県が雨水を溜める調整池の規制緩和に動く
◇全県
知事と市町長の協議の場である「県自治創造会議」がさきごろ、守山市で開かれ、嘉田由紀子知事は水害に備えた流域治水基本方針案について説明した。これに対し、山仲善彰・野洲市長は「県はどのような洪水にあっても命を守ろうと流域治水を掲げながら、他方で、いま急に調整池の規制緩和を進めるのは矛盾している」と疑問を呈した。そこで、不動産業界が鵜の目鷹の目になっている調整池を追ってみた。【石川政実】
「50年に1度」の豪雨を「10年に1度」に
水田や山林が開発されると、それまで地下浸透していた雨水が一気に下流に流れ、土地を浸水したり河川を溢(あふ)れさせたりする恐れがあり、一定面積以上の開発には、雨水排水計画基準に基づき開発区域内に一時的に雨水を溜(た)める調整池の設置が開発事業者に義務づけられている。
県の雨水排水計画基準では、面積が一ヘクタール以上の開発の場合、「五十年に一度」の豪雨を想定して調整池の容量を決めて、設置を定めている。また、一ヘクタール未満で一級河川が関係する場合、
県基準によって、「十年に一度」の豪雨に対応できる容量の調整池を義務づけている。
しかし、市町が管理する普通河川では、各市町が県基準を参考にして基準を設けているため、「十年~五十年に一度」とばらつきが出ている。これを県は治水安全性が低くなる「十年に一度」に統一しようというのだ。
県流域政策室は「多くの市町では『十年に一度』の雨水排水計画基準となっており、整合性を図るために、この基準に県も含めて統一しようと六日、市町担当者に基準改正の説明会を開いた。二十四日までに改正についての意見照会を行っている。あくまで県と市町は対等な関係であり、意見照会を踏まえて協議を重ねる予定で、基準改正は新年度にずれ込む」としている。
これに対し、先の会議で山仲・野洲市長は「これまで『五十年に一度』が義務づけられている地域では、明らかに治水安全性が低下する。上流につくられた『五十年に一度』の調整池が、『十年に一度』でよいとなると、数分の一の面積で済む。残りが埋め立てられて開発されると、下流の宅地が浸水などの被害をこうむる確率が高くなる。建築規制までして県民の命を守る流域治水の精神とは相反するのでは」と指摘。
ちなみに工場開発などでは、調整池は企業所有になるのが大半だが、宅地の場合は調整池が市町、または開発業者の所有となっている。「十年に一度」の規制緩和が実現すれば、新たな利権が発生するだけに、不動産業者も鵜の目鷹の目だ。「なぜこの時期に県は規制緩和をするのか摩訶不思議」と疑問視する声が他の市町から聞かれた。







