「いじめが自殺の直接的な要因」
◇大津
平成二十三年十月、大津市立中学の男子生徒(当時十三歳)がいじめを苦にして自殺したとされる問題で、事実調査を行ってきた市の第三者調査委員会(横山巌委員長)は先月三十一日、同級生のいじめが自殺の直接的な要因とする報告書を、越直美市長に提出した。
学校・市教委の危機管理の欠如を批判
報告書では自殺の原因について、平成二十三年九月上旬から十月七日までの加害者とされる同級生B、Cから亡くなった生徒Aへのいじめ行為(主に十九件)を認定し、「Aに屈辱感、絶望感と無力感をもたらした。いじめの世界から抜け出せないことを悟り、生への思いを断念せざるを得なかった。したがってAに加えられたいじめが自死につながる直接的な要因になったと考える」と結論づけた。
また、いじめに加わったとされた同級生三人のうちDについては、「(力関係のアンバランスが生じている)『一定の人間関係にある者』という要件に該当しなかった」と、いじめ行為を認定しなかった。
市教委が自殺要因に挙げた家庭問題は、亡くなる前の生徒の行動・言動から、「自死の要因とは認められなかった」と否定した。
学校対応では、複数の教員や生徒がいじめを指摘していたのに認知できなかったことに、「情報が担任と学校主任に留まり教員全体で共有できず、有効な対策を取ることができなかった。学校組織が有効に機能していじめの事実を知らせる情報が学校全体において共有されなかった」と組織対応のまずさを浮き彫りにした。
市教委の対応は「学校を支えるという役割を早々に放棄し、事実調査、いじめの認定作業を学校に丸投げしたことは、混乱状況下にあった学校を孤立させ、事実確定を困難にさせた」と厳しく批判。
学校・市教委共通の問題点については「Aの保護者が虐待していたというフィクションへ寄りかかったことで、いじめと自死の関係への解明作業が、事実上放棄された」と問題視した。
将来に向けては、「子どもが安心していじめから救済を訴える窓口が不可欠である。学校外に子どもが救済を求めることができる第三者機関が是が非でも必要」と提言した。
一方、最愛の息子を失った父親(47)は「調査報告書を読んで『やはり息子は学校に見殺しにされた』と感じた。県警で押収された資料を初めて目にした時、子どもからはいくつものサインが出されていたことを知った。しかし、それに対して現場の先生は、気付いていたが見て見ぬふりをしていたとしか受け取れない。息子が亡くなってから今日までの学校・教育委員会の対応は、常に後手後手であり、自ら進んで不利になるような事実を公表することはしなかった」と声を詰まらせた。
さらに「『いじめ』とは常に『死』に繋がる危険な行為であり、『犯罪』であることを、教師といじめを行っている子ども達には認識してほしい。今後、司法の場で、今回出された報告書を受けて、『いじめと自殺には因果関係がある』との見解をはっきりと判決で明言してもらいたい。いじめと自殺には必ず因果関係があるとの見地に立たない限り、真の改善策は打ち出せないからだ」と訴えた。
報告書を手渡された越市長は会見で「学校や市教委で隠蔽(いんぺい)や責任転嫁があったことをおわびする」と謝罪した。
今後の対策として、来年度から市長部局にいじめ対策推進室を設ける一方、いじめ調査を行う第三者委員会設置の意向を示した。
また、国や県に報告書を提出し、いじめ対策の拡充を要望していく構えだ。
第三者調査委員会の横山委員長は「亡くなった少年を忘れることなく、調査に取り組んできた。子ども達の命がこれ以上なくなることのないよう、この報告書を活かしてほしい」と話した。







