究極の再生可能エネルギーの時代へ
化石燃料によるエネルギー製造に伴う二酸化炭素排出が大きな要因とされる地球温暖化、事故発生時に甚大な被害をもたらす原子力発電からの脱却へ、有効な再生可能エネルギーの模索が続くなか、水と太陽から作り出す究極の再生可能エネルギーに希望の光が差しはじめた。スマートシティー、スマートハウスといったエネルギーの地産地消、自給自足社会の足音が近づいてきた。(松村好浩)
川崎市に自立型エネルギー供給システム
「H2One(エイチツーワン)」始動
昨年四月二十日、川崎市と東芝は神奈川県川崎市臨海部の市港湾振興会館(川崎マリエン)と隣接する東扇島中央公園で、再生可能エネルギーと水素を用いた自立型エネルギー供給システム「H2One(エイチツーワン)」の実証実験をスタートさせた。
このシステムは、太陽光発電施設と蓄電池、水から水素を製造するための水電気分解装置と水素貯蔵タンクなどで構成され、太陽光発電で得た電気で水を電気分解して水素を発生させて貯蔵し、その水素を燃料電池の燃料として使用することで、電気と温水を供給できるというもの。
同システムでは一時間当たり、最大一立方メートルの水素を製造し、最大二・五立方メートルの水素を消費する能力がある。水素貯蔵量は最大三十三立方メートルで、一時間に摂氏四十度の温水を七十五リットル供給できる。太陽光発電能力は三十キロワット、燃料電池出力は最大三・五キロワット、電力貯蔵量は三百五十キロワットアワーで、燃料電池効率は発電五十五パーセント、温水四十パーセントの合計九十五パーセントとなっている。都市ガスから水素を作る従来の燃料電池と違って、二酸化炭素を出さない。
実証実験は、平常時の電力の必要量に応じた水素の製造量、蓄電量、発電量を最適に制御する「水素エネルギーマネージメントシステム」と、災害時を想定した「水素BCP(事業継続計画)システム」について、その有効性の検証とシステム全体の効率化を、東京オリンピックが開催される平成三十二年度末まで実施する。さらに、水素備蓄能力の強化や、完全地産地消型エネルギー供給システムへの展開へつなげる。
電気の地産地消、自給自足が見えてきた
動き出したスマートシティー、スマートハウス
システムの魅力の一つは、災害時の威力発揮だ。水と太陽光があれば稼動できるため、災害時にはコンテナ型パッケージの同システムを被災現場にトレーラーで持ち込むことで、電気と温水が供給できる。
川崎市では、災害発生時に帰宅困難者の一時滞在施設に指定されている川崎マリエンにおいて、「H2One」を使って、一時滞在者三百人分の電気と温水が約一週間確保できる。
川崎市と東芝は平成二十五年に「スマートコミュニティの実現に向けた連携・協力に関する協定」を締結し、エネルギー、交通、生活など幅広い分野で連携して取り組みを進めている。
川崎市は総合企画局にスマートシティ戦略室を置き、水素エネルギーの積極的な導入と活用による「未来型環境・産業都市」の実現をめざしている。川崎駅前のスマートコミュニティセンターが起点となり、駅周辺のビル群のエネルギー管理、EVバス運行をはじめ、商業の活性化などに役立てる。
スマートハウスのパナソニック
パナソニックは、同社の触媒に太陽光をあてると水を水素と酸素に分解する光触媒技術を生かして、水素を家庭で簡単に作る技術の平成四十二年実用化をめざしている。
パネル状の光触媒装置を屋根に敷き詰め、太陽光で水を分解して得た水素を燃料電池の燃料にして電気と温水を家庭内で使えるようにするほか、燃料電池車の燃料にも使用するというもの。家庭で使用する電気の全量を賄う性能を視野に入れている。









