9月県会に上程された「流域治水条例案」<中>
洪水時の浸水危険区域で建築規制する全国初の「県流域治水条例」案が十八日、九月県議会に上程された。危険区域指定の対象地域の家屋は約千七十戸。このうち約八百戸は、丹生ダム計画が定まらないため、県が高時川、姉川の改修計画を策定できない旧虎姫町(長浜市)に集中する。このような状況で、地元説明がないまま制定を急ぐ県の姿勢に、住民から反発の声が上がっている。 【石川政実、高山周治】
浸水危険 河川改修なき旧虎姫町に集中
地元「住民の命を真剣に考えていない」
条例案は二百年に一度の大雨で三メートル以上浸水する危険区域を指定し、新築・増改築する場合、地盤かさ上げか、避難場所の設置を義務付ける。旧虎姫町の危険区域(図参照)は、西端の河川合流付近から約三キロ北東の虎御前山麓に及び、旧町建設の住宅三百九十九戸以上が含まれる。
この住宅に入る男性(74)=元建設業=は「条例案について県、市から何も聞かされていない。これから住宅を買い取ろうとしている人は規制と罰則に戸惑うだろうし、建設した旧町の責任を問う声も出かねない。知事と市長はすぐに説明会を開くべき」と無責任さに憤った。
また、滞っている河川改修を望む声は多い。
同市唐国町の橋本保さん(84)=無職=は「天井川なので少しの地盤かさ上げでは避難には間に合わない。河底をしゅんせつし、堤防を高くする以外に方法はない」と訴える。
これに対して県流域治水対策室は「高時川上流の国の丹生ダム計画の方針が決まらない限り下流は整備できない」と繰り返すばかりで、何ら手を打とうとしない。現在は維持管理の雑木伐採と危険個所の堤防強化のみで、しゅんせつについては「土砂の処分地がないためできない」と、弁明するだけだ。
大寺町の板谷亘康さん(74)=衣料販売=は、「もし県が住民のことを思うなら収容人数の多い虎御前山県営キャンプ場を活用すべきだ。しかし県は“もったいない”として閉鎖しようとしている。住民の命を真剣に考えていない」と、県への不信を募らせている。
同市の高時川と姉川の洪水調整などを目的に、国が高時川の上流に建設しようとした丹生ダム。中野町の山内健次元虎姫町長(63)は「ダムの凍結・見直しを掲げて平成十八年に初当選した嘉田知事の登場で、丹生ダムにブレーキがかかった。町長時代に『それなら高時川や姉川の河川改修を』と何度もお願いしたが、『国の方針が決まらないので動けない』の一点張りだった。ダムが要らないと本気で思っているなら、嘉田知事は国に意見を潔く述べて、住民の命を守るため県で河川改修を急ぐのが、条例より先になすべきことだ」と指摘する。







