成人病センター研究所の研究員らが米国科学雑誌に報告
◇湖南・守山市
県立成人病センター研究所(守山市)の植村宗弘主査と木下和生専門研究員らはこのほど、染色体をつなぎ換える従来の方法に改良を加え、より簡単に染色体を操作できる方法を開発し、米国科学雑誌「PLoS ONEオンライン版」に報告した。
染色体の異常は、がんをはじめとする様々な病気の原因となり、今回報告した新たな手法は、これら病気の原因解明に役立つものと期待されている。
染色体は、細胞が分裂するときに顕微鏡で見える棒状の構造で、遺伝子DNAは納められている。人間は、細胞一つにつき通常四十六本もっている。
最近の遺伝子研究の進展により、個性を生み出す遺伝子の違いには個人間でDNA配列(並び方)が違うだけでなく、より大きなDNA領域が塊として増えたり減ったりしている現象(コピー数の変動)もあることが分かってきた。
増えたり減ったりするDNA領域の一部には病気との関連があるものが次々と見つかっている。また、ある染色体と別の染色体との間でつなぎ換えが起こる染色体転座という現象は五十年以上前から知られていた。その結果生じる異常な染色体ががんの原因になっている例も多数見つかっている。
このように染色体規模での大きな変化を実験的に再現する方法は従来にも存在したが、技術的に大変難しいものだった。
今回、成人病センターが報告した改良法では、蛍光タンパク質と四種類の組み換え酵素(特定のDNA配列を目印にしてつなぎ換えをする酵素)を駆使することで実験を容易に行えるようになっている。この方法を用いて、がんの原因になる染色体転座やコピー数の変動を実験的に作り出せることが示された。
同センターでは「この手法を胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞に応用すれば、染色体の異常が原因で起こる病気の治療にも応用できる可能性がある」としている。





