8月から生活保護基準額大幅引き下げへ
◇全県
政府は生活保護費のうち、食費や光熱費に充てられる「生活扶助」の基準額について今年八月から三年間で七・三%、七百四十億円の切り下げを決めた。インフレ二%を目標に掲げる“アベノミクス”の陰で、憲法二十五条で定めた「生存権」を保障するセーフティーネットの生活保護が、崩壊の危機にさらされている。【石川政実】
子どもたちが最大の被害者
2月県会、再考求める意見書案否決
二月定例県議会は二十二日、本会議を再開し、来年度当初予算案など計百九件を可決、同意して閉会した。二月県会で見逃せないのが、「生活保護基準引き下げの再考を求める意見書案」(民主党・県民ネットワーク提出)を自民党県議団などが反対多数で否決したことだ。
同意見書案に対し賛成討論をした民主党の九里学県議は「生活保護基準は、最低賃金や年金支給額、課税最低限決定額などの目安になっているほか、就学援助や保育料、国保税、医療・介護保険料などの減免基準にも連動している。このため生活保護の大幅な引き下げは、低所得者への費用負担増大を招き、さらなる貧困に追いやるもの」と懸念する。
県によれば、県内の二十三年度生活保護費は、百六十四億二百万円(同三・九%増)と増加傾向にある。ちなみに昨年十二月の県内の生活保護世帯は、七千七百六世帯(前年同月比四・八%増)にのぼっている。
また、九里県議は「生活保護費引き下げの最大の被害者は、実は子どもたち」と指摘する。
県によれば表のように、生活保護や就学援助を受けている生活困窮世帯の児童生徒の合計割合は、小学校、中学校とも一二%前後を占めているが、ここに生活保護費の引き下げが直撃するのだ。
厚生労働省は七月ごろに各自治体に生活保護基準引き下げの具体案を示し、八月から実施するとみられる。しかし今回の大幅な引き下げが低所得者にどのような影響を及ぼすかの生活実態調査は、いまだ行われていない。 県健康福祉政策課保護・援護担当者は「いろんな国の制度に、どのような影響が出るのか、正直つかめていない」と言う。
貧困問題に取り組んでいる滋賀第一法律事務所の永芳明弁護士は「今回の引き下げはデフレで物価が下がっているから、最低生活費はもっと低くていいということで始まった。ところが安倍政権はインフレ二%を目標にしており、これでは引き下げありき、と言わざるを得ない」と話していた。







