滋賀報知新(ニュース)平成14年1月6日第12931号

動き出した今夏の知事選

国松知事、2月県会で出馬表明へ

=共産など「民主県政の会」は公募中 =

前回は県庁を2分した知事選(写真は県庁正面)
(全 県)
 任期満了(七月十九日)に伴う今夏の知事選は、再選を目指す国松善次県知事と共産や県労連でつくる「県民本位の滋賀民主県政をつくる会」が擁立する候補との一騎打ち、あるいは三つ巴戦になる公算が高まっている。すでに国松知事には県医師会、県農協中央会、県商工会議所連合会など約四十団体(先月二十日現在)が出馬要請をしているが、さらに今月に入っても各団体からの要請が相次ぐ模様だ。また連合滋賀の下戸薫会長も、国松知事が再選を表明すれば推薦する意向を示していることから、二月定例県会冒頭で出馬表明を行うものと見られている。  

 ●前回は県庁を2分

 平成十年七月の知事選では、県総務部長で定年退職した国松氏、県出納長の高井八良氏(現県会議員)、元大阪府副知事の吉沢健氏、共産など「民主県政」から県労連議長の谷本善弘氏ーーの四氏の争いになった。自民、民主、公明、社民、さきがけ、連合滋賀など幅広い推薦を取り付けた国松氏が高井氏に約十一万五千票の大差をつけて初当選した。県庁から二人が出馬する異例の事態により、庁内が二分したのを始め、自民党県議団も三つに割れて、骨肉の争いを繰り広げた。
当選を果たした国松氏は、高井氏を応援した県職員の処遇をどうするのかで注目を集めたが、結局、報復人事は行わずに庁内融和に努めた。また政策面では「環境」「福祉」「経済」「文化」の四つの実験に積極的に取り組んだ。前知事の稲葉稔氏が“靜”なら、国松氏は“動”といえる。この四年間の業績では、やはり昨年十一月に大津市で開催された第九回世界湖沼会議を成功に導いたことだろう。

 ●抵抗勢力の動きなし

 昨年の十二月定例県会では、執行部に対する自民党議員の強い姿勢が随所に見られた。知事選を目前にその存在感を誇示したものと受け止められている。しかし国松氏に大きな失政がなく、最終的に自民も同氏推薦で落ち着きそうだ。

 ただ一部では民主党の川端達夫衆院議員や奥村展三元参院議員、吉沢氏、NHKの男性アナウンサーなどの名前が取りざたされているが、現実的には難しいといえる。例えば川端氏の場合、自衛隊派遣承認案採決で身内から造反組が出るといった状況下で、知事選に出馬すれば民主党県連の存続すらもが危うくなる。奥村氏も、先の衆院区割り見直し勧告により、自民の岩永峯一衆院議員の動向次第ではチャンスが出てきただけに、知事選は眼中にないはずだ。

 このような中、共産党や県労連などでつくる「民主県政をつくる会」(筆頭代表委員=川端俊英・同朋大教授)は、候補者を広く募り、独自候補を立てて知事選を戦う構えだ。同会は前回と前々回の知事選で革新系無所属の候補者を推して敗北しているだけに、今回初めて自薦他薦を含めて公募に踏み切る。なお、公募はこの十五日に締め切られる。

 ともあれ現在のところ、国松氏の対抗馬は「民主県政」の動きだけであり、知事選は不気味なほど静かに滑り出している。


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生涯学習やボランティア活動の拠点

=八日市 市民センター建設計画=

初会合の市民活動センター基本計画策定懇話会
(湖東・八日市市)
 八日市市は、生涯学習や文化振興、ボランティア活動の拠点となる「市民活動総合拠点施設」の建設計画を打ち出し、昨年十二月初めに立ち上げた基本計画策定懇話会(代表・織田直文前滋賀文化短大教授)に諮問した。望田宇三郎前市長からの懸案事項(中央・地区公民館併設問題)だったが、ようやく手が届くまでにこぎ付け、計画策定について三月までに答申を得る運びとなった。

