「住民の意識レベルと医療レベルは直結する」
◇東近江
地域住民が元気でいるために、身近な病院をどう元気づけていけばいいのか―。一般社団法人能登川地区まちづくり協議会(藤居正博会長)はこのほど、住民自身が地域医療を取り巻く課題を直視し、解決策を考える場として「病院フォーラム」を東近江市やわらぎホールで開いた。【櫻井順子】
講師の伊関教授 住民の意識改革促す
同フォーラムには、団塊世代以上の男性を中心に地域住民約百二十人が参加し、地域医療や自治体病院の経営に精通している城西大学経営学部マネジメント学科・伊関友伸教授の講演「能登川病院に求めるもの」に耳を傾けた。
伊関教授は、医療の高度・専門化が生み出す弊害や過労死寸前の状態で働く医師の現状、地域医療に関する一カ月の研修が義務づけられている新臨床研修制度のほか、成長する病院と衰退する病院の二極化現象が進んでいる日本の地域医療について解説した。
「四百床以上の病院に医師が集まる一方、百~二百床の中小規模の病院では医師数が増えていない」。では、どうすれば医師が勤務したくなる地域・病院になるのか。伊関教授は▽あれもこれも求めない▽過酷すぎない勤務▽医療技術を学べ、自己が成長できる▽専門医の資格が取れる施設▽適切な報酬―に加え、病院利用者の倫理の欠如が病院の存続そのものを揺るがしかねないため「住民の感謝と適切な受診行動」を挙げた。
また、第二次ベビーブーム生まれが高齢者になるまで多死社会が続くことから「今はまだ高齢化の入口に立っただけ。これからは高齢化がキーワードになる」とし、「人材育成に投資して」高齢化に対応する医師を地域の病院で育てていく必要性を説いた。
能登川病院については「常勤の内科医三人ではすぐに実践するのは無理な話だが、教育機能を一定持っていかないと先はないかなと思う」と指摘、能登川病院・能登川保健センター・東近江市社会福祉協議会能登川支所の建物が隣接している点を評価して「高齢化への対応には、医療・福祉・健康の連携が重要。地域包括機能を有する建物配置になっているだけで中身が伴っていないが、医療の魅力を高める潜在的な力を持っている」と生かすべき資源を示した。
病院・医療再生に欠かせないものとして、伊関教授は「住民の意識改革と共感」を強調し、「すべて人任せでは地域医療は崩壊する。住民の意識レベルが医療レベルにも直結する。地域医療を守るのは、みなさんの努力次第」だと結んだ。
参加者からの「百床を稼働させるには、何をすればいいか」との問いに、伊関教授は「なかなか難しい面はあるが、例えば地域の人が病院の草むしりをするなど、いろいろな形で病院を応援すること。交通の便もいいので、徐々に医師が増えるにおいがする。まずは地域の応援団になってくれる医師を作ることが大事」だと答えた。






