滋賀報知新聞(ニュース)平成12年10月26日(木)第12440号

民主党・労組依存選挙に限界

参院補欠選挙で追い風生かせなかった法雲陣営
抱え込めるか市民運動?

=迫られる総括と中期戦略=

法雲氏

武村氏

奥村氏

(全 県)
 二十二日に投開票が行われた参院滋賀選挙区補欠選挙は、自民公認の山下英利氏が、民主公認の法雲俊邑氏、共産公認の川内卓氏を破り初当選を果たした。山下氏が約二十万五千票、法雲氏十五万六千票、川内氏六万三千票の得票だった。長野県の知事選で作家の田中康夫氏が当選するなど、法雲氏に追い風が吹いていたにも関わらず何故、敗れ去ったのかを検証してみた。【石川政実】

 法雲氏の敗因は、民主党に悪人正機説が欠落していたことだ。浄土真宗開祖の親鸞の語録の「歎異抄」では、『善人なをもて往生をとぐ、いわんや悪人をや』の悪人正機説が有名だが、今回の参院補選でもIT(情報技術)革命だけでなく、弱者の側に立った現代の悪人正機説(市民の論理)を法雲氏は語るべきだった。

 現代の黙示録として、栗東町の産廃処分場で発生している高濃度の硫化水素問題がある。住民組織の「産廃処理問題合同対策委員会」では三候補に対し公開質問を行った。川内氏と法雲氏とも町や県に対して厳しい姿勢を示したが、問題認識では川内氏に軍配があがった。このように民主党が市民運動を抱えることができなければ、市民運動家らは今後、社民党や共産党と連帯を深めていくことになる。

第二の敗因は、田中真紀子衆院議員の存在である。民主党が自民党の明日を創る会の田中氏にラブコールを送っている関係から、山下陣営のアキレス腱を攻撃できなかった。自民党の金権体質の象徴として、田中氏の父親の田中角栄元首相のロッキード事件がある。この元首相を支えたのが山下英利氏の父の山下元利元防衛庁長官である。法雲陣営がこの問題を取り上げていたなら、山下氏のイメージ戦略を打ち破れたかもしれない。

第三の敗因は、“戦略なき戦い”である。民主党および連合滋賀を中心とする非自民非共産の勢力は、六月の衆院選でさきがけ滋賀代表の武村正義元大蔵大臣(2区)、奥村展三前参院議員(3区)を落とし、さらに今回の参院補選で法雲氏が破れ二連敗を喫した。

 この十四日に大津市で自民党の職域支部の決起集会が開かれたが、来賓の山田豊三郎大津市長は挨拶の中で「山下元利氏には大変世話になった。英利氏に恩を返したい」と山下氏支持を公然と表明した。連合滋賀や民主党は、先の大津市長選で候補者に内定していた元通産官僚の八幡 和郎氏を反古にしてまで山田市長を推薦したにも関わらず、結局、自民党にかすめとられた。今後も自民党支持を表明する首長が相次ぐことだろう。

第四の敗因は、県議会会派の県民ネットの代表であった石田幸雄県議を自民党に戻したこと。民主党は七月下旬、(1)地球市民会議代表の小田全宏氏(2)石田氏(3)法雲氏の順で選考に入ったが、石田氏は小田氏の後塵(じん)を拝することを潔ぎよしとせず、同氏はこの四日に自民党会派に復帰、高島郡が勢いづいた。また同氏と行動を共にしてきた高井八良県議は、今回どの陣営にも加わらなかったため、甲賀郡では山下氏が法雲氏を約九千票もリードし、次期衆院選をうかがう奥村氏に赤ランプが灯った。

第五の敗因は、公明党の存在。ちなみに平成四年の参院選は、全盛期の連合滋賀が組織内選挙に徹し、連合候補の松井佐彦氏が二十一万七千票を獲得したものの、二十万票を超えるのに四苦八苦だった。最近は自公保政権になり公明の六〜八万票が必ず山下氏にオンされるだけに、法雲氏が五万票の差を縮めるのは至難の業。

 来夏の参院選の本命は法雲氏だが、それ以外では体調に問題がなければ武村氏、甲賀郡のモンロー主義をあて込むなら奥村氏、二連敗の責任をとって連合滋賀の下戸薫会長、市民運動家の藤井絢子氏、タレントならサッカーの井原正巳氏など大胆な選択が必要だ。

 また、民主党は公明党に対抗上、党の規約から「前衛政党」「社会主義革命」がなくなるといった方向転換から予想外に低調だった共産党との選挙協力に迫られるかもしれない。なお自民党内は山下氏の勝利で、岩永峯一衆院議員から河本英典同党県連会長にヘゲモニーが移る事態も予想される。


