地球温暖化で拡大する種も
人生は「胡蝶(こちょう)の夢」か―。3・11後は、そんな思いにとらわれるひとも多いはず。夢の中で蝶として、ひらひらと舞っていたところで目が覚めたが、はたして自分は蝶になった夢をみていたのか、それとも今の自分は蝶がみている夢なのか、という荘子の説話である。
ところで「胡蝶」と言えば、滋賀県には 百二十八種類ものチョウが生息していることや、県内で分布域が拡大している種と分布域が減少している種がいることが分かっている。
これは、地域でチョウ類を研究してきた人たちが、自らのフィールド調査のほか、過去の文献資料、県内在住の個人コレクション、県内博物館所蔵の標本調査により、滋賀県全体のチョウ類の分布とその変遷を始めて明らかにしたもの。
具体的には、地域で活動している人たちと琵琶湖博物館とが平成十五年度から十七年度に、共同研究「滋賀県のチョウ類の分布」(研究代表者=内田明彦氏)を実施したもので、その成果が昨年六月、琵琶湖博物館研究調査報告書『滋賀県のチョウ類の分布』として、まとめられた。
今回の調査で、ギフチョウやオオムラサキなど十種が、分布域を縮小していた。その一方で、アジア熱帯域に広く分布する南方系のナガサキアゲハ、クロコノマチョウなど七種が、分布域を拡大していることも分かった。
銀行員の内田さん(54)=大津市=は「多くの種で個体数が減少し、分布域が狭小化している。ギフチョウは、食草のカンアオイ類が増えたシカの食害を受け、近年個体数が激減したと思われる。オオムラサキも今は滋賀県の北東部しか見られなくなった。やはり宅地、工業用地、ゴルフ場等の開発の影響が示唆される。一方で、南方系の種の増加は、地球温暖化の影響が考えられる」と危機感を募らせる。
今年の目標は「森林の豊かな滋賀県に二十種いるミドリシジミ類の生態を今のうちにきちんと本にして残したい」とも。
ちなみに滋賀県には、AWF滋賀むしの会(細井正史会長、大津市下坂本1-10-10)など昆虫の同好会がある。
あなたも今年は、『胡蝶の夢たち』を追ってみませんか。










