遺族側「内容が明らかでない」と慎重
◇大津
大津市立中学校の二年生男子生徒(当時十三歳)がいじめを苦にして自殺したとされる問題で、遺族が大津市と加害者とされる同級生三人の保護者を相手取って約七千七百万円を求める損害賠償請求訴訟の第二回口頭弁論が十七日大津地裁で行われ、大津市が事実上の和解を提案した。
この中で大津市は、(市が設置する)第三者委員会の調査、県警の調査の結果を踏まえて、「いじめと自殺との因果関係を認めることになる可能性が高く、和解の協議をさせていただきたい」と陳述。また、「その結果が出そろうまで、長い期間ではあるが、約四か月、訴訟における主張を留保したい」と求めた。
口頭弁論を終えて会見した遺族の代理人弁護士は、「ひどいいじめが行われたと思っているのでしっかり立証していきたい」とし、今後は主に「学校の過失の部分。先生が見逃してきた部分を証明する」と示した。
市からの和解提案については「内容が明らかでなく、受け入れるとか、受け入れないと言える段階でない」と慎重な姿勢を見せた。
また、市の第三者委員会に関して、遺族側の要望として、(1)いじめの全容解明だけでなく、自殺の原因究明も調査目的とすること(2)委員の人選については原告側の人選による(3)聞き取り調査には大津市職員が関与しないこと(4)委員会は公開されるべきこと(5)調査結果に至った過程の事後的検証が可能であること―を挙げた。
これについて越直美市長は同日の会見で、「(第三者委員会の)人選はリストアップ作業を進めている。さらに文科省の助言を受け、遺族とも話しをさせていただきたい」と前向きに語った。
和解の方針については「どういった内容になるか、事実関係が分からないと分からないので、調査委員会の調査が終わった段階で検討したい」と述べた。
また沢村憲次教育長は、いじめと自殺の因果関係について、「当初からいじめが自殺と関係ないとは言っていない。因果関係はそのものについては様々な背景があるので、明らかにならないと(判断が)難しいとしてきた」と、「因果関係の一つ」との考えは当初から一貫していると主張した。
被害生徒の父親がコメント
「息子は学校に見殺しにされた」
亡くなった生徒の父親は十七日、大津地裁であった損害賠償請求訴訟の口頭弁論の後、代理人弁護士を通じて次のようなコメントを発表した。主な内容は次の通り。
私達は、息子が自殺しなければならなかったほどのいじめはどのようなものだったか、二度と同じような悲劇が繰り返されないような安全な学校を実現するためにはどうしたら良いのか、ということを問うために今回の裁判を起こしました。
しかしながら、ここ数日来も自ら命を絶つ子どもの報道が耳に入ります。
とても悲しいことです。悔しくてたまりません。どうかこの裁判の結果を待つのではなく、日本全国の学校の教師の方は、今まで以上に子供の表情や行動に注視し、いじめを見抜いてあげて下さい。今も助けを求めている生徒さんはたくさんいるはずです。お願いいたします。
提訴している大津市に対してですが、学校並びに大津市教育委員会の記者会見を見ておりますと、「もしかしたら息子は学校に見殺しにされたのではないか」という気がしてなりません。
子供たちを教育する立場の責任者であるにも関わらず、自らを律して事実を明らかにしない姿勢に憤りを感じ、学校側(市教委、市)の、その体質に問題が有るのだと強く感じます。
教育者自身が嘘をついたり、事実を隠すという行動を取っていることを、生徒たちに見せて欲しくない。
これらを見ていると、再発防止については「学校任せ」では限界があると感じています。
沢村教育長 いじめ以外にも要因
市議会で答弁
大津市議会の教育厚生常任委員会がこのほど開かれ、沢村憲次教育長は、市立中学男子生徒の自殺問題で、いじめとの因果関係についての佐々木松一市議の質問に「自殺の要因について文科省の通知に、学校に関する背景、病気と本人の背景、家庭との背景があり、丁寧に調査する必要がある」と、家庭にも要因の一つがあったとの考えをにじませた。
これについて仲野弘子市議が「家庭の様子を教えてほしい」と問うと、市教委側は「家庭の事情は個人情報なのでここでは控えたい」と答えた。