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甲賀の8社が新提案

メッセ2000 環境市場の最新情報交流
ゴミ削減・廃棄物再資源化など

=各社のテクノロジーを紹介=


日本ポリスター社のノートレー自動包装機

(湖南・広域)
 地球環境の保全と経済活動の両立が主要課題となる二十一世紀。長浜市田村町で開かれた『滋賀環境ビジネスメッセ2000』では、国内外から計二百の企業・団体が参加し、環境負担の低減を図る様々な革新的技術を紹介した。

 また今回、水素と酸素の化学反応によって生まれる「燃料電池」(通産省大阪工業技術研究所など八企業・団体出展)が取り上げられ、次代のクリーンエネルギーとして実用化に期待が集まっている。国際的な環境産業が進むなか、甲賀郡から参加した八社の最新技術および製品を紹介する。 【山田香織】

 油系廃棄物の100%リサイクルに取り組む喜楽鉱業株式会社(石部町石部)は、自動車整備工場やガソリンスタンドなどから収集した油系廃棄物を再生処理し、完全無害化した燃料油(LS重油)を提供している。メッセへは連続三回の出展で、リサイクル工程のほかサーマルリサイクル(熱交換利用)システムを分かりやすく解説。月間九千六百トンの処理能力をアピールした。

 甲賀高分子株式会社(石部町石部北)は包装資材と工業資材の専門企業で、次世代型環境対応フィルムの「CSフィルム」を出展。塩ビ代替えの無公害フィルムCSは、透明かつ柔軟性に優れるほか、温湿度変化が少ない安定型製品としてPRしている。ブース内では、専門包装プランナーによる技術説明が行われた。

 包装ゴミの減量を提案する日本ポリスター株式会社(甲西町夏見)は、家庭排出ゴミのトレーをなくすノートレー自動包装機を開発。密封性を高める新シール方式を搭載し、複数入りやバラ物食材も確実にパック出来る。会場担当の高井氏は「三分の一にまでゴミ削減が可能です」と自信を覗かせ、新開発の小型モデルも紹介。長野県や三重県では、すでに市場に出ているようだ。

 二回目の出展となった岩谷化学工業株式会社(滋賀工場=甲西町菩提寺)は、資源循環型の経済システム「メタボリズム」に取り組み、水処理施設の施行・廃水リサイクル等を通じて琵琶湖の環境保全に貢献している。今回、“光る水”をテーマに食品製造排水処理装置やIC式活性汚泥処理システムなどを解説、冬季の水温低下時に於いても安定した処理を実現させた。

 株式会社ハセック(甲西町岩根)では、発砲スチレンのリサイクルやゴミ袋の有効利用など環境改善の商品を開発している。目を引いたのは、発泡スチレンの減溶機「ペインティアMシリーズ」。スチレンをソフトなガム状にする機材で、最大では五十分の一にまで減溶可能。溶液で溶かす実演も行い、来場者から多くの質問を受けていた。

 分解力・親水性など光触媒研究に秀でるのは、衛生陶器で知られる東陶機器株式会社(滋賀工場=甲西町朝国)。一千分の一ミリ単位の超表面平滑とイオンバリア効果がある洗面器、選浄水八リットルの節水便器、光触媒技術を応用したハイドロテクトタイルなどの環境配慮商品を展示した。

 微生物の機能と酸素の働きを活用する島本微生物工業株式会社(水口町本丸)は、廃棄木材チップの堆肥化に取り組む水口町役場へ技術協力を行っている。有機廃棄物を再資源化し、環境に優しい農業利用(土づくり)を目指す研究で、木材屑や雑草、海藻を主成分とする堆肥を提供している。

 フジカーボン株式会社(甲賀町小佐治)のバイオテクノロジーは、植物系廃棄物を含む植物資源を生分解性プラスチック原料へと変換する技術。植物系ウレタン樹脂原料や同フェノール樹脂製品(成形品および接着剤)を開発したほか、創立以来の精密加工炭素製品を展示した。


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静岡と滋賀・美の共同企画展

日本画の情景 -富士山・琵琶湖から-

=読者7組にプレゼント=


池大雅「龍山勝会・蘭亭曲水図」(重文)

(湖西・大津市)
 県立近代美術館では十一月二十六日まで、静岡県立美術館・滋賀県立近代美術館の共同企画展『日本画の情景=富士山・琵琶湖から=』を開催している。

 富士山に臨む静岡県と、琵琶湖を有する滋賀県。静岡県立美術館は一九八六年、滋賀県立近代美術館は一九八四年と、ほぼ同時期に開館しており、どちらの美術館も特色ある日本画コレクションで知られている。同展はその両館のコレクションを一堂に会し、日本画の歴史を一望しようとする企画展。

