社説

■平成30年4月26日(木) 第18099号

インバウンドの新たな動き作り

 日本へ外国人が訪れてくる旅行のことを「インバウンド」というが、政府は2020年に訪日外国人旅行者を4000万人とする「観光先進国」づくりを目指し、「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定した。
 2017年のインバウンド消費額は4兆4162億円で、国籍国別では中国が1兆6947億円、台湾が5744億円、韓国が5126億円などとなっており、都道府県別の推計では東京都が1兆6862億円、大阪府が8709億円、北海道が2857億円などとなっている。
 上位10の都道府県で約90%を占めており、外国人旅行者による経済効果は特定の都道府県に偏っていると思われる。
 滋賀県商工観光部観光企画係に滋賀県のインバウンド消費額を問い合わせたところ、旅行者の数や一人当たりの消費額は把握しているが、県全体の消費額は推計すらしていない状態だ。
 政府は「観光先進国」への新たな国づくりを目指すが、消費額は東京都が約40%、大阪府が約20%と東京都の比率が圧倒的に多く、結局、インバウンドでの経済効果も東京一極集中になることが予想される。
 6月に解禁される「民泊」でインバウンドの動向も変化してくるだろうが、政府が目指す政策やインバウンド消費をいかに取り込むかが大きな課題であり、地方経済活性化にどのように結びつけるかが今後の「鍵」となるだろう。
 地方が長年受け継いできた文化・伝統・歴史を磨くことにより、インバウンドの新たな動きを生み出すことが出来る。


■平成30年4月24日(火) 第18097号

懇談会資料は最良の出来映えだ

 先月、東近江市工業会が設立5周年度を迎えて記念経済懇談会を開催した。
 同会は、東近江市内の製造業はじめモノづくりを営む者が持続的自立的に発展すること、ならびに地域に貢献することを目的として、平成7年8月に設立された「八日市工業クラブ」を前身として平成24年4月に設立された。
 懇談会は「機械学習の現在と可能性」と題して李周浩立命館大学教授の記念講演と同時に小椋正清東近江市長を交えた特別懇談会が開催された。
 特別懇談会には森清近畿経済産業局長、各議員、商工会議所・商工会関係者、市内金融機関の役員など21名が出席して、資料として「東近江市の特性と産業振興」(A4・16頁)が配布され、南川喜代和東近江副市長が説明を行った。
 東近江市の概要、歴史、企業立地推進の取組、創生総合戦略、商工業振興の取組、道路整備、中心市街地活性化の取組、今後の取組等が、事細かくわかりやすく作成してあり、東近江市にゆかりがなくとも市の現状が資料を見るだけで充分理解できた。
 この資料は最良の出来といっても過言ではなく、当時の植田光彦秘書課長補佐を中心として編集されたと聞いている。
 国会でキャリア官僚が「記憶にございません」などと国民には全く理解できない答弁を繰り返す国家公務員とは対照的に、地方にも優れた能力を持った地方公務員が多数いることを実感した懇談会だった。
 官僚になれば何故、事なかれ主義に走るのか疑問で、本国会では地方公務員の方が優っているとさえ感じる。


