姉川・高時川の整備計画未策定 地元住民「かさ上げの費用負担重い」
◇長浜
県の「流域治水条例案」に対して、長浜市の藤井勇治市長は県庁を訪れ、建築規制よりも河川整備を推進するよう、嘉田由紀子知事に要望した。条例案は、二百年に一度の確率で発生する大雨で、水深三メートル以上浸水する「危険区域」を指定し、建築規制するもの。しかし、同市の担当者は「危険区域にかかる千二百戸のうち七割弱の八百戸が長浜市に集中するが、そもそも県の河川整備が進んでいないのが原因だ」と嘉田県政に怒りをぶつけた。【高山周治】
「八百戸もの家の地盤をかさ上げしていては、次の洪水に間に合わない。県が河川整備すべきなのに、住民に重い負担をかけるのはひどい」。姉川と高時川が合流する長浜市難波町。近くに住む七十代の男性は、増水で河川敷に流された倒木、ごみを片付けながら、憤った表情で話した。
同地域では先月末、両河川が大雨で危険水位に達し、五地区三百一世帯に対して避難勧告が出された。男性は「今回の増水よりも、一昨年のほうがすごかった」と川べりの痕跡を指差し、洪水と背中合わせの恐怖を語った。
姉川と高時川は、上流の伊吹山地から琵琶湖までの距離が短いため、雨水は一気に下流へ押し流され、水位は短時間で上昇する。加えて天井川のため、河床と堤防の比高が小さく、合流地点ではとくに洪水の危険性が高い。
県の「危険区域」の予測によると、二百年に一度の豪雨が降れば、両河川に挟まれた地域では、同市難波町の合流地点から約三キロ上流の虎御前山の山ろくにわたって、水深三メートル以上浸水する。
県の条例案では、危険区域で増改築・新築する場合、地盤のかさ上げを家主に義務付ける。補助は、県が二分の一(上限四百万円)、残りを市町と家主が折半する。実施家屋は年間二~五戸を想定。許認可をとらなかった場合、家主に罰則(五万円以下の過料、二十万円以下の罰金)を課す。
ただし、集落内に想定水位以上の避難場所を県・市補助で整備していれば、家屋かさ上げを除外する。
これに対して長浜市道路河川課は「住宅密集地でかさ上げするには隣家と十分なスペースがなく、物理的に不可能」と主張。市の要望では具体的に、▽抜本的な河川改修整備▽高時川に合流する田川の拡幅で排水機能強化―などを提案している。
しかし、河川整備計画をめぐっては、柱のひとつである丹生ダム建設計画が中断しているため、平成二十二年から審議はストップしている。県は「国へ働きかけるが、現状では樹木伐採、堆積土砂の撤去で維持管理するしかない」としている。
これについて同市道路河川課は「そもそも県の河川整備が進めば、八百戸もの家屋が危険状態にならない。ダム計画と切り離して早急に河川改修を実施すべきだ」と、訴えている。






