本命はびわこ成蹊スポーツ大の若吉教授だった
●今も残るトラウマ
民主党県連の政治資金パーティーが四日、大津市内のホテルで開催され、越直美氏(36)は「私は大津を変えて、日本全体を元気にしたい」と訴えた。
川端達夫・総務相は「大津市は自治会が強いしね」と三選を目指す目片信市長(70)に警戒感を抱き、心配そうに越氏を見守っていた。今回の市長選は、次期衆院選を占う自民VS民主の前哨戦でもあるからだ。
しかし市議会の民主系会派、市民ネット21の草川肇幹事長は、先の大阪市長選、知事選のW選挙の敗北を受けて「これからは政党を後ろに引かして、いかに市民を巻き込むかだ」と戦略を転換している。そして「今回はあえて争点をつくらない」とも。
民主・連合は前回、黄瀬紀美子氏(対話の会推薦)を担いで戦った。平成二十年一月八日、現職の目片氏、新人の黄瀬氏、新人で共産推薦の井上敏一氏の三人の合同記者会見が市役所で開かれた。最大の争点は、目片氏が進めようとしていた市庁舎の新築移転問題。黄瀬氏や井上氏は、新築移転問題に反対したところ、目片氏は「移転にはこだわらない」と争点を消した。事実上、この時点で目片氏の勝利は決まっただけに、トラウマ(心的外傷)がいまも残っているのだ。
●渡りに船
そもそも越氏は、民主・連合にとって、実は二~三番目の候補だった。草川幹事長は六月ごろ、川端氏から面白い人物がいると聞かされた。同氏は九月末に上京し、越氏に会った。正直、「線が細い」と感じた草川氏は十月中旬、越氏を断った。むしろ、オリンピック出場経験を持つびわこ成蹊スポーツ大学の若吉浩二大学教授(50)の説得に躍起だった。しかし、若吉氏は十一月初めに正式に断ってきた。
このころ同党県連に、越氏から「もう一度、話を聞いてほしい」との要請があり、市民ネットの議員らは大津市内で同氏と会う。「民主から推薦をもらわなくても、私は出ます」という一言に、市議らは思わず、ひざをたたいた。市民ネットにとっても、まさに渡りに船だったのだ。そして同月十三日、民主党県連は同氏の推薦発表を行った。シンデレラの誕生であった。
●1%対99%
最近、金井長純氏など自民の元市会議員らが集まったが、「みんなの党の蔦田恵子県議がいま出たら楽勝だね」という話で持ちきりだったという。
当の蔦田県議も「いくらハーバード大学卒の弁護士といっても、落下傘でいきなり大津市長選ではね」と複雑な表情だった。
先月二十七日、JR膳所駅で、共産推薦の東昌子氏(48)の応援に駆けつけた吉原稔弁護士は「米国のウオール街で一%の富を持つ者が九九%を支配することに反対する市民のデモが起こっているが、越さんはその一%側の弁護をしてきた人では」と述べたという。それは市民派弁護士として、吉原氏の矜持(きょうじ)でもあったのだろう。 【石川政実】