社会教育委員会議の「生涯学習体系化における公民館のあり方」(平成二年二月答申)で、中央と地区公民館の機能・役割は異なり「併設に問題がある」との考えが示されたが、具体的な整備方針が示されないまま終っていた。
行政改革大綱(八年三月)において生涯学習ネットワーク化、地区公民館の自主運営が打ち出され、行革推進本部が公民館の自主運営に向けた体制づくり(職員の見直し・事業委託・管理運営委託)の調査検討が進められてきた。
さらに、新総合計画(十一年度策定)では、学習内容の多様化、高度化、専門化が進み、また市民団体やNPOによる自発的な活動が活発化する時代背景の中で、市民活動に対する支援と活動拠点施設の整備を施策に掲げた。
計画内容は地域のまちづくりリーダー養成、広報充実、組織・団体・学習サークル養成、NPO・民間団体との連携協力、地域ネットワーク化の調査研究、NPO法の普及啓発、活動拠点の設置支援などが柱だ。
市内には約八十のボランティア団体があり、うち3団体がNPO法人としての認証を受けている。市民福祉、子育て支援、まちづくり、環境保全、地域文化継承、交通安全、国際交流などの活動に大別され、男性よりも女性の積極参画が目立つ。
また、社会教育関連の活動を行っている団体は三百近くに上り、うち六五%以上が市立公民館を利用している。生涯学習、趣味、教養など多種多様にわたり、代表者も女性に多い。市民活動に取り組む団体は増加傾向にあり、活発化の傾向は衰えをみせていない。
これらの代表を中心に行った規模、機能、設備、運営のあり方へのヒヤリング調査から、施設整備を「だれでも気楽に集まることができ、情報を集約・発信する施設」に求め、機能については「多目的に使え、文化交流の中核的な大規模施設」「生涯学習や市民活動の多様なニーズに対応した機能導入」の方向性を打ち出している。

 懇話会では、調査結果を参考に広域的な位置付けからみた施設のあり方、関連施設との役割分担と連携、地元産業を支援する機能誘導、風格のあるコンベンション機能導入、、宿泊機能導入、雪野山古墳展示室の導入、広域的な波及効果に寄与する役割、立地場所、十分な駐車場の確保、環境に配慮した取り組みなどについて検討を加えている。
市民センターの関連施設との連携では、文化振興=八日市文化芸術会館、情報=図書館、地域福祉=ハートピア、労働者福祉=ウエルネス、体育・健康増進=布引公園の拠点的な位置付けを目指し、市民活動を十分にサポートできるよう整備する。
以上の点から、基本方針に▽気楽に立ち寄れる仕掛けづくり▽全世代が元気に活動し、多様なグループが交流する施設構成▽地域環境との共生・調和を図った整備事業▽計画性のある生涯学習プログラムの確立▽健全な地域経営を支援する機能の充実──を掲げた。
「多世代交流を促進する施設づくり」をテーマに、活発な市民活動と生涯学習を象徴して、キャッチフレーズを「アクティブ・コア」(活動的・核)とした。建物の名称は、市民からの公募を基本に検討を進めている。


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八日市大凧を科学する

物理の教材化に取り組む

=八日市高校竹中仁教諭=

100畳の大凧を測定する生徒と竹中教諭(左)
(湖東・八日市市)
 県立八日市高校(八日市市上之町)の物理室に入ると、天井の八日市大凧が目に飛び込んでくる。郷土が誇る世界一の凧に着目、教材として八日市大凧を科学するユニークな授業を続けている竹中仁教諭は、昨年、授業の内容をまとめた論文で全国で二人しか選ばれなかった日本理化学協会賞を受賞した。
 毎年五月、八日市市の大空に百畳敷き(縦十三メートル、横十二メートル)の巨大な凧が舞い上がる。国の無形民俗文化財「八日市大凧」の風の力を受けてゆうゆうと空を泳ぐ姿に感動した竹中教諭は、「この地元に伝わる優れた文化遺産を通じて、生徒たちに力学をもっと身近なものとして学ばせてもらおう」と、八日市大凧保存会(大西清会長)や八日市大凧会館(東本町)の協力を得て教材化に取り組んだ。
 授業は、二年生理系クラスの物理の三時間を使って行われ、八日市大凧会館で百畳敷八日市大凧を長いすとヘルスメーターを使って重量計測、面積や重心の計算から、風の力(空力)の計算や作図、グラフ化などを通じて、八日市大凧が揚がるメカニズムを割り出す。
 大凧を作るときには、いちいちこれらの計算や作図の作業は行われない。歴史と伝統の中で経験的に習得された業(能力)により、八日市大凧の特徴である“切り抜き”などの作業が「ちょうど良い」具合に淡々と進められていく。「どうしてあんなに大きな凧が揚がるのか」という裏には、力学的にも裏付けられる優れた技術があらゆるところに生かされていることを発見する。
100畳の大凧を測定する生徒と竹中教諭(左)

 竹中教諭は「平面を上げるのには大きな力が必要だが、空に張り付くように揚がる大凧は風の中を一人で飛んでいるようなもので、下から引っぱらなくてもよい。経験に基づいて守り育てたものはまさに美しく、理屈では解けないもの。感性より機能を重視している現代社会には欠けてきており、生徒たちにはそこに目を向けてもらいたい」と話す。また、「どれくらいの大きさまで可能か計算してみたい」と、これからの授業展開にも意欲を見せる。

