社説

■平成29年8月22日(火) 第17891号

記録的短時間大雨情報

 迷走した台風5号が近畿地方を直撃して大雨をもたらし、各地で災害を引き起こしたが、東近江市付近ではレーダー解析により7日午後9時20分までの1時間に約90ミリの猛烈な雨が降ったと見られ、気象庁は災害の危機が迫っているとして「記録的短時間大雨情報」を発表した。
 「記録的短時間大雨情報」は気象庁のHPによると「大雨警報発表中に現在の降雨がその地域にとって土砂災害や浸水害、中小河川の洪水害の発生につながるような、稀にしか観測しない雨量であることを知らせる為に発表するもので、大雨を観測した観測点名や市町村等を明記している」とあり、当日は「記録的短時間大雨情報、東近江市」と発表した。
 小椋東近江市長が「東近江市は鈴鹿山脈からの山の恵みを受け、愛知川と日野川流域に肥沃な農地が広がり、琵琶湖へと続く多様性のある豊かな地域です」とよく話している様に、東近江市は東西に長く一言に東近江市といわれても永源寺の山の中なのか、能登川の水郷あたりなのか分かりにくい。
 合併した1市6町の各地域の気候は全く異なっており、「東近江市永源寺町、東近江市能登川町」などのように合併前の市町名を入れて地区を限定すれば、市民には分かりやすく緊急時には速やかに避難行動を取ることができる。
 各地区には「まちづくり協議会」が設置してあり、合併前の役場の様な役割を果たしており、合併前の名称を使っている。
 危機管理上、地区を限定する表現は大切ではないだろうか。



■平成29年8月17日(木) 第17887号

核のごみを国民に押し付けるな

 原子力発電所などから排出される高レベル放射性廃棄物(通称・核のごみ)の最終処分地が未だに決まっていないが、経産省は最終処分できる可能性のある地域を示した「科学的特性マップ」を公表した。
 核のごみは数万年にわたって強い放射線を出す為に、その処分方法として海洋投棄(全面禁止済)、宇宙処分などが検討されたが、日本では地下3百m以下の強固な岩盤に埋設する「地下埋設処分」だけが唯一の方法だろう。
 幌延深地層研究センターで研究されている「核のごみ」の地層処分をテーマにした講演会では「科学的とはいえず国民の理解が得られるとは思えない」と厳しく批判しており、研究者や国民が反発してきた状況での経産省の公表は国民感情を逆撫でしたに違いない。
 高レベル放射性廃棄物はガラスビーズを混ぜてステンレス容器に封入して固めた「ガラス固化体」(約5百kg)にして保存するが、青森県六ヶ所再処理工場内の放射線廃棄物貯蔵管理センターで約2千2百本、再処理工場内に346本、東海村再処理工場に247本が保存されている。
 日本国内には約1万7千トンの使用済み核燃料がありこれらを処理してガラス固化体を作ると約2万5千本になり、原発が運転を続ける限り使用済み核燃料は増え続ける。
 昭和38年に商業用原発が運転を始めたときから使用済み核燃料は増え続けているが、「核のごみ」については検討が進んでおらず、今になって50年以上のツケを国民に押し付けるとは経産省は何をしていたのか。