■平成30年4月19日(木) 第18093号

内閣不信で官僚の造反か

 9日、参院決算委員会で西田昌司議員(自民党)は財務省太田充理財局長に「ばかか!」と罵声を浴びせた。
 議事録が残る公式の場では議員が局長を「ばか」呼ばわりすることはまずないだろうが、森友学園への国有地売却で値引きの根拠とされたごみの撤去について、財務省理財局側から学園側に「口裏合わせ」を依頼したことを認めたことに対して、西田議員は怒り心頭でつい口に出た言葉だったに違いない。
 この馬鹿呼ばわりは単に答弁した理財局長のみならず、国家公務員全員に対する罵声で、その背景には国会議員と国家公務員との関係が変わってきているとも取れる。
 国家公務員は国会議員の言われるままに委員会での答弁書を作成して、疑問を持ちながらも国への忠義を果たしていると思っているだろうが、それは錯覚である。
 国家のことを真に憂慮するならば、国会議員からの不条理な要求は毅然たる態度で法を逸脱することは拒否すべきで、国家公務員は国会議員をいさめるべき立場であり、国民の公僕で国会議員の下部(しもべ)ではない。
 各省の幹部人事を事務方である官僚に牛耳られて、国会議員は官僚の傀儡とまで言われていたが、2014年に内閣官房に内閣人事局を設置して国家公務員の人事管理を内閣が牛耳ることになった。
 国会議員の下に官僚が位置づけられるようになり、おのずから人事権をもつ内閣に忖度するようになったと思われる。
 更に、次から次へと内閣が窮地に追い込まれていく影には官僚の造反があるのかもしれない。


■平成30年4月17日(火) 第18091号

テーマ型ふるさと納税を行政が検討せよ

 ふるさと納税制度がスタートして10年目を迎えるが、市町村が競うように豪華な返礼品を贈るようになり納税額が急増して、今や返礼品合戦になっているといっても過言ではない。
 ふるさと納税で大幅に税収が落ち込んだ自治体は言うまでもなく東京23区で、世田谷区で30億8千万円、杉並区で13億9千万円と区民税が全国の市町村に流出している。
 東京23区は返礼品合戦への参加は消極的だったが、多額の税の流出に対して「テーマ型ふるさと納税」を創出し、市町村からの税の逆流を目論んでいる。
 東近江市の場合、平成28年度決算ベースで約2億2千万円の収入、返礼品やシステム使用料で約1億1千2百万円、市外へ流出する市民税が約4千7百万円で差し引き約6千万円がふるさと納税で税増収となっている。
 特に返礼品の大部分は高島屋が扱う為に納税額の約50%が高島屋に支払われている。(高島屋が扱っていない返礼品の場合は約30%)
 システム使用料としてふるさとチョイスやヤフーなどのポータルサイトに約420万円支払っているが、別途に行政がお礼状を贈る為に約300万円の費用がかかっている。
 多数の会員を持つ高島屋と契約してそのブランド力でふるさと納税は急増したが、高島屋との契約にこぎ着けられたのは民間の力で、行政の力ではない。
 返礼品合戦に巻き込まれず、東京23区が提案している様な東近江市独自の「テーマ型ふるさと納税」を、今度は行政自らが検討すべきだろう。


■平成30年4月12日(木) 第18087号

衆院選挙区の市区町分割は解消すべきだ

 自民党は憲法改正原案作りのたたき台となる4項目の条文案を固めたが、その1項目に「参院選の合区解消」が謳ってある。
 その内容は、参院選で3年の改選ごとに各都道府県から議員を1人以上選出できるようにする、衆院選で市区町が複数の選挙区に分かれている状況を是正するとある。
 2016年参院選では鳥取と島根、徳島と高知の選挙区が合区されたが、単に一票の格差を是正する為に住民の生活実態を無視し、県域をまたがる広範囲な選挙区である為に有権者からは「人口が少ないから合区するのか、数合わせの合区だ」と非難轟々だった。
 合区の当選者からは出身県のみならずお隣の県民の声を聞く必要があり、ともすれば有権者から「片手落ちだ」との声も聞かれ、解消は当然のことだろう。
 更に、2017年の衆院選では複数の選挙区に分割される市区町が全国で105あった。滋賀県では東近江市がその対象で、旧湖東町と旧愛東町が第2選挙区でそれ以外は第4選挙区と二つの選挙区で分割されており、第2選挙区は上野賢一議員、第4選挙区は小寺裕雄議員がそれぞれ選出されている。
 自民党の条文案では憲法第47条に「衆参両院の選挙区は人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して定める」を加え、市町村を基礎として、住民の意思を明確に反映するとしている。
 自民党が改憲案の概要を発表したからには今夏の県議選補選で「東近江市日野町愛荘町選挙区」の立候補者に影響が出るだろう。


