社説

■平成29年6月27日(火) 第17844号

総理のご意向

 「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が参院での委員会採決を省くという裏技を使って参院本会議で可決し成立した。
 「裏技」はTVゲームの世界でよく使われる言葉だが、正規の方法ではゲームの攻略が難しいときに、ゲームプログラムのバグ(誤り)を突いた卑怯な隠れたやり方といわれており、委員会採決の省略は議会制民主主義の基本理念である「国民の合意による政治」から逸脱した行為で、議会制民主主義の崩壊につながり独裁政治が牙をむいてきたといえる。
 更に同日、加計学園問題であれほど「文書は存在していない、出所が不明確な怪文書だ」と言い切っていたが、内閣府が文部科学省に「総理のご意向」などとして同学園への手続きを進める様に促した文書の存在が明らかにされた。
 獣医学部は昭和59年以降、既存の16大学で定員930人と定めて学部の新設を規制してきたが、計画されている加計学園獣医学部の定員は160人で一気に定員が約15%も増加することになる。
 公務員獣医師の需要が年々増しているがなり手が少なく、多くの自治体では定員を下回っており、長年獣医師数を固定化してきた文部科学省にも問題がある。
 麻生太郎財務相は「獣医学部の新設は獣医師の質の低下につながる」などと指摘していたが、結局、「総理のご意向」に従ったことになる。
 「テロ等準備罪」は裏技を使い、加計問題は「総理のご意向」でなどと民意が反映されておらず、日本丸は右に傾きつつあるのではないだろうか。



■平成29年6月24日(土) 第17842号

内閣支持率が危険水域を下回る

 18日に通常国会が閉会すると共に様々なメディアが安倍内閣の支持率を公表したが、予想されていたように支持率は大幅に下落し不支持率は上昇し、メディアの中には支持率36%で前回調査より10ポイント下落、不支持率は44%で前回より9ポイントも上昇したと報じた。
 内閣維持の危険水域とも言われる40%を下回った数字には政府与党内では危機感が走ったが、国民が疑問視している「加計学園、森友学園問題が全く解明されていないこと」、「共謀罪法案を多くの反対の声を押し切って強行採決をしたこと」など安倍内閣の強権政治に国民が「ノー」を突きつけた結果だろう。
 「共謀罪」は6月21日に公布され7月11日に施行されるが、どんなことが適用対象になるのか、国民には説明されていない。
 「共謀罪」の対象となる227の罪が挙げられているが、刑法では収賄、あっせん収賄、背任、準詐欺、横領、地方税法で軽油引取税に係る脱税、商品先物取引法では商品市場における取引等に関する風説の流布等、出資法では高金利の契約等、高保証料、特許法では特許権等の侵害、商標法では商標権等の侵害、所得税法では所得税の不納付、著作権法では著作権の侵害等、不正競争防止法では不正競争等、民事再生法では詐欺再生、破産法では詐欺破産などテロ等の準備に直接関係しない罪も「共謀罪」とみなされる恐れがあり、強行採決で法案の成立を図った内閣に不信感が増すのは当たり前だろう。



■平成29年6月22日(木) 第17840号

労働基準監督官は司法警察員

 長時間労働を放置する企業が社会問題化しているが、その企業の監視役を果たしているのが「労働基準監督署」で、労働基準法などに基づいて企業に対する監督及び労災保険の給付などを行う厚生労働省の所管である。
 労働基準監督署の職員には労働基準監督官、厚生労働事務官、厚生労働技官などがあり、特に労働基準監督官及び労働基準監督署長は司法警察員で労働基準法違反などの事件に関して捜査権を持ち、刑事告訴・告発を行うことが出来る。
 司法警察員の代表は警察官であり、他に特別司法警察員として陸上・海上・航空自衛隊の各警務官の三等以上の曹階級以上の者、労働基準監督官、麻薬取締官、麻薬取締員があり、逮捕、捜査、告訴、検察官へ事件送致などを行う。
 政府の規制改革推進会議は安倍首相に対して労基署の業務の一部を民間に開放して人材不足を補うとし、その対象として社会保険労務士へ委託することを答申することが明らかになった。
 しかし、労基署の業務には司法警察員としての業務が必要となることもあり、社労士への委託の範囲も限定されるだろう。
 いずれにしても規制緩和をして可能な限り民間へ委託することは行政コストを下げることになり、国や地方の財政状況の改善になり、民間に雇用も生まれるであろう。
 何事も規制で縛られている官僚体制を打ち砕く為にも、今後ますます思い切った規制緩和が必要なときではないだろうか。