■平成29年8月15日(火) 第17885号

広島、長崎の被爆者の叫びは

 2017年7月7日、国連本部で核兵器禁止条約が賛成多数で可決された。
 核兵器禁止条約とは核兵器の開発、保有、実験、使用のみならず核兵器を使用すると威嚇する行為を法的に禁止する国際条約で、締結国は核兵器や核爆発装置を所有、管理などしていれば申告しなければならず、条約には核兵器は非人道的で違法であると明示されている。
 条約の可決に至るまでに幾度となく交渉会議が開催され、国連加盟国193カ国の約70%である129カ国が参加したが、核保有国であるロシア、米国、フランス、中国、英国、実質的核保有国であるインド、パキスタン、北朝鮮、イスラエル、米国の「核の傘」に依存する日本、ドイツ、韓国、ポーランド、イタリア、カナダは不参加であった。
 条約の前文で「核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道上の帰結を憂慮する」と明示し、広島、長崎の被爆者の訴えを受けて「核兵器使用の被爆者(ヒバクシャ)と核実験の被害者の受け入れがたい苦しみと被害に留意する」とも明示されている。
 現実に核兵器の犠牲になった日本は米国の圧力を受けて「建設的かつ誠実に参加することは困難だ」として交渉会議には参加しておらず、世界で唯一の被爆国として核兵器廃絶を主導してきた日本は条約の賛成国からは後ろ指を指されるだろう。
 一発の原子爆弾で一瞬にして広島では約17万人が、長崎では約8万人が命を落とし、今尚被爆の後遺症に苦しんでいるヒバクシャの叫びは日本国政府には馬耳東風なのか。


■平成29年8月10日(木) 第17881号

関西ワンパスは交通系ICカード

 先月、観光庁は今年の1〜6月の訪日外国人客による消費額が初めて2兆円を超えたと発表した。
 特に中国で数億人に普及しているといわれるスマホ決済手段である「アリペイ」を使って、中国人観光客が支払をするようになったことも増加した要因といえる。
 日本の交通体系の複雑な料金支払を簡単にして、訪日外国人客の国内移動が楽になるようにと関西の鉄道9事業者(JR西日本、南海電鉄、阪急電鉄、京阪電鉄、近畿日本鉄道、阪神電鉄、京都市交通局、大阪市交通局、神戸市交通局)と関西経済連合会などが昨年度実証実験を行った外国人客向けのICカード乗車券「KANSAI ONE PASS」(関西ワンパス)の通年販売を始めた。
 関西ワンパスはJR西日本の「ICOCA」をベースとしたチャージ式交通ICカードで、キップを買う手間が省けると共に観光地で各種割引が受けられる為に、訪日外国人客による消費のかさ上げにつながるだろう。
 しかし、県内の近江鉄道が参加していない為に、訪日外国人客にとっては県内の一部が観光において陸の孤島になる恐れがある。
 更に、日本マクドナルドは今月1日より全国約2900店舗で交通系ICカードが利用出来るようになり、利便性を高めて集客増を目指している。
 コンビニの支払や飲料水の自動販売機にまで利用が可能となり、庶民の身近な決済手段になった「交通系ICカード」。
 今後も様々な支払先が増えることが予想され、「交通系ICカード」は現代生活の必需品になっているといえる。



■平成29年8月8日(火) 第17879号

題字を使った売名行為と疑われる

 高年齢者雇用安定法に基づいて各市町村に高齢者の自主的な団体に「シルバー人材センター」があり、臨時や短期で軽微な作業を請け負ったりする公益法人である。
 東近江市にも設置されており、その業務内容はHPによると「家庭教師や剪定作業などの技術や技能を要する仕事」、「一般経理事務などの事務的な仕事」、「駐輪場の管理などの管理分野」、「清掃などの一般作業」、「家事や育児などのサービス分野」と多岐にわたっており、市民や各種団体などにとってはなくてはならない存在であり大変重宝に利用されている。
 東近江市はシルバー人材センターに対して高齢者現役世代雇用サポート事業として1300万円、運営費補助として約710万円を予算化して公費を支出している。
 同センターは定時総会の報告や活動を広く市民に告知する為に、年1回「シルバー東近江」と題して広報誌を発行しており、8月1日号は40000部発行して全戸配布されている。
 この広報誌の題字は小椋正清東近江市長が初当選時に同センターが依頼して書いてもらったものだが、今年もその題字下に「題字:東近江市長 小椋正清」とご丁寧に書かれている。
 東近江市が補助金を支払っている団体の広報誌の題字にわざわざ個人名を書き入れることは売名行為ととられても仕方がないだろう。
 東近江市民の税を使っての事業であれば「題字:東近江市長」で留めるべきであり、他の行為についても同様の事が言えるのではないだろうか。



