自治会に約1億円の報償金
◇大津
来年一月十日告示、同十七日投開票の大津市長選は、現職の越直美市長(40)、前県議の蔦田恵子氏(54)、メディアプロデューサーの川本勇氏(56)、元チケット販売店経営者の田中敏雄氏(74)がいずれも無所属での出馬を表明している。さらに共産党市議団や医療団体でつくる「いのちとくらしを守る大津市政をつくる会」も独自候補を擁立する。これで、ほぼ構図が固まりそうだ。そこで市長選の争点を数回にわたり紹介してみることにした。まずは「自治会問題」である。 【石川政実】
同市浜町にある琵琶湖ホテル裏の湖岸には、ある人物の銅像がひっそりと建っている。その人物は、昭和五十五年に山田耕三郎氏の後を継ぎ、六期二十四年間、大津市長を務めた故・山田豊三郎氏である。島の関から晴嵐一丁目まで延長四・八キロに及ぶ「大津湖岸なぎさ公園」は、紛れもなく同氏の「遺産」だろう。
しかし、その一方で長期政権の“功罪”が相半ばしている。
なかでも大きな功罪に挙げられるのが「自治会問題」である。
山田氏は、長く市自治連合会長として君臨した故・山本俊一氏と二人三脚で、県内でも屈指の自治会のピラミッド組織を作り上げた。自治会は行政に協力する一方で、市から報償金を受け、いざ選挙になれば山田氏の集票マシンとなった。
黒いサングラスをかけた山本氏は「市長いるか」と秘書課をフリーパスで出入りし、隠然たる力を職員に見せつけもした。
山田氏の後継者として名乗りを上げたのが元衆議院議員(自民)の目片信氏だった。平成十六年に大津市長選に出馬して初当選し、二期務めた。同氏は山田氏の自治会「遺産」をそっくり引き継いだ。
これに対し「行財政改革」を掲げ自治会の報償金問題に風穴をあけると期待されたのが、平成二十四年に初当選した越市長だった。
同市には現在、七百二十三自治会(単位自治会)が存在する。その上部組織として三十六小学区ごとに学区自治連合会があり、この頂点に市自治連合会長が君臨するピラミッド(ヒエラルキー)構造を形成している。
学区自治連合会に呼応する形で、市はわざわざ三十六の支所・公民館(市民センター)を設置しているのだ。
学区自治連合会長には、何年も同じ人が担っているケースがある。
そして大石の大津クリーンセンター建て替え問題のように、単位自治会と学区連合会が激しく対立することも。
昨年度に同市から行政協力の報償金として、七百二十の自治会に総額七千四百五十七万円、七百二十の自治会長に一千一万円、三十六学区自治連合会に総額八百六十二万円、三十六学区自治連合会長に総額四百六十八万円―の計九千七百八十八万円が支出されている。
行財政改革を掲げる越氏だが、このように自治会報償金にはほとんどメスを入れてこなかった。そんな自治会も、高齢化や地域の絆の希薄化で会員加入率の低下を招き、自治会の自壊現象も始まっている。
市は、高齢者の在宅介護など地域で支え合うための担い手の一つである自治会とどう協働すればいいのか、今回の大きな争点の一つである。







