議員20人の推薦が必要。
 自らの派閥を有していない野田氏にとって、このハードルは高い。
 「本を読んで共鳴し、推薦人になってくれれば」
 野田氏は前回、15年の総裁選にも出馬の名乗りをあげた。
 だが、20人の推薦人を確保することができずに断念に追い込まれている。
 このとき、安倍首相に対抗する出馬に動いたのは野田氏ひとり。
 安倍首相の出陣式には所属議員402人のうち、代理を含め約300人が出席している。
 野田氏はぎりぎりのところまで推薦議員確保の電話をかけまくったが、19人がやっとだった。
 あと1人の推薦人をつかむことができず、出馬断念に追い込まれてしまった。
 無派閥議員も野田氏支持につかなかった。
 はたして、今回、15年のリベンジを果たすことができるか。

「世界を駆ける」

 河野太郎外相は、まさしく「世界を駆ける男」だ。
 河野氏が外相のポストに就任したのは昨年夏。8月3日。
 あとはもう外務省の大臣室にいるより、外に飛び出すことのほうが多い。
 なにしろこの1年間で訪問した国、地域は59カ国・地域に。
 2・5日に1日は外国に出ている割り合になる。
 岸田文雄政調会長も外相時代は世界を飛びまわっていたが、河野氏にはかなわない。歴代外相で一番といっていい。
 「外相を1年やると、確実に寿命は縮まる」
 外相経験者の多くはそう外相の職務のハードさを言っている。
 これからすると、河野氏はどれだけこの1年で寿命を縮めていることか。
 だが、そういった感じはまったくない。
 かつて故福田赳夫元首相は「外国に出ることで元気が増してくるよ」と言っていたが、河野氏も外国訪問でパワーを蓄積している。
 外相は閣僚として重要ポストだが、人気があるポストではない。
 「いくら外国を飛び回っても、成果が見えにくい。外相より国内で成果が見られやすいポストのほうが票になり、人気がある」(永田町筋)
 そういったこともまったく問題にしていない。
 国会期間中は、週末の土、日曜日を使って外国に。
 これまで党内で「政策新人類」と言われ、なにかと「批判」の声を上げ続けていたが、外相になってからはいっさい口をつぐんでいる。いまは外相としての職務に全力投球。
 日本国内でつかまえるのは難しい。つかまえるのなら外国で。

「長官の真価が問われる」

 スポーツ界に問題、騒動が。
 女子アマレスでのパワハラ問題、日大アメリカンフットボール危険タックル問題、日本ボクシング連盟の問題…。
 つぎつぎに露わになり、日本のスポーツ界全体を揺るがす事態になっている。
 2年後には東京オリンピックが開会式を迎えるというのに。
 主催者の小池百合子東京都知事も危惧している。
 「メダルを獲得する前の段階でエネルギーを使いきってしまっている」
 「体育会は組織を変えるのは難しい組織だが、メダルをたくさん取れるようにしてもらいたい」との注文もつけている。
 森喜朗東京五輪組織委員会会長からも苦言が。
 スポーツ界を統括するスポーツ庁。
 いま、指導力が問われているのが鈴木大地スポーツ庁長官。
 つぎつぎに問題が起こることでその顔つきは厳しいものに。
 「問題の内容を精査して」
 鈴木氏がスポーツ庁長官に就任したのは15年9月。
 日本サッカー協会最高顧問で日本バスケットボール協会の川淵三郎氏、五輪柔道金メダリストの山下泰裕氏ら強力な大物を押しのけて。
 鈴木氏は1988年のソウル五輪100メートル背泳ぎで金メダル獲得。引退後は米国ハーバード大学に留学。帰国後、母校順天堂大の水泳部監督に。
 09年に日本水泳連盟理事、13年6月に46歳という若さで会長に。
 現役中は水中に潜ったまま進むバサロキックで脚光を浴びた。
 いまスポーツ庁長官としてのバサロキックは。