琵琶湖博物館らの研究で明らかに
◇湖南・草津市
県立琵琶湖博物館(草津市)らの研究で、水田環境はニゴロブナの成長に有効であることがわかり、日本水産学会誌に論文として掲載された。
琵琶湖研究所では平成十九年度から、「湖に隣接する水田地帯の特性の解明―ニゴロブナを媒体として―」と題する総合研究を、博物館外の多くの研究者とともに進めている。この研究の一環として、今回、水田で育つニゴロブナの初期成長パターンが明らかになり、日本水産学会誌に論文として掲載された。
ニゴロブナは、「鮒鮓(ふなずし)」の材料として有名な琵琶湖固有のフナ。ふだんは琵琶湖の沖合で生活しているが、繁殖期になると湖岸にやってきて、ヨシ帯や内湖、場合によっては水田にまで侵入して産卵する。
そこで生まれた仔魚は、二~三センチの稚魚になるまで産卵場所の近くで育つ。このようなニゴロブナの習性にあわせて、県では、水田にニゴロブナの仔魚を放流したり、ニゴロブナの親魚を放流して産卵させたり、さらにはニゴロブナが産卵のために水田に侵入しやすくなるように農業排水路の水位をかさ上げしたり(いわゆる「魚のゆりかご水田」)して、水田を活用したニゴロブナの増殖に努めている。
しかしながら、これまでに、水田で田植え前後に産卵されたニゴロブナの仔稚魚が、約四十日後の中干し時までに二~三センチまで成長することは知られていたが、その成長パターンについてはわかっていなかった。
今回の研究では、ニゴロブナにとって、水田がどの成長段階まで有効な生育場所であるかについて調査を行った。共同研究者である金尾滋史氏(多賀町立博物館)らは、ニゴロブナに水田で産卵させたり、生後間もない仔魚を水田に放流したりして、初期成長のパターンを調べた。
その結果、初期成長は養魚池やヨシ群落内でこれまでに報告されてきたよりも速いことがわかった。しかしながら、日成長量は全長で十一~二十四日目に、体重でも十五~四十四日目には増加から減少に転じた。このことは、水田がニゴロブナの成長の場として有効なのは、一般に生育の初期に限られることを示している。さらに、ニゴロブナ仔稚魚の中干しまでの生残率は、個体密度が高くなると下がる傾向があり、また高密度だと成長も悪くなる傾向があることもわかった。






