中止求めて地元住民が監査請求へ
◇全県
重大事件を犯したものの心神喪失などで刑事上の罪が問えない「触法精神障害者」の入院治療を行う医療観察病棟(草津市南笠東地先)建設計画をめぐって、地元住民が設置者の県に対して、「住民理解を得られていない施設工事の支出は不当」として監査請求を起こす準備を進めている。なお、嘉田由紀子知事は一月三十一日の定例会見で、地元説明会を二十九回開催して住民理解に努めたとし、年度内着工の方針を示している。【高山周治】
請求を起こす大津市青山学区の住民は「県は地元に知らせないまま設置計画を進めた。初めて知ったのは、県議会で実施設計の予算が承認された平成二十二年九月の報道。県から地元への説明は、住民が要望することでようやく昨年九月に実現した」と憤り、県に対して、事業費の差し止めを求める。
これに対して、県の医療観察病棟開設準備室は「青山学区で説明を行う前に、建設予定地である福祉ゾーン周辺の各施設や、所在する草津市南笠東学区の自治会への説明が先行したため」と弁明している。
県が「不安を解消するため」開いた地元説明会は、昨年七月三十一日の草津市南笠東学区を皮切りに、大津・草津の周辺九学区を対象に実施された。
このうち大津市青山学区では昨年九月から四回開催され、住民側からは県の対応の批判や、患者の逃走や再犯の可能性について不安視する意見が相次ぎ、紛糾した。
県が強調する施設の安全性については、後になって患者の入院中や通院中の事故が全国で六件(医療観察制度施行の平成十七年度以降)あったことが分かった。
この結果、住民の不安は高まり、昨年九月以降は、住民の理解なしで着工しないよう求める請願書などを県へ繰り返して提出し、これに伴って始まった署名も、同学区を中心に五千筆以上集まっている。
また、県議会二月定例会には、凍結を求める陳情書を提出している。
なお、県が計画する医療観察病棟は平成二十五年度夏の開所予定で、建設費約十三億円は全て国負担。鉄筋コンクリート二階建てで、延床面積は二千六百平方メートル、ベッド数は二十三床。同様の施設は全国で二十八か所あり、近畿地方では大阪府と奈良県にしかない。







