滋賀報知新聞(ニュース)平成17年1月11日(火)第13998号


ブラジル文化・生活への理解深めて!

グローカルネット・シガ

国際理解教育研究会
=生活道具など教材に講座=

(湖西・大津市)
 教育者や国際NGO(非政府組織)、外国人住民などでつくる国際理解教育研究会「グローカルネット・シガ」(大津市、会員四十人)は、県内に住む日系ブラジル人の生活・文化への理解を深めてもらおうと、国際理解教材「ブラジルボックス」をつくり、学校や公民館へ講師を派遣して出張講座を開いている。この教材をつくった背景は、日系ブラジル人が県内在住外国人のうち半数を占めるほど増えたのに伴って、生活・文化の認識不足のため地域で様々な問題が起こっているため。とくに児童、生徒の場合は学校生活になじめないなど深刻で、「現場教師は危機感を持ってほしい」と訴えている。


民族衣装をつけてブラジル文化への理解を深める児童。左から安中シルレイさん、田尾ロザーネさん。(石部南小学校)
 「ボンジーヤ!」。湖南市立石部南小学校の四年生が、習ったばかりのブラジル語で元気にあいさつする。教壇に立つのは、彦根市国際協会の田尾ロザーネさんと湖南市教育委員会嘱託の安中シルレイさん。二人ともブラジルから来日し、家族と県内に在住している。この日は、同小がグローカルネットに出張講座を依頼し、講師として派遣された。

 同小にはブラジル、ペルー、中国から来日した子弟が通い、言語が不自由で遅れがちな学習に配慮して特別補修や、日本語教室を開いている。そのほか、国際理解教育として各国料理を給食の献立に盛り込んだり、音楽会などで国際色豊かな曲を選んでいる。

 講師のロザーネさんは「ブラジルは多民族国家で、互いの文化を認めあって生活している。日本でも理解しあいながら、ともに生活できるはず」、シルレイさんは「子どもたちはブラジルに強く関心を示しているので、もっと教えてあげたい」と教育の必要性を話す。

 滋賀県は内陸なので、国際化はそれほど進んでないと思えば、大きな間違い。ちなみに県民五十三・五人に一人が外国人登録者で、県内に二万八千八百人住んでいる。登録者を国籍別にみると、七年前までは韓国・朝鮮が最も多かったが、現在はブラジルがトップ(全体の四三%)で、大半が甲賀、東近江、湖北の三地域の工場で働く。

 課題解決の一環である国際理解教育教材「ブラジルボックス」には、同国の生活を撮影した写真、民族衣装、調理器具がぎっしり詰まっている。これにじかに触れ、観察して使い方を想像し、発見や理解する喜びを知ってもらうのが狙い。

 児童の反応は様々だ。一見、日本でもよくある赤ん坊人形だが、よく見ると耳にピアスをつけている。「赤ちゃんなのにピアスをつけているのはなぜ?」。児童は疑問に突き当たる。そこでロザーネさんは疑問に答える。「ブラジルでは女の子が生まれるとお守りとしてつける。みんながランドセルに神社のお守りをつけてもらうのと一緒」。

ブラジルの生活を紹介した写真、民族衣装、調理器具が詰まっている教材「ブラジルボックス」
 そんなやり取りの中で、異文化への興味が少しづつわいてくる。授業の合間、教材のひとつだった民族衣装を着たいと申し出た男の子がいた。ハンチング帽のような帽子に、赤いスカーフ、腹巻き。カラフルでおしゃれな衣装を身につけ、はにかみながらハイポーズ。とたんに希望する児童が次々と現れ、まるでファッションショーのはじまり、はじまり。児童たちは異文化理解への扉を開いたようだった。

国際理解教育教材 

「ブラジルボックス」

貸し出しと講師派遣


 グローカルネット・シガは、小学校や地域の公民館講座などを対象に、国際理解教育教材「ブラジルボックス」の貸し出しと講師派遣を受け付けている。対象は小学校低学年以上で一回四十人まで。講師にかかる謝礼、交通費、ボランティア保険料、教材の送料は県国際協会が負担する。なお、講師の派遣については二月二十日まで。問い合わせは同協会(電話077-526-0931)へ。


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テレビ映画「中江藤樹」完成

=旧安曇川町が町制50周年記念で制作=

(湖西・高島市)
 高島市安曇川町出身で、優れた教育者だった日本陽明学の祖・中江藤樹(一六〇八〜一六四八年)の生涯が映画化された。旧安曇川町が昨年、町制五十周年を記念して東映太秦映像に制作依頼し、一時間半の作品に仕上がった。藤樹を演じるのは、テレビドラマ「水戸黄門」の助さん役で知られる俳優・原田龍二さん。作品には、藤樹の燃え上がる情熱、知られざる青春像が見事に表現され、映画「中江藤樹」制作実行委員会は「藤樹が後世に伝えたかった“美しい心”を学んでほしい」とPRしている。

