企画展「私の神さま|あなたの神さま」学内美術館など3会場に11月23日まで
◇大津
成安造形大学(大津市)の客員教授で、森美術館(東京都)アソシエイト・キュレーターの椿玲子氏による企画展「現代における信仰とは?私の神様|あなたの神様」(成安造形大学主催)が十一月二十三日まで、同大学の「キャンパスが美術館」と三井寺(大津市)、ホテル・アンテルーム京都(京都市南区)の三会場で開催されている。
同展は、現在における信仰、あるいは個人にとっての神とは何か、また美術とはどういうものなのか考え直し、新しい価値観を提示しようとするもの。
美術は本来、宗教建築の一部として発達したものだ。このため寺社仏閣では、神聖な体験を訪問者に与えるため、本堂(宮)への神像・仏像といった装置、手法が駆使されてきた。
このことから、同大学の学生が、美術の源流、現代における信仰の対象を探るため訪れる比叡山延暦寺、日吉・日枝・山王神社の総本山である日吉大社は、美術の原初的なあり方をうかがい知る宝庫でもある。
このうち、日吉・日枝・山王の三本山(社)建立の背景は、七世紀の朝鮮半島において、倭国・百済連合が唐・新羅連合に敗北したことに伴い、唐侵攻を恐れた朝廷が飛鳥宮から近江大津宮へ遷都したことにある。
日吉大社は古くは「ひえ(比叡)」と読まれ、比叡山と深いつながりがあり、神仏混合の中で比叡山の守護神的な役割を担ってきた。一方、三井寺と延暦寺はかつて対抗関係にあった。このように宗教の背後にある力学、地政学について考えることは、西欧では十六世紀ルネッサンス期に宗教から独立したとされる美術の在り方についても考えるきっかけとなる。
また、「現代における信仰」を考えることは、現代における価値観について考えることでもある。近代以降の資本主義社会と直線的な時間軸は、資本を神のように仰ぐ拝金主義や「時は金なり」といった諺(ことわざ)にもうかがえるように、全てが有益であるどうかで判断される価値観を生み出した。
しかし、世界的にみられる冷戦構造の復活や経済戦争と絡んだ各国の右傾化は、3・11東日本大震災における絶対的な自然の脅威と人間がつくりだした放射能の恐怖と共に、資本主義的価値観や国家優先型価値観への疑問を提起する。
同展では、学生十五人が三井寺・延暦寺・日吉大社への訪問と考察で得たテーマをもとに新作を出品するほか、すでに作家として活躍中のアーティスト七人が表現する。
会期中の休館は、成安造形大学は月曜と、十一月十二日(水)から十四日(金)まで。ただし、十一月三日(月)は開館し、翌四日(火)休館。三井寺とホテルアンテルーム京都は会期中無休。
時間は成安造形大=正午~午後六時、三井寺=午前八時~午後五時、ホテルアンテルーム京都=正午~午後七時。
入場無料(三井寺のみ拝観料が必要)。問い合わせは、同大学「キャンパスが美術館」事務局(TEL077―574―2111)へ。







