語り継ぐ県民の戦争体験 寄贈資料2万5千点
◇全県
県は三月十七日、東近江市の旧愛東支所を改修して、「平和祈念館」を開館する。県遺族会や滋賀報知新聞社の故・深田正治前社長らが建設を要望してから二十四年、県が基本構想を策定してから二十一年になって、ようやく実現の運びとなる。祈念館は、県民の戦争体験を語り継ぐ施設として、戦争当時の県内における出来事や人々の体験、また、それにまつわる資料を使って展示や事業を展開する。
県はこれまで、戦争体験者や遺族らから聞き取った体験談千三百六人分、二万五千二百六十点の資料を収集したが、三月の開館で日の目を見ることになる。県が市の施設を借りて改修するもの。
昨年八月から改修工事が行われている愛東支所は、鉄筋コンクリート造り二階建てで、延べ床面積が三千平方メートル。整備費は、約二億三千万円。一階が展示場、二階が研修室となっている。
常設展示である基本展示コーナー(イラスト参照)は、昭和初期の県内地域の風景や人々の暮らしを伝える写真を展示するとともに、戦争中の主な出来事を県全域の床面地図で見ることができるようにしている。この基本展示を通じて、身近な地域における当時の社会について、利用者に感じてもらおうとするもの。
企画展示・収蔵展示コーナーでは、展示テーマやレイアウトを含めて、更新ができるようになっている。開館時における企画展示では「陸軍八日市飛行場と八日市」や「県民の戦場」、「戦時の暮らし」といった七つのテーマを設け、当時のさまざまな出来事を紹介する。
とくに「陸軍八日市飛行場と八日市」では、八日市航空分廠での学徒勤労動員の体験、特攻訓練した少年飛行兵の体験や八日市飛行場の特攻隊員の寄宿舎であった「八紘荘」の看板などを展示する。
また、千人針や召集令状などの資料や戦地で死と隣り合わせにあった兵士たちの体験、残されている遺書、また郷里の妻や子どもたち家族に宛てて送られた軍事郵便手紙などを展示し、戦争の悲惨さ・平和の尊さを伝えていく。また二階に設けられる研修室では、大津市のNPO法人「戦争体験を語り継ぐ会」の会員による講座なども開いていく。
一方、県民参加型の運営を目指して、昨年四月からボランティアの募集も行っており、現在、三十六人が登録している。今後も募集する予定だ。語り部活動や絵本の読み聞かせなどの普及活動、手紙解読調査などを担当する。
遺族の思いがようやく祈念館に結実するだけに、県遺族会関係者は、ほっと安どの表情を浮かべている。