■平成30年4月10日(火) 第18085号

危ない、点検されていない東近江市の施設

 平成28年度東近江市議会6月定例会で、特殊建築物の安全性を確かめる資格を有する者が、法律の定める周期で点検を実施することが建築基準法第12条2項に義務付けられていると指摘があった。
 特殊建築物とは学校、体育館、病院などで、その用途に供する面積が100Fを超えるものと定義されており、官公庁の施設はほとんどがその対象となっており、「この建築基準法は平成17年からだが、東近江市は24年度から実施しているが、合併で多くの施設を抱えることになり実施できていない施設もある」との答弁があった。
 当社の調査によると東近江市の教育関係施設のほとんどは法定点検が実施され結果報告書も保存されているが、その他の施設はほとんど実施されておらず、点検結果報告書もない状態である。
 コミュニティーセンターなどの市民が集う場所である建築物は建築されてから全く点検すら行っていない状態で、損傷、腐食の有無さえ把握できていない状態で、何も知らずに市民が利用している。
 一部の施設点検を請け負った業者からは「建築物の図面が保存されていないなどお粗末な状態で、手探りで図面を再現しながら点検を行った」などと危機管理が全く出来ていないとの声がある。
 東近江市総務部管財課は平成31年度から実施すると話すが、危機管理が積極的といわれる東近江市だけに、いつまでも点検を先延ばしせず速やかに行うべきだ。
 「安心安全」の四文字は東近江市から消え去ったのか。


■平成30年4月5日(木) 第18081号

コンビニからドラッグストアへ

 全国的にドラッグストアの新店舗展開が進んでおり、東近江市八日市地区を例に取るとウエルシア2店、ドラッグユタカ2店、スギ薬局2店、アオキ2店、キリン堂1店、サンドラッグ1店、ざっと数えても既存店が10店舗、そこにアオキ、コスモスの2店が新たに開店する予定で、明らかにオーバーストア状態といえる。
 ドラッグストアは一般用医薬品、健康・美容に関する商品、日用品、食品を販売する小売業だが、2017年の市場規模は約6兆5千億円、店舗数は1万8874店舗と、市場規模で約5%、店舗数で約2%と年々増加している。
 販売品の割合は医薬品・調剤が約25%、残りの日用品や食品などの売上増で伸びていると思われる。
 対照的に、消費者に定着しているコンビニエンスストアの客数は24ヶ月連続で減少し続けており、増え続けるドラッグストアやインターネット通販の増加が減少の原因と考えられる。
 コンビニが急増した時期に既存の大手スーパーなどの量販店の売上が減少し、閉店等を余儀なくされたところもあるが、既にコンビニ間での客の奪い合いが始まっていると共に、ドラッグストアの急増によりコンビニの客が減少傾向にあるのが現状だろう。
 ドラッグストアも大手が中小を合併や買収するなど、小売業界地図も大きく変化している。
 スーパーからコンビニへ、ドラッグへと消費者のニーズが変わっていくが、各店で消費期限が近づいた食品が多数廃棄処分されており、無駄のない利便性を求めたい。


■平成30年4月3日(火) 第18079号

(仮称)黒丸スマートICの実現へ

 東近江市議会3月定例会で西崎彰議員(東近江市民クラブ)が「黒丸パーキングエリアに接続するスマートインターチェンジの設置は、周辺に工業団地や布引運動公園もあり効果大である」と市の考え方を問い、黄地正治都市整備部長は「国道421号線は渋滞が多く八日市ICが機能していない。黒丸パーキングエリア周辺にスマートICを設置することにより、企業立地促進、産業の活性化、観光振興、布引運動公園の災害時の機能強化等が期待できる為、スマートICの設置は本市の発展のために必要である」と黒丸スマートIC(仮称)の必要性を認めた。
 過去にびわこ空港計画があり、空港までの高速道路アクセスとして黒丸パーキングにICを設置する計画があったが、2013年に嘉田元県知事時代に計画は廃止されたが、計画廃止後も「黒丸にICを」の市民の声は大きい。
 布引丘陵にグリーンスタジアムを建設したが、公共交通手段がない、周辺に飲食施設がないなど、グリーンスタジアムを含む布引運動公園は不便だとの声に、「黒丸にICを」が現実味を帯びてきている。
 幾度となく地元経済団体などが黒丸パーキングを含む布引丘陵の総合開発を提案しており、スマートIC設置が実現すれば周辺開発に弾みがつくだろう。
 特に黒丸パーキング周辺の地権者数は限られており、用地問題でことなく開発計画は進めやすい。
 高速道路のパーキングが単なる休憩施設ではなく、市民が寄り集う複合施設に変化している現実もある。