■平成29年6月20日(火) 第17838号

議員は全体の奉仕者である

 大津市議会で県内11市の議会事務局職員30人が参加して、講師に元三重県知事の北川正恭氏を招いて研修会を開催した。
 地方分権に至った経緯や議会不要論を覆す必要があると話したあと、一部の地方自治体で起きた政務活動費の不正支出は「議員と議会事務局との共犯だ」とキッパリ切り捨て、「職員が支出に疑問を持ったならば議員に問いただすべきだ」とも付け加えた。
 更に「議会は市民の代表で市民の利益になるような条例や規則、政策提言が大切であり、議会の体質が変わらなければ地方は元気にならない」と締めくくった。
 中央の東京に習った東京一極集中では地方はいつまでたっても育たず、地方には地方ならではの良い所や地方が利している所があり、それを見極めるには市民の声を充分反映した議会が必要である。
 市議会議員は特別公務員で憲法に「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と謳ってあり、市民の代表ならば市民の声を議会に反映させる責務があり、間違っても市民が望まない行動はあってはならない。
 市民からは議会に対して地域の問題、行財政改革、公務員給与問題など様々な要望や改革を望む声が多く、議会には市民の声が届くことが正常な議会運営と言えよう。
 議員諸君、貴方の後ろを振り返れば貴方を信じて一票を投じた有権者が数多くいるはずだ。
 議員としての行動が貴方を支持した有権者を裏切っていないか問い正せ。
 民意はそこにある。



■平成29年6月15日(木) 第17834号

自民vs都民ファーストの会

 東京都の予算は約13兆円でスウェーデンの国家予算と同額、ロシアの国家予算の半分であり、滋賀県の29年度一般予算5343億円とは桁違いの予算である。
 小池百合子東京都知事が誕生して様々問題点を都民や国民に問いかけているが、都議会は都政野党である自民が最大会派で定数127議席のうち57議席(約45%)を占めており、都政与党である都民ファーストと公明をあわせても27議席にしか及ばず、小池都知事が宣言する「東京大改革」、特に都政の透明化や行財政改革の推進は一向に進んでいない。
 都議選は6月23日告示、7月2日の投開票まで1ヵ月を切っており、自民60人、都民ファースト42人、公明23人、民進22人、無所属で都民ファースト推薦9人などと自民VS都民ファーストの対決姿勢が明確になってきた。
 そんな中、自民党の大西英男衆院議員は党内で受動喫煙対策を論議した際にがん患者について「働かなくていいのではないか」と発言し、党内からもひんしゅくを買って「患者や元患者の気持ちを傷つけた」として謝罪し、自民党都連副会長を辞任したが、発言の取り消しをしなかった。
 その結果、地元の江戸川区の自民党公認候補者の街頭演説に参加を見合わせる事態となっている。
 一方、自民党の若狭勝衆院議員は都議選で都民ファーストの会を支援する為に自民党に進退伺いを出した。
 理解されない謝罪をする議員、潔くけじめをつける議員、国民から支持を受ける議員は明らかだろう。



■平成29年6月13日(火) 第17832号

防災無線設置は難航する

 先月から各区長さんに「東近江市防災情報告知放送システム整備事業」の「戸別受信機」設置についての説明が始まっている。
 この事業は平成28年8月5日に一般競争で入札が行われて、パナソニックシステムネットワーク(株)システムソリューションズジャパンカンパニー関西社が15億1600万円で落札している。
 入札参加業者はパナソニックの一社、落札金額は予定価格の97%と見方によれば同社と随意契約で競争のない価格で落札しているとも言え、行政のどなたが計画したのか分からないが不透明な点が多い。
 すべての世帯に「受信機」を無料で設置して貸与する為に、事前に区長さんに説明と理解を求めているが、区長さんからは「必要ないし、工事費用をお金でください、ほかに必要なものに使います」、「独居老人宅など一人住まいの世帯に区長と民生委員の立会いが必要で手間が大変だ」、「母屋の居間につけるのが無料でも、新家や別宅につけるのが有料ならば費用がかさむしいらない」などの声が聞こえる。
 合併時に約100億円近くかけてケーブルテレビを設置して防災情報を流しているが、更に約15億円もかけて防災無線が必要なのか、防災も目的の一つであったケーブルテレビはどのように位置づけるのかなどと行政の一貫性が見受けられない。
 更に防災無線は旧蒲生町には全世帯にあったが合併時に廃棄した経緯があり、その有効性は立証されていない。
 市民が早急に必要とすることに予算が付くのは何時のことやら。



■平成29年6月8日(木) 第17828号

ビールの安売りが出来なくなる?

 酒税法の改正が昨年6月3日に公布されて、いよいよ今月から施行される。
 改正のポイントは酒類の過度な安売りを防ぐ為に量販店などに罰則を科す取引基準が示され、仕入原価と管理費の合計を下回る販売や、近所の販売事業者の売り上げ減少につながった場合に罰せられ、小規模な小売店を守る狙いがあるといえるが自由な価格競争に水をさすことになる。
 国税庁は「酒類の公正な取引を促すために酒類製造業者が遵守すべき公正な取引の基準を定める」などを改正の理由としているが、スーパーや量販店が集客の目玉としての酒類の安売り規制の強化で独占禁止法の不当廉売よりも厳しい規制となり、原価を割る販売をした場合は国税庁が行政指導を行い最悪の場合は酒販免許の取り消しになる。
 しかし、酒類の仕入原価は各銘柄や品目によって異なり、それに加える管理費にいたっては酒類に限る人件費を加味する為に真の仕入原価の算出には困難をきたすだろう。
 例えば缶ビール1缶(350ml)の販売価格は約205円で、その内酒税は77円で約40%が税金であり、消費税も加算される高税率商品である。
 酒税は国の税収上重要な位置を占めており、酒類の公平な取引を図り適切な税収を確保することが改正の目的だろうが、議員立法で決まった改正法は誰の為の改正か理解しがたい。
 酒類の納税は製造業者が国税庁に出荷時に納税しており、税の取りはぐれはないはずで、酒類の販売は自由競争であるから販売価格は業者が決定すべきだ。


