琵琶湖博物館の総合研究で判明
◇湖南・草津市
県立琵琶湖博物館(草津市)では、平成十九年度から「湖に隣接する水田地帯の特性の解明―ニゴロブナを媒体として―」と題する総合研究を、博物館外の多くの研究者とともに進めているが、この研究の一環として、今回、水田で育つニゴロブナが水田の生物に影響を与えることが明らかになり、日本水産学会誌(オンライン版)に論文として掲載された。
ニゴロブナは、「鮒鮓(ふなずし)」の材料として有名な琵琶湖固有のフナ。ふだんは琵琶湖の沖合で生活しているが、繁殖期になると湖岸にやってきて、ヨシ帯や内湖、場合によっては水田にまで侵入して産卵する。生まれた仔魚は、二~三センチの稚魚になるまで産卵場所の近くで育つ。これまでの研究の中で、水田は二ゴロブナの初期成長の場として、成長の速さ、生き残り率ともに優れていることが明らかにされている。
今回の研究では、ニゴロブナ仔稚魚が水田で何を食べて成長するのかを調べるとともに、ニゴロブナが水田の生物に与える影響についても調べた。共同研究者である山崎真嗣さん(中央農業総合研究センター)らは、滋賀県農業技術振興センター(安土町)の実験水田で、一つの水田を六つの区画に区切り、そのうち三つに孵化(ふか)したばかりのニゴロブナの仔魚を放流し、仔魚を放流しなかった残り三つとの間で、プランクトンを中心とした小さな生き物の変化を、時間を追って比較した。
その結果、ニゴロブナ仔魚を放流した水田では、仔稚魚がミジンコをほぼ食べつくし、ミジンコがいなくなり、さらに小さいミドリムシやハルテリアなどの原生動物が増加することがわかった。原生動物はミジンコと同じ餌を食べており、ミジンコに食べられるだけでなく、ミジンコとの餌をめぐる競争に負けていたため増加しにくいと考えられいる。そしてミジンコを食べつくしたフナは、餌をユスリカ幼虫などの底生動物に変えていくが、この頃から成長は明らかに鈍くなった。
このように,魚の仔稚魚がミジンコを選んで食べ、その影響が他のプランクトンにまで及んでいくことは、湖では古くから知られていたが、水田でも同様のことが起こることが、今回の研究で初めて示された。