「美しい心」学んでほしい

東映制作 主演 原田龍二さん
藤樹を演じる原田龍二さん


 「本番、よーい、はい!」。映画撮影している安曇川河川敷で、メガホンをとる矢田清巳監督の声が響き渡る。人命を奪った川に橋をかけようと、藤樹が村人に呼びかけ、ともに作業に汗を流す場面。村人ふんするエキストラは地元住民八十人で、藤樹の教えを全国に広めようと集まった。

 藤樹役の原田さんも役柄づくりで文献を読み、その教えに感銘を受けた一人。「なんとかその高い志を演じきりたい。藤樹は美しい心を磨く工夫として、なごやかな顔つきをし、思いやりのある言葉で話しかけ、澄んだ眼でものごとを見つめ、耳を傾けて人の話を聴き、まごころをもって相手を思う、五事を挙げていたが、これを実行できる人でありたい」と語る。

 藤樹は、多くの徳行によって、没後に「近江聖人」とたたえられた。生まれながら誰もがもつ美しい心「良知」を磨き、それに従って実践すればやすらかな人生が送れると説いた。地元では今でも「先生」と慕われ、命日である旧暦八月二十五日(現在の九月二十五日)には、儒式の祭典が脈々と受け継がれている。

 ストーリーとしては、まだ若くして郡奉行を務めた藤樹が解決した百姓一揆や、切ない恋のエピソード、故郷に帰ってからの村人、門下生との心温まる交流を盛り込み、短い四十一年の生涯を感動的に描いている。撮影は、高島市の安曇川町や新旭町、愛媛県大洲市で行なわれた。

 実行委員会は「心傷む犯罪が横行する社会風潮で、ぜひ藤樹の教えを全国に広げ、その生き方に関心をもってほしい」としている。映画はDVDとビデオにまとめ、二月から販売する。問い合わせは安曇川公民館内の映画「中江藤樹」制作実行委員会(0740-32-0003)へ。

中江藤樹画像(藤樹書院蔵)
近江聖人中江藤樹


 藤樹は九歳の時、米子藩主・加藤貞泰に仕える祖父吉長の養子になり、加藤家転封に伴って大洲へ移った。二十七歳で母への孝養を理由に脱藩し、郷里小川村(高島市安曇川町上小川)へ帰る。村での藤樹は、大洲からきた武士、近郷の人々に居宅を開放して教えを広めた。主な弟子に熊沢蕃山。後に吉田松陰らに影響を与えた。

藤樹のふるさと散歩


藤樹の真筆「知良致」
 藤樹は「良知に致る」を教えの根本とした。「人は誰でも良知という美しい心をもって生まれてきているが、多くの人は様々な欲望のために美しい良知をくもらせる。私たちは自分の欲にうちかって、この良知を鏡のようにみがき、何ごともその良知の指図に従うようにしなければならない」というもの。寛保元年(一七四一年)、陽明学者三輪執斉が寄付した。藤樹書院蔵。

藤樹書院

 藤樹が門弟や村人たちに講議をした私塾。明治十三年(一八八〇年)に大火で焼失したが、明治十五年に再建された。遺品が多く展示されている。上小川。入館無料。0740-32-4156。

藤樹神社

 大正時代に建立され、中江藤樹を祀っている。入口の社標は杉浦剛、第一鳥居の額は東郷平八郎によって書かれたもの。藤樹の命日である九月二十五日には、神社の祭礼が行なわれる。上小川。

近江聖人 中江藤樹記念館

 藤樹に関する資料、遺品の展示のほか、安曇川町の歴史・文化も紹介されている。図書室では藤樹に関する資料だけでなく、陽明学、町の歴史、生活が記された文献が閲覧できる。上小川。二百円。0740-32-0330。

陽明園

 中江藤樹が影響を受けた学者王陽明の生地・中国浙江省余姚市(よようし)と、日本陽明学の祖藤樹の生地安曇川町の友好交流を記念して建設された中国式庭園。建築材料のほとんどが中国から輸入されたもので、中国の代表的な庭園を参考してつくられた。青柳。無料。0740-32-0330(中江藤樹記念館)。


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介護報酬を不正請求

=指定を取り消し=

(全 県)
 県はこのほど、介護報酬約千四百二十万円を不正に請求したとして、介護保険サービス会社「ケアセンター上田」(豊郷町)が能登川町垣見で運営する三事業所(訪問・通所・居宅介護)の指定を取り消した。

 県によると、サービス提供記録がないにもかかわらず、虚偽の訪問介護記録を作成して介護報酬を不正に請求したほか、利用者が定員に満たない場合、居宅介護の計画にないアパートの入居者に対し不適正なサービス提供を行った。また、実際には十分前後の居宅介護を、報酬対象となる二十分以上行ったように偽造するなど、一昨年二月から昨年十月の間に約千四百二十万円を不正に請求したという。


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