流域治水条例案で市町と対立続く
◇全県
浸水被害から県民の生命や財産を守ろうと、県が九月定例県会に提出を予定している「流域治水条例要綱案」に対し、県内の市町長は「住民に規制や罰則を科すのは行き過ぎ」「条例案は河川が氾濫した後の川の外の対策だが、むしろ氾濫しない河川整備を急ぐべき」と難色を示している。しかし県担当者は本紙取材に「規制と罰則は譲れない」としており、両者の溝は深まるばかりだ。【石川政実】
知事と県内市町長が話し合う「自治創造会議」が六日、野洲市で開かれ、県が九月定例県議会に提案を予定している同条例要綱案について白熱した議論が交わされた。
●20万円以下の罰金
条例案は、「二百年に一度」の大雨で三メートル以上の浸水が見込まれる区域を「浸水危険区域」に指定。危険区域で増改築・新築をする場合、敷地のかさ上げか、または避難場所の確保を義務付け、違反した場合には二十万円以下の罰則を科す。
「命を守る」という考え方に賛同しつつも、各市町長からは「むしろ県は河川整備を急ぐべき」「規制や罰則を科すのは適切でない」「県単独で避難所を設置すべきだ」など、批判的な意見が相次いだ。
●規制なら県が補償を
宮本和宏・守山市長は「規制すると対象の土地は売れなくなり、財産権の侵害が生じる。規制でなく、誘導条例にすべきだ。どうしても規制するなら、県が補償しないとおかしい」と指摘した。
これに対し嘉田知事は「補償は、行政に瑕疵(かし)があった場合にするもので、補償はできない」と反論。
また「県は決して河川整備をさぼっているわけでない。ただ今後は一級河川の整備を本来の管理者の国に任せることも検討したい」旨の発言も。
嘉田知事は同会議後、記者団に「罰則以外の部分は、合意が得られた」と話した。
これに対し冨士谷英正・県市長会長は七日、嘉田知事に「合意はなされていない。条例案は、河川整備の取り組み姿勢、規則と罰則など、深刻な問題がある」との意見書を提出した。
●今月末から千戸調査
県が先ごろ、地先の安全度マップを精査したところ、「浸水危険区域」指定の対象となる世帯は、長浜市八百戸、甲賀市百五十戸、近江八幡市二十戸、大津市十戸、米原市十戸、竜王町十戸、高島市十戸、東近江市十戸の約千二十戸に上った。
県では今月末に市町担当者とともに現地(約千二十戸)を訪れて、「避難体制として、かさ上げがいいか、避難所の方がいいのか」などの家屋調査を行う。
しかし市長の間からは「例えば二百平方メートルの宅地をかさ上げする場合、県の試算では八百万円がかかるという。負担割合は、県が二分の一、市町が四分の一、建築主が四分の一であり、建築主が二百万円も負担しなければならない。片や避難所の設置(県が二分の一、市町が二分の一)も市街地なら膨大な費用がかかる。県は規制に伴う対策費の総額を明らかにすべき」との声が聞かれる。九月県議会での条例案の成り行きが注目される。







