長浜市北部の農家と法人
◇長浜
中山間地で深刻化する野生獣による農業被害。長浜市北部の中山間地では、田畑を防護柵で囲んだり、猟銃で駆除するのでなく、野生獣が嫌う「えぐ味」のあるこんにゃく芋を栽培することで、獣害抑制と地域活性化の「一石二鳥」を目指すプロジェクトが進められている。(高山周治)
野生獣は「えぐ味」嫌い敬遠
産官学タッグで生産地目指す
プロジェクトに参加するのは、同市の旧の西浅井、余呉、木之本、高月、湖北の各町の農家約二十戸と農業法人二法人、一般社団法人・バイオビジネス創出研究会、こんにゃく製造販売の民間企業(奈良県)、長浜市。
耕作地は計三ヘクタールでスタート。こんにゃく芋の栽培期間は、出荷できるまで三年かかる。このため昨年四月に植え付けた種イモは、三年目にあたる来年秋には約二十~三十トンが収穫できる見込みだ。
農家から「何を植えても獣害にあう」と、バイオビジネス創出研究会の武内啓一・シニアマネージャー(66)が相談を受けたのは一昨年の晩秋。獣害対策に加え、地域の高齢化と後継者不足も追い打ちをかけていた。
そこで武内さんが目をつけたのが、苦みや口中が不快になるこんにゃく芋の「えぐ味」。野生獣はこれを嫌って食い荒らすことが少ない。
ちょうどこの頃、こんにゃく製造販売の民間企業が、起業支援を受けられる長浜バイオインキュベーションセンター(バイオビジネス創出研究会運営)に入居し、こんにゃく芋の産地を近畿地方で探していた。
背景には、国内産九割が関東にあり、産地における担い手の高齢化や、産地の分散化で気候変動や自然災害のリスクを回避する狙いもある。
取り組みをはじめて一年近くたち、いくつかの課題が浮かび上がった。 例えば、こんにゃく芋が出荷できるまでの三年間、天候などで収穫量が大きく左右される。実際昨年の収穫量は、夏の集中豪雨で半分にとどまった。
これを解決するには、環境や健康に配慮した栽培技術の工夫が必要だ。中長期的には長浜バイオ大学や県と連携して、栽培期間を二年に短縮する技術が確立できれば、としている。
バイオビジネス創出研究会の武内さんは「生産地として成長すれば、農家の収入アップや耕作放棄地の再利用などの地域活性化にも貢献できる。やる気のある多くの農家の方が一緒に挑戦してもらえれば」と期待する。