■平成29年8月3日(木) 第17875号

臨時国会で冒頭解散か

 民進党の蓮舫氏が記者会見で「一議員にもどります」と党の代表職を投げ出した。
 都議選の惨敗後も続投を表明して党執行部の人事に取り掛かるとしていただけに、突然の辞任表明に党内には激震が走ったに違いないが、辞任するならば都議選惨敗の結果を受けて直ちに表明すべきであった。
 時同じくして、稲田朋美防衛相が辞意を表明したが、3日の内閣改造まで一週間というタイミング、以前から防衛省や自衛隊内でも反発があったこと、都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言したこと、自衛隊日報問題で特別防衛監察の結果などが原因と思われるが、辞任は遅すぎたとは誰しもの意見だろう。
 都議選での発言で選挙戦の最中でも安倍首相が稲田防衛相を罷免していれば、東京都自民党の大敗はなかっただろう。
 2016年の民進党代表選では、投票者が地方自治体議員、党員・サポーター、公認内定者(衆院127人、参院0人)、国会議員(衆参146人)で60日以内に新代表選出を行っている。
 今回も同様ならば60日以内に臨時党大会を開催して代表選を直接選挙で行えば、9月中に新代表が決定されるがそれまでは代表不在の政治空白が続く。
 野党は日本国憲法第53条に基づき臨時国会召集を求めており、それに応じて民進党の代表が不在ならば選挙戦は戦えない、更に小池都知事が国民ファーストの国政政党を作る前に、国会を召集して冒頭解散の可能性もある。



■平成29年8月1日(火) 第17873号

コミュニティバスは無料化へ

 東近江市議会6月定例会で戸嶋孝司議員が東近江コミュニティバス第4次計画について質問を行った。
 コミュニティバスは通称ちょこっとバスと呼ばれ、利用者が少ない為に一部の市民からは「空気を運んでいるだけや」と揶揄されたこともあるほど利用率は低い。
 コミュニティバス及び角能線(JR能登川駅から愛荘町を経由して旧愛東町に至る路線)の平成27年度収支構造は運行経費が約1億5千万円に対して運賃収入が約3千4百万円、国庫補助金が約9百万円、県費補助金が約1千6百万円、東近江市単費負担額が約9千万円と収支率は約22%と赤字運行が続いている。
 戸嶋議員は「持続可能な運営の為に利用促進をして運賃収入を上げることが課題だ」と質問し、北川宏市民環境部長は「大型店舗などと協力してお買い物お帰りキップを実施するなど取組の拡大を図る」と答弁したが、そんな単純な計画で毎年1億円近い赤字を改善できるのか疑問だ。
 過去に同じような答弁を聞いたが今の運行状況でほとんど改善されていない。
 コミュニティバスは過疎地における有効な交通手段であり、今後、規制緩和で乗客と同時に荷物だけでも運べるように、もっと貨客バスとしての活用を検討すべきである。
 更に運行経費を削減する為に使用する車両を普通車などのワンボックスカーに見直す、運行委託業者を見直す、旅客の運賃を無償にすれば旅客自動車運送事業ではなくなり規制がなくなるなど工夫すれば市民の足に根付くだろう。


