「原発ゼロ」も争点に
●駅立ちのリトマス紙
弁護士の越直美氏(36)=民主、社民、地域政党「対話の会」推薦=の事務所開きが十日、同市木下町の事務所近くで開かれた。 越氏の推薦を決めた民主党、社民党、地域政党「対話の会」、連合滋賀の関係者ら二百人が出席した。
対話の会代表の清水鉄次県議は「越さんには飛行機にどしどし乗ってもらって大津を世界に売り出してほしい」とあいさつすると、どっと笑いが起こった。 これは、現職の目片信氏(70)=自民、公明推薦=が平成十九年以降、三度の入退院を繰り返したことや、今年になって友好交流都市のオーストラリア・モスマン市からの訪問要請に対し、長時間のフライトで体に不調をきたす恐れがあるとして断ったことを皮肉ったものだ。
目片氏を支援している市議会の保守系最大会派、湖誠会の竹内照夫幹事長は「目片氏には十九日の石山駅を皮切りに、二十八日までJR各駅で駅立ちを行ってもらう」という。同氏の体調を占うリトマス紙でもあるのだ。
●リアルな言葉の力
医師の東昌子氏(48)=共産推薦=を擁立する「大津市政をつくる会」の演説会が十日、大津市内で開催された。三百五十人が参加したが、会場は不思議な熱気に包まれていた。
東氏は「十九年間、診療所で地域医療をしてきた。訪問診療や在宅看取りも行ってきた。しかし七月に東日本大震災の被災地支援のため宮城県の病院へ診療に行って目にしたものは、ただ寄り添うだけでは救えないという現実だった。一人たりとも見捨てない大津市政をつくる」と目を潤わせると、会場はシーンと静まり返った。リアリティーのある言葉の力が人の胸を打つのだ。
●幅広い協働へ
共産党県委員会の奥谷和美委員長は「有権者には、民主もあかん、自民もあかんという閉塞感がある。争点は、原発、TPP、消費増税など目白押しだ。党として、市長選を党勢拡大に利用する気など、さらさらない。東さんを先頭に、今の政治のあり方を幅広い層と協働して変えることしか念頭にない。福井県の原発銀座に近い大津市だけに、東氏は『原発ゼロ』を訴えている。これに対し関西電力に理解を示す目片氏、電力総連の政治団体などから献金を受けた川端達夫総務相や関西電力の発言力が強い連合滋賀らが推す越氏らに、『脱原発』は期待できない」とばっさりと斬る。
自民党市議の一部は「現状では、目片氏が越氏を一歩リードし、それをやや遅れて東氏が追う展開だが、共産推薦の枠を超えて東氏の人望が予想外に高く、同氏に旋風が吹き始めており、越氏と東氏が競り合い、目片氏が“漁夫の利”を狙う展開もあり得る」と警戒する。
越陣営の参謀である選挙プランナーの松田馨氏も、「(共産推薦なのに)意外に東氏が強い」と首をひねる。
東氏には、県知事の嘉田由紀子氏が初めての知事選に挑んだときのムードすら漂うからだ。3・11後の「新しい風」がいま、静かに吹き始めた。【石川政実】(連載終り)