■平成29年6月6日(火) 第17826号

東近江市議選は10月22日

 6日、東近江市議会は6月定例会の質問・原稿を締め切り、同市議会議員は10月31日に任期満了を迎える為に、定例会は残すところ後2回となった。
 市議会の定例会は党利党略の場ではなく市内の様々な問題や市民の声などを行政に直接問いただす唯一の機関であり年間4回開催されている。
 定例会では代表質問が25〜65分、一般質問が議員一人当たり25分の質問時間があり、答弁によっては時間内に再質問を行い行政の姿勢を厳しく問い追及することも出来る。
 その質問内容や再質問が議員の力量の一つといえ議員の能力を見極めることが出来るから議員にとって質問することは重要であり、市民は質問内容や再質問を聞けば議員の資質を判断することもでき、定数25人が如何なる質問をするのか市民の関心は高い。
 5月に東近江市には東近江創生研究会が誕生して、東近江市活性化の意見交換会を開催しているが、今後は現職議員と共に「夢ある未来の東近江市」の牽引力になろうと市民からも活動が起こっている。
 東近江市議選は10月22日に投開票される新しい選良が誕生するが、今後様々な税収や国からの交付金などが落ち込むことが予想される為に、確かな議会人を選出しなければ弱体化した地方自治は埋没しかねない状況である。
 更に、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた為に、若い人たちの意見も反映される議会であるべきだろう。
 若い力を加えて新たな議会構成の創出が必要なときかもしれない。



■平成29年6月1日(木) 第17822号

治安維持と組織的犯罪処罰法

 5月23日に組織犯罪を計画段階で罰することが出来る「テロ等準備罪」を新設した「組織的犯罪処罰法改正案」が自公維の賛成で衆院を通過した。
 これまでの日本の法律では一部の例外を除いて罪を犯さなければ「犯罪」は成立せず、犯罪行為を頭の中で考えただけでは罰することが出来なかったが、「テロ等準備罪」が成立すれば2人以上の組織的犯罪集団が犯罪を計画し、現場の下見や犯行に使えるだろうと判断される道具類を集めるなどすれば計画段階で立件することができ、罰することができる。
 その行為を見極める為には、同罪の疑いがあれば事前に通話記録やメールのやり取り、会話などが捜査の対象となり、犯罪が未然に防げれば良いが誤認捜査して個人情報などを調べられた挙句にその事実がなければ罪にならず、捜査対象者には全く迷惑であり知らせる必要がない個人情報が流出することになる。
 同日に英国中部のマンチェスターで爆弾テロが起き、多数の一般市民が死傷したが、英国には「2006年テロリズム法」があり、テロ活動の実行の意図を持って準備を行った者は犯罪を行ったものとするとあり、背景にはイスラム過激派の影響力による英国内のイスラム教徒、特にその若者層がテロリズムに走るのを阻止することを主目的としている。
 同法を拡大解釈すれば「治安維持」の一言ですべての個人情報に入り込むことができ、戦前の「治安維持法」に類似しており不当逮捕も予想され賛成しかねる。



■平成29年5月30日(火) 第17820号

税収増と市民の要望

 東近江市の桜の季節はとっくに過ぎ去ったが、八日市駅から松尾神社への参道の桜は踏切拡張のために本数は減ったが今年も綺麗に咲いていた。
 「近江鉄道浜野踏切」は平成25・26年度の2年間で完成したが、近江鉄道との協定書を締結するまでには紆余曲折があった。
 踏切拡張改良工事費用が近江鉄道の工事費、関連する周辺の道路整備のための用地買収や補償などを含めて約6億5千万円もかかり、「高すぎるのでは」などと一部の市民からは工事費用や周辺の道路整備費用などに疑問の声が聞かれた。
 「一般土木工事や道路工事に比べて高くついた」と関係者は話すが、浜野自治区民のみならず、八日市から五個荘方面への利用者は狭かった踏切での危険性が回避され車の流れがスムーズになり安心安全が確保されたとの声もある。
 「浜野の踏切、随分と通りやすくなったなー」と市民の声を聞くことが出来るようになり、高くついた踏切工事だが税が生きているといえよう。
 市内には改良を望む道路や施設、待機児童解消の強い要望、「東近江市は一つ」を強い現実にする為に能登川・八日市・蒲生を結ぶ動脈の確保など、市民からの要望は後を絶たない。
 行政担当者からは「もっと税収があれば」の声が聞かれるが、地方経済が冷え込む状況での税収増は難しい。
 苦肉の策といえる「ふるさと納税」も返礼品は3割までと総務省からの強いお達しがある。
 税収増と市民の要望、これを実現することが行政手腕かもしれない。