18年の知事選で古川被告が嘉田氏応援の可能性も
グリーン近江農協(東近江市)のコンピューターシステム導入をめぐり、野洲市のコンサルタント会社に便宜を図って、同社長から現金約八百五十万円を受け取ったとして、大津地検は二日、古川久巳・県総務部管理監を収賄罪で起訴したが、古川被告と嘉田由紀子知事のそもそもの関係性を検証してみた。【石川政実】
●敏腕記者が突如異動
「例えば古川さんの出張が多いという平成二十年二月二十九日付の朝日新聞の記事は、(SILC事業に食指を動かした岩永峯一前衆院議員とことごとく対立していた)古川さんを人事異動で担当からはずせという世論形成になるわけでしょ。その辺りを年輩の石川さんからH記者さんに教えてあげてほしいの」。同年三月中旬、県人事異動の取材の際、嘉田知事は、同記者への警戒感を露わにした。この県政担当の女性記者は、十九年九月に着任以来、県を震撼させるスクープ記事を書きまくった。同記者と面識のなかった筆者は知事の話を聞き流していた。
それだけに二十年四月一日付けで、この敏腕記者が県政から大津市政担当に異動したのを他紙の記者から聞かされた時は、「まさか」と絶句するほかなかった。
●県幹部が叱責
「よくも裏切ってくれたな」。知事選直後の十八年七月、県東京事務所では、国松善次知事時代に出納長を務めた人物が古川被告を叱責(しっせき)したと伝えられている。現職の国松氏と新人の嘉田氏らが争った同年七月の知事選で、古川容疑者は、嘉田氏を応援した冨士谷英正・近江八幡市長の意を汲み、国松氏から嘉田氏に乗り換えたというのだ。
冨士谷市長は滋賀報知新聞の取材に「確かに古川被告は、嘉田知事を応援してくれた。どんな役割を果たしたのかは記憶にない」と答えた。
●異例の自宅訪問
古川被告は知人に「嘉田知事が自宅に足を運んでくださる」と誇らしげに語っていたという。本紙は文書で、嘉田知事に「いつ古川被告宅を訪れたか」と質問したところ、嘉田知事は「昨夏、古川さんの地元である高島市マキノ町の祭りで、研究者時代からの知り合いのお宅を何軒か訪問した折、一度立ち寄った」と回答した。ある県幹部は「知事が部下の家を直接訪れることは、あり得ないし、あってはならないこと」と指摘する。いかに嘉田知事が、早い段階から古川被告に全幅の信頼を寄せていたかの証であろう。
●「神田川」で懇談
嘉田知事が全幅の信頼を寄せた古川被告とS県議は昨年三月三日、大阪市の(株)SILC本社を訪ねて、和泉玲子社長らと懇談した。古川被告が席をはずと同時に、S県議が「嘉田知事の再選出馬の選挙資金として四千万円をお願いできないか」と要請したという。和泉社長は「考えておきます」と即答(断り)を避けた。
その後、北新地の和食料理店「神田川」本店に席を移して和泉夫妻、S県議、古川被告ら四人が懇談したとみられる。生きたスッポンの首を切り落としたばかりの生き血がグラスに運ばれ、S県議はグラスを一気に飲み干したはずである。どろりとしたスッポンの赤い血が蛇のように同県議の体内を這(は)い回っていった。