■平成29年7月27日(木) 第17869号

様々な中心市街地活性化の事業

 JR守山駅西口のロータリー前に来月1日守山駅前近江鉄道ビル「ここっと もりやま」がオープンし、1〜2階に金融機関・京都銀行守山支店や飲食業などが、4〜8階はホテル・ベッセルイン滋賀守山駅前が入り、守山市の玄関口に相応しい施設が出来たといえる。
 この複合商業施設は守山市中心市街地活性化基本計画の一つであるが、事業母体である西武グループの近江鉄道が経産省の特定民間事業者の認定を受けられず、国及び守山市からの補助金が全く受けられなかったが、守山市にとっては公的資金(税金)の負担をせずに駅前の再開発の一部が出来たことになる。
 長浜市ではJR長浜駅東地区の再開発ビル「えきまちテラス長浜」が29日にグランドオープンする。
 この事業も長浜市中心市街地活性化基本計画のひとつであり、長浜駅東地区市街地再開発組合が約35億円で整備したが、その内約70%は国、県、市の補助金、約17%は道路整備などの負担金(税金)、残りの約13%は施設の一部を売却した売却益で賄われている為に開発組合にはほとんど負担がない。
 各地で計画されている「中心市街地活性化基本計画」だが、行政にリスクが全くない民間主導型、国県市が補助金や負担金をつぎ込む官主導型など様々だが、市民が望む中心市街地が10年後、20年後も存続しているかは行政マンの手腕に係っている。
 東近江市も八日市駅周辺の中心市街地活性化に取り掛かっているが、その具現化に期待したい。



■平成29年7月25日(火) 第17867号

刑法がひっくり返ったテロ等準備罪(共謀罪)

 時事通信が7月に実施した世論調査で安倍内閣の支持率が危険水域を下回った29.9%になったと報じた。
 多くの国民が安倍首相に不信感を抱いた原因は忖度の塊とも思える森友・加計問題とテロ等準備罪(共謀罪)を参院法務委員会での採決を省略して、中間報告により本会議で強行採決したことといえる。
 東近江市議会6月定例会で日本共産党議員団から「『共謀罪』法案の廃案を求める意見書」が提出されたが否決された。
 同意見書に「犯罪が起こっていない段階でも2人以上が犯罪を『計画』し、『準備』したと捜査機関が判断すれば取り締まりや処罰の対象となり、日本の近代刑法体系の原則を覆す法律だ」と指摘しているように、日本の刑法では「犯罪の実行に着手すること」、「犯罪を実行すること」を構成要件としており、犯罪の計画段階では処罰することが出来ず、強制捜査をすることも出来ない。
 刑法学上での構成要件とは法律効果を発生させる前提条件とされており、分かりやすくいえば、既遂、未遂に関わらず犯罪を実行しなければ法律が適用されず、凶器準備集合罪などが適用される例外を除いて犯罪を思い付いたり、計画するだけでは罪とはならない。
 テロ等準備罪(共謀罪)は従来の刑法観念が180度ひっくり返った法律だということは、大学などで法律を学んだ法学士諸君のみならず、国民ならば驚くべきことではないだろうか。
 今後は改正案を目指して論議を省略せず論を尽くすべきではないだろうか。



■平成29年7月20日(木) 第17863号

競争原理を失った指定金融機関

 公共料金・税金・クレジットカードなどの利用代金をサービス提供者に送金(支払)する方法に「自動引き落とし」や「口座振替」があり、いちいち金融機関やコンビニに出かけなくても支払が済み、現代生活には欠かせないサービスで多くの市民が利用している。
 特に官公庁への公共料金の支払は市民税、軽自動車税、保育料、市営住宅の家賃など多岐に渡っている。
 利用者は自由に選択した金融機関に口座を開設し、口座自動振替を依頼すれば利用代金は所定日に引き落とされる便利なシステムであるが、様々な金融機関で引き落とされた公共料金は県や市が指定している「指定金融機関」へ各金融機関の職員が毎日支払いに出向いており、金融機関の目に見えないサービスでもある。
 都道府県は指定金融機関を1つ必ず指定しなければならず、市町村は必要に応じて指定することが出来るが、滋賀県も他の自治体も「滋賀銀行」を昭和39年4月から指定し、現在まで全く変っていない。
 お隣の岐阜県では「競争原理が働き、緊張感、透明性を保つ為に交代は必要」などの交代論が相次ぎ、指定金融機関が十六銀行から大垣共立銀行へ、各務原市は両銀行を4年交代で指定している。
 さて、県内の金融機関、ATMを使った同一支店内での現金振込みは湖東信用金庫とJAバンクは無料だが、それ以外は有料である。
 競争原理、サービスの充実性、市民の利便性を考えると指定金融機関の見直しも必要ではないだろうか。