大凧まつりに参加する
自然科学部作製4畳八日市大凧


 竹中教諭が顧問を務める同校自然科学部では、昨年六月から一か月かけて朱文字の「舞」と二羽のタカを描いた四畳敷八日市大凧「高々と舞い上がる八日市高校」を作製。七月の学校文化祭で展示し、揚げた。製作には八日市大凧会館見学なども行い、凧の命でもある目の部分を描くのに苦労したものの見事に完成。裏には、部員がクラスメイトらに募った願い札も張られている。部員たちは「次の大凧まつりに参加して、ぜひ飛ばしたい」と声をそろえた。


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県内初しがのベンチャー農業

ナシ栽培に先進技術導入

=環境こだわる大谷さん=

3年後の収穫に期待を膨らませる大谷さん
(湖東・八日市市)
 ナシ栽培の技術革新に取り組む八日市市建堺町一七四の大谷源一さん(53)は、滋賀県内で始めて「しがベンチャー農業者」の認定を受けた。環境にこだわった生産技術は、農産物の需要拡大と地域農業の活性化につながるとして、県や市が支援に乗り出している。農薬使用量を半分に減量するなど栽培技術を確立し、新商品の開発や経営刷新,直売所開設などに、大谷さんの夢は膨らむ。

 長年務めた会社を五十歳を機に退職し、三年前から専業農家に従事する大谷さんは、先祖から受け継いだ農地を守るため、米づくりにだけは取り組んできたが、農業に関して、これまで興味がなかったという。
減反を余儀なくされ、これまで黒豆を栽培していたが、先の見通しに失望した仲間とともに休耕田を利用し、ナシの栽培を手掛けることにした。隣地に田んぼを持つ込山孫治郎さん、込山和広さん、小泉登喜夫さんの三人だ。

 幸い、八日市市が農業振興を目的に開く「ようかいち晴耕塾」の果樹栽培実践コースに仲間三人とともに入門し、京都・久美浜町の大規模果樹専業農家や兵庫県北部農業技術センターを訪ね、先進地視察の中から果樹栽培への意欲を持ち帰った。
八日市には、これといった果物の特産品がなく、いかに農薬使用量を減らし、経営に結び付けるかなど、仲間と試行錯誤の末、気候風土にマッチした生産性の高いナシ栽培に目を付けた。ただ沖野に二軒のナシ果樹園があるだけで、生産する以上は、隣接の 「愛東ナシに負けないナシづくり」が目標という。
この熱き思いに東近江地域農業改良普及センターが支援に乗り出し、技術開発や経営刷新へ指導に当たる。ナシ栽培に天敵とされる雨よけ、害虫(特にガ)を駆除するフェロモン剤の使用で、従来の農薬使用量を半分以下に抑える栽培技術を確立し、農薬や防除回数の減量がコスト軽減・省力化に結び付く。

 琵琶湖を抱え環境にこだわる県にとって農薬五〇%以下は、環境保全や品質の安全性につながるとして、県内初となる「しがのベンチャー農業支援事業」に認定した。総事業費千五百万円のうち県と市で半分の七百五十万円が補助される。
 休耕田を利用した栽培面積五アールに、防虫ネットと三段棚を設けるほか、雨対策でブドウ栽培に用いられているアーチ型ハウスを取り入れた。これによって、殺虫剤などの減量やコストダウンが図れ、雨よけの保温効果で早期出荷が見込め、有利な販売戦略に期待を寄せている。

 ナシづくりは「幸水」「豊水」「筑水」「南水」の四種に取り組み、このうちトンネル栽培の保温効果で、収穫時期が一週間程度早まり、「幸水」の盆前収穫が可能となる。ナシを目玉商品に野菜、イチゴ、メロンなどの品数を増やし、七−十月の販売に付加価値を付ける。

 他の中間三人とともに「建部大凧生産組合」を設立し、農道を挟んでナシ団地(全面積一・五ヘクタール)を計画している。販売は、すべて直売といい、完成間近の外環状線沿いに、同市糠塚町に展開の直売所を設け、「村おこし」に結び付けたいとしている。

 すでにナシ苗を広島県廿日市市から取り寄せ、四メートル間隔で約三百本を植える準備をしているが、先進地研修で学んだ「植えるまでの土づくりが基本」を忠実に守り、今は土づくりに専念する毎日だ。寒風が吹き荒れるナシ棚を背に、三年後の収穫に夢膨らむ大谷さんにエールを送りたい。


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