 両館の日本画コレクションは、室町時代から現代に至る作品で構成されている、静岡県立美術館は横山大観や竹内栖鳳など近代の優品とともに、狩野探幽や円山応挙、地大雅など江戸時代の名品を数多く揃えている。一方、滋賀県立近代美術館では、室町期の「近江名所図屏風」などの重要作に加え、速水御舟や安田鞍彦など近代日本画家の作品を数多く所蔵する。

 近世の静岡、近代の滋賀。それぞれのコレクションが補完しあい、約五百年の日本画の歴史を縦断的に展望することが出来るのが特徴で、主題の富士山・琵琶湖を描いた日本画における自然表現の変遷をじっくりと鑑賞できる。

 会場では「富士山と琵琶湖」「文人画と琳派・個性派」「円山四条派から京都画壇へ」「狩野派から院展・東京画壇へ」という四つのセクションに分け、重要文化財二件を含む七十件余りの華麗な日本画の世界を創り出している。

 主な展示作品は、狩野探幽《富士山図》、狩野派《近江名所図》(重要文化財)、池大雅《龍山勝会・蘭亭曲水図》(重要文化財)、円山応挙《木賊兎図》、橋本雅邦《三井寺》、速水御舟《洛北修学院村》など。会期中は一部展示替があり、前期展示は十一月五日まで、後期展示は同七日〜十一月二十六日まで。
 会期は十一月二十六日の午前九時半〜午後五時まで(入館は四時半)。月曜休館。観覧料は一般九百円、高大生六百五十円、小中生四百五十円。問い合わせは県立近代美術館(077―543―2111)へ。

 滋賀報知新聞社では、この「日本画の情景」の招待券をペア七組にプレゼントします。希望者は、官製ハガキに住所、氏名、年齢、電話番号、職業、本紙の感想を明記し、〒520―0051大津市梅林一丁目3-25、滋賀報知新聞社大津本社「日本画の情景展」係へ。締切りは十一月一日(必着)。


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津々浦々から人魚のまち集合

蒲生町で初の全国サミット

=まちおこし事例などを紹介=


国内最古の人魚出現記録が残る
蒲生町寺村の小姓が淵(矢印)

(湖東・蒲生町)
 人魚伝説のまちが全国各地から集まる初の「人魚サミット」(蒲生町商工会などの主催)が三日、蒲生町あかね文化センターで開催される。人魚伝説を生かしたまちが文化、産業面で交流することで、今後も連携しながらまちづくりを進める。入場無料で、参加申し込みは当日に受け付け。

 人魚にまつわる伝説は、童話「赤いろうそく」のモデルになった新潟県大潟町、「八百比丘尼(はっぴゃくびくに)」の小浜市、日野町小野の人魚塚など津々浦々に散らばるが、実は日本最古の記録は蒲生町であることは以外と知られていない。

 同町の人魚出現記録は、今から約千三百八十年前にさかのぼる。日本書紀の推古二十七年(六一九年)夏四月条に「蒲生河に物有り。その形人の如し」と、今の佐久良川小姓が淵付近(同町寺村)に現われたと記されている。
 地元では昔から、やんちゃな子どもたちに対して「小姓が淵のそばで遊ぶと、人魚にさらわれる」と、深みにはまると助からない小姓が淵に近寄らないよう、なかば戒めの意味で言い伝えられてきたという。

 これに由来する寺村に残る話によると、昔々、村にあった願成寺(同町川合)末庵の尼僧に仕える小姓がいた。小姓の素性が分からないことを不思議に思った寺武士は、ある日こっそり後をつけ、佐久良川に姿を消すのを見てびっくり。驚いた武士は村人とともに投網で捕えてミイラにしてしまい、豪商に手渡してしまったという。この後、故郷に帰りたいと人魚がしきりに泣くため、願成寺で手厚く供養されるようになった。

 この伝説に注目したのは、同町商工会事務局長の久野速雄さん。まちおこし資源を掘り起こそうと、インターネットで人魚関係の情報を調べてみると、全国各地で地域振興に結び付けている事例や、同町の人魚記録が「元祖」であることを知って驚いた。さっそく同町役場へサミットについて打診してみると、「ぜひとも協力したい」と、開催の運びへと滑り出した。

 サミットでは、日本古代史に詳しい胡口靖夫氏(神奈川県立相模台工業高校教諭)が、「歴史資料から人魚伝説を考える」をテーマに基調講演を行なう。

 続くパネルディスカッションでは、コーディネーターの胡口氏を中心に、パネリストに青木俊秀氏(新潟県大潟町文化財調査審議会委員長)、西尾清順氏(小浜市商工観光課長補佐)、岩崎哲也氏(橋本市学文路苅萱堂保存会長)、増田與三次氏(日野町小野氏子総代)、松尾徹裕氏(願成寺副住職)、佐野允彦氏(朝日新聞社彦根支局長)が意見を交換する。


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