■平成30年3月29日(木) 第18075号

教育には権力不介入

 文部科学省の前川喜平前事務次官が名古屋市立中学校で講演した内容を文科省が名古屋市教育委員会に報告を求めた問題で、その講演の経緯など詳細を自民党議員が文科省に求めていたことが発覚した。
 当初、文科省は要求してきた議員名の公表を避けていたが、「個別の授業内容を問い合わせるのは異例だ」との世論に2人の議員名が公表された。
 公表を求める際、前川前事務次官の辞任にいたる経緯をぶり返しているが、公表された議員2名は共に自民党で党の文部科学部に所属しており、参院比例区で日蓮宗・全国専修学校各種学校連合会の支援を受け党内8位で当選した赤池誠章参院議員(同部会長)、2017年の衆院選愛知第3選挙区で落選し東海ブロックから比例復活した池田佳隆衆院議員(同部会長代理)で、池田議員は運動員が2012年公職選挙法違反(買収約束、事前運動)容疑で逮捕される不祥事がある。
 今回の事象は特定の人物に対しての詳細な調査要求で、政治が教育へ介入する行為であり過去に例を見ない。
 教育基本法には「個人の尊厳を重んじ、教育の目的を達成する為には、学問の自由を尊重する」とあり、特に第16条には「教育は不当な支配に服することなく」と権力不介入と明記されている。
 自民党文部科学部所属の議員ならば教育基本法は充分理解されていると思われるが、文科省を介して前川氏の行動に無言の圧力をかけたのではないか、池田佳隆衆院議員は、問題が発覚後もマスコミの取材に全く応じなかった。


■平成30年3月27日(火) 第18073号

財務省の決裁文書改ざんの原点

 先週、安倍内閣の支持率が30%近くまで急落し不支持が支持を大きく上回ったと報道された。
 原因は言うまでもなく「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改ざん問題で、行政、政府、議員関係者が関与した疑惑もある。
 昨年10月、森友学園・加計学園の問題を審議すべきとする野党の臨時国会の開会要求を受け入れず、安倍晋三首相は衆院解散総選挙に突入した。
 北朝鮮の脅威を国民にあおりながらその対策に万全を期す、消費増税分の使途を変更して幼児教育無償化にあてるなど、国会で審議されていない事案を突然総選挙の争点とし、野党の足並みが揃わないのを見据えた選挙で自民の大勝に終わった。
 国民が北朝鮮の脅威に戦慄を感じる中、森友学園の籠池夫妻が逮捕拘留されて「森友問題」が話題に上らなくなり、この問題は終息したように思えたが、朝日新聞が「国有財産売却に関する決裁書の改ざん」をスクープして、一気に「森友問題」が再燃した。
 臨時国会で「森友問題」の審議を求められたが、解散総選挙で大勝すればこの問題もいずれは忘れ去られるだろうという、国民感情を無視した政府に対して疑惑を持ち続けていた国民の怒りが表面化したといえる。
 参院予算委員会で「森友問題」の集中審議を行い、決裁文書の改ざんを一官僚や財務省の責任にしようとする政府与党だが、森友学園に安倍昭恵首相夫人が全く関わっていなかったら、「森友問題」は起こらなかったといえ、事の原点はここだろう。