西澤市長に不安ぶつける
◇東近江・蒲生
蒲生地区自治会連合会(前田清次会長、四十二集落)が十六日、蒲生病院を含めた地域医療について西澤久夫市長と意見を交わす「懇談会」を蒲生支所会議室で開き、現状認識の共有化を図った。
午後七時半からの懇談会には、四十二集落のうち八割以上の役員が出席し、市地域医療政策課から東近江市地域医療体制の課題と取り組みについて説明を受けた。
開業医が一軒しかない蒲生地区の医療を支える蒲生病院。参加者の多くが、独立行政法人国立病院機構滋賀病院を含む中核病院の再編・統合後の蒲生病院の位置付けや機能、さらに地域医療体制再編に向けた議論から市民が置き去りになることへの不安を口にした。
西澤市長は「気軽に診療してもらえる機能は残す。赤字だからといって蒲生病院をつぶすことは絶対にしない。しかし、医師がいなければ病院も存続できない。瀬戸際の今こそ、次の手を打っていかなければならない」と強調し、滋賀県地域医療再生計画の東近江医療圏域で検討されている新たな総合医療センター形成に触れた。
「中核病院の箱を作ったら医師が来ると、楽観視はしていない。しかし、作らなければ医師も来ない。中核病院が一定機能するまでの間に、みなさんの思いやニーズを十分にくみ取り、蒲生病院の位置付け・性格付けも行っていきたい」との発言に続き、市病院事業管理者で市立能登川病院長・中條忍氏も東近江圏域全体の医療体制計画を詰めていく中で判断していく方針を示した。
病院存続に限界ギリギリの人数で外来・当直・手術・救急搬送に対応している医師の立場になれば、悠長に議論している時間はない。市立蒲生病院長・加藤正人氏は「大学への引き揚げなど、私たちは医局の人事で動いている。今いるドクターたちは地域住民との信頼関係から『蒲生だから医療をやっている』との思いが強いため留まっており、一人でも医師が減らないよう頑張っている」と、一年先が読めない中での現状維持の難しさも明かした。
地域住民が望む医療とは何か―。西澤市長は、介護機能を期待する社会的入院と医療との線引きを課題に挙げた。また、蒲生地区の老人会が提出した存続を求める署名(五千四百人分)について「みなさんの要望は痛いほど理解している。要望では済まない現実を、我々も含めて住民とともにどう乗り越えていくか。危機管理が問われている時代だからこそ、今がチャンス。目指すべき地域医療に向け、前向きに努力していくことが重要だ」と力説。
「地域医療は、地域の人たちがどのように理解し、病院また病気、死と向き合うかがカギを握る。市民とともに医療問題に関して考え議論しない限り、新しい医療は生まれてこない」として、来年度から始まるまちづくり協議会の提案型補助金などを利用し、先進地に学ぶ研修会や蒲生地区が抱える課題を見つめ直して地域医療を考える勉強会など住民レベルの自主的な活動の実践を呼び掛けた。
来年一月の県地域医療再生計画交付決定に合わせて、市では“市立病院等整備委員会”を立ち上げる予定で、西澤市長は「中核病院の在り方について議論を進めていくが、蒲生病院に関しては議論を重ねる中で答えが見い出していけると思う。今回一回限りの懇談会で結論を出すつもりはない」と継続的な議論の場づくりを確約し、参加者の不安を和らげた。






