「魂の出会いと別れ」
◇大津
近江の民話を題材にした「湖の伝説シリーズ」で知られる日本画家、三橋節子さん(昭和十四年~同五十年)の没後四十年記念企画が、三橋節子美術館(大津市)で開催されている。三橋さんと夫の日本画家・鈴木靖将さん(70)の作品を通じて、出会いと別れをたどる。六月二十九日まで。
がんを発病した三橋さんは昭和四十八年三月、画家の命である利き腕(右腕)を失った。絶望しながらも一か月後には絵筆を左腕に持ち替えてスケッチを始め、創作活動に復帰。鈴木さんの支えを受けながら、死去する昭和五十年二月までのわずか二年の間、代表作を相次いで発表した。
このうち「花折峠」は、比良山地のさば街道に伝わる民話を題材にした。娘の眠るような表情からは、どこか死の香りが漂う。
親交のあった著名な哲学者はかつて「涅槃(ねはん)図」と評し、鈴木さんは「死出の旅を自ら表現したのでは。愛と死というテーマを近江の風土、琵琶湖に求めることで、少しずつ自分の死を受け入れていったのだと思う」と思いやる。
鈴木さんは死別後、鎮魂の思いを込め「夜の鬼」を発表。童女(実は亡くなった三橋さん)が鈴木さんの首を抱く構図だ。その後、比良山地の裏側、葛川へ移り住み、近江への思い入れを一層強くする。
なお、期間中は展示替えが行われる。三十日までは、三橋さんの湖の伝説シリーズとインド旅行を題材にした作品、鈴木さんの葛川時代の作品の計四十点を展示。三日午後二時からは鈴木さんの語り。六月一日からは野草シリーズと万葉展を予定している。
一般二百七十円、高大生二百円、小中生百三十円。問い合わせは同美術館(077-523-5101)へ。(高山周治)







