地域手当で嘉田知事が再議
◇全県
県職員の地域手当を「五・七%」のまま据え置く議員提案の条例改正案が二月県議会で可決されたのを不服として、嘉田由紀子知事は先月二十九日に臨時議会を召集し、審議のやり直しを求める再議を求めた。採決では、自民とみんなの両会派が賛成したが、再議の可決(出席議員の三分の二以上)に達せず、条例改正案は廃案となった。二十四年度の地域手当は、「六・〇%」に引き上げられる。県政史上初の再議を振り返ってみた。【石川政実】
人事委員会の意見、勧告を使い分け
地域手当は、国が平成十八年に、公務員給与を水準の低い東北・北海道まで引き下げた際、東京都のように民間給与が高い地域には、民間給与との格差を調整するために新設した(図参照)。
県は昨年十一月からの職員組合との労使交渉の末、地域手当を六%に引き上げることで合意。しかし厳しい財源不足の中で、自民党議員団は行財政改革が不十分として、五・七%に据え置く条例改正案(約三億円の削減)を議員提案し、二月県議会で可決した。嘉田知事はこれを不服として再議を行った。
再議の理由として<1>地域手当の引き上げを適当とした県人事委員会(注)の委員長意見を尊重<2>県議会の条例改正案は労使交渉を経ておらず信頼関係を損ね、職員の士気低下を招く―を挙げた。
臨時議会で、自民党議員団やみんなの党の四県議が質問に立った。
「人事委員会勧告を無視して九年間、独自の給与カットを行いながら、地域手当では人事委員会の意見を尊重するのは矛盾」(三浦治雄県議=自民)、「公務員には団体交渉権が制約されており、職員組合は県と交渉することはできても、団体協約を締結する権利がなく、労使交渉を経ていないことを再議の理由にするのはおかしい」(家森茂樹県議=同)、「昨年度の県職員平均年間給与が七百二十一万円、二十二年度の毎月勤労統計調査での民間平均年間給与が四百九十六万円と公民格差がある中で、地域手当引き上げの根拠がない」(生田邦夫県議=同)と再議理由を批判した。
嘉田知事は「行財政改革に取り組むためにも職員の信頼関係が必要であり再議したもの」との答弁を繰り返した。
三労組による県地方公務員労働組合共闘会議は「今回の条例案は憲法や地方公務員法で保障されている団体交渉を経ることなく、議会による一方的な改変であり廃案は適切な判断」との声明を出した。
嘉田知事は、行財政改革の推進を再議の理由に挙げただけに、議会からは聖域なき行革の推進を迫られそうだ。
(注)人事委員会は、地方公務員の労働基本権制限の代償措置として官民格差を調査して職員の給与に関する報告・勧告を行う。







