谷畑英吾湖南市長インタビュー
◇湖南
地域の活性化に向け、地域のことは住民が決める「地域主権」が、国や地方で本気で語られ始めている。そこで本紙は、障がい者の就労促進や、自然再生エネルギーの福祉分野への還元、地域ボランティアの学校運営への参画など、ユニークな取り組みで注目を集める谷畑英吾市長(45)に、これまでの成果と今後の抱負について語ってもらった。
シリーズ 地域主権時代の首長たち-2-
「福祉」「市民協働」切り口に、ユニークな取り組み
―地域経済の活性化にどう取り組んでいかれますか。
谷畑 まずは雇用の確保ですが、障がいをもつ方も暮らし慣れた地域で自立した生活を送ってもらえるよう、障がい者就労情報センターを設置しました。専門スタッフが就職相談と企業の雇用開拓を行い、就労促進を進めています。
また、ハローワークの窓口を市障がい者就労情報センターに併設し、市民がわざわざ甲賀市へ足を伸ばさなくても、求人情報の検索や就労相談ができるように利便性を向上させました。
もちろん経済の活性は企業誘致が基本なので、国道1号バイパス(平成二十年=岩根~菩提寺、平成二十三年=石部大橋の側道部分)の開通に伴って、物流拠点や商業地を整備していきます。
―教育はどうですか。
谷畑 地域ボランティアが学校運営を支える「学校支援地域本部」を九つの全小学校区で設立し、クラブ活動の補助や通学路の見守りなど様々な活動を展開しています。
とくに岩根小学校で実施している土曜教室は、学習が遅れ気味な子どもを対象に補修を実施しており、全国的にも珍しいものです。
―少子高齢化の対策は。
谷畑 子育て支援では、保健師や助産師が乳児(生後三か月、四か月)のいる全家庭へ出向いて、発育状況をみたり、育児の悩みに応じる健診に加え、多胎児(双子以上)のいる家庭に育児ヘルパーを派遣し、家事代行するサービスを昨年度から独自で実施しています。さらに今年度からは、生後六か月の乳児がいる家庭にも対象を広げました。
また、いくつになっても住み慣れた地域で安心して暮らしてもらえるように、地域医療包括・ケアを構築しました。具体的には病院での治療だけでなく、保健サービスによる予防、リハビリ、福祉・介護サービスの全てを包括的に提供するもので、例えば介護サービスでいうと、小規模多機能型居宅介護施設を四中学校単位全てで設け、市内全域でフォローできるようにしていきます。
―東日本大震災をどう受け止めましたか。
谷畑 「戦後」が終わり、未知の領域に入ったと思います。そういう意味で、次の進化を遂げるため、未来創造都市・湖南市を目指したい。
その取り組みの一つが、市民共同発電の売電で得た収入を福祉分野に還元する市民協働で、昨年十二月から三か月間の実証実験を経て、今年度中にはいよいよ本格化の運びです。
具体的には、売電収入を地域振興券として出資者へ配当し、これを障がい者が担い手となっているアールブリュットや地域特産品の購入に充てるなど、自然再生エネルギーと福祉、特産品開発の施策をミックスさせ、地域資源の「地産地消」で経済も活性化します。
さらに福祉の盛んな自治体として、公立高校再編を契機に県立石部高校を福祉の担い手を育成するメッカにする構想を描いています。 幸い当市には、近江学園や県立三雲養護学校、このほか先進的な取り組みを進める福祉団体が多数あるので、現場の第一線で活躍する方に講師をお願いできればよいでしょう。
来年度末はちょうど、近江学園で先進的な障害福祉に取り組んだ糸賀一雄氏の生誕百年にあたるので、これにあわせて地域を支える、夢ある拠点づくりを実現したいですね。
谷畑氏プロフィール 昭和四十一年九月十一日神奈川県小田原市生まれで、旧甲西町育ち。金沢大学法学部卒。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。平成元年に滋賀県庁に入庁し同十五年二月に退職。同年四月の甲西町長選に出馬して当選。平成十六年十一月、旧の甲西・石部町が合併に伴う湖南市長選に立候補し、初代市長に当選した。同二十年十月無投票で再選した。







