失速~落下は、想定内の安全策
◇東近江
八日市大凧まつりが三十一日、愛知川八千代橋下流域で行われ、地元の八日市大凧や全国十九都府県の伝統凧などが参加し、大勢の人々が詰めかけた。
この日、前夜からの激しい降雨で、まつりの開催が危ぶまれたが、午前七時頃には止み、好天に向かう予報を受け、開催が決定された。凧揚げ会場は、雨をもたらした低気圧の影響で、川下から川上に向けて吹く凧揚げには絶好の風に恵まれ、訪れた多くの人がメインイベントの百畳敷大凧「共生」の飛揚に期待を寄せた。
飛揚は、正午前に行われる予定だったが、時折吹く強風を考慮して横骨のそりを強めに入れたところ、相次いで横骨にヒビが入ったため、補強と修復作業に時間を要し、準備が整ったのは午後零時半ごろになった。
一般から募集した百人の引き手が、今か今かと綱を引く瞬間を待つ中、大凧が立ち上げられると、引き手が走る前に川風に乗ってフワリと舞い上がり、大凧はグングン上昇。
およそ高さ百メートルに達した上空で一旦安定し、百畳敷の風格と雄姿を大空に浮かび上がらせた。
大凧は、その後も風に乗って上昇を続け、綱の最後尾に居た引き手が、八日市大凧保存会の指導を受けながら終端をくくりつけた大型ブルドーザーまで一人ひとり順番に手を放していった。最後の人の手が放れた瞬間、万歳の歓声があちこちであがり、握手や抱き合って飛揚の成功を喜び合った。
大凧は、その後も安定した飛揚を続け、平成五年に達成した二時間五分の滞空記録が更新出来るかと、期待を集めたが、上空の強風にあおられて失速、逆さまに河川敷きに落下した。滞空時間は二十一分五三秒だった。
この日の失速は、失敗でなく、危険回避のためにあえてそうなることを予想して行われた安全策だった。
百畳敷大凧の飛揚会場は、背景に高圧送電線、前面に大勢の見物人が居る中での限定された厳しい条件で揚げられており、安全策として大凧が見物人の上空まで行かないようあらかじめ綱の伸ばせる長さが決められている。
この日は、瞬間風速毎秒九メートル(百畳敷では毎秒六メートルまでが安全上最適)を超える大凧にとっては、危険を伴う強風が止むことなく吹いており、綱いっぱいに上昇した大凧は、まだまだ揚がろうとして上昇角度が水平に近づいたため、風が凧の裏側に回り、揚力を失って失速、降下途中、宙返りして立ち直る曲芸も見せたが、しばらくして河川敷にドスンと落下した。綱がもっと伸ばせる飛揚会場ならば、滞空時間の新記録更新は可能だった。






