本庁舎60台で市民を常時監視
◇大津
大津市役所新館七階にある「市政情報課」は、市民が公文書などの情報公開請求を行う大切な場所である。その受付窓口に、情報公開請求の申請に訪れる市民を威嚇(いかく)するかのように防犯カメラが設置されている。最近、情報公開請求を行った主婦は「職員の安全のためというのが設置理由らしいが、これではあまりにも市民を信頼せず、犯罪者扱いですよ」と憤っていた。【石川政実】
平成二十四年三月、市政情報課に防犯カメラ一台(約二十五万円)が設置された。
中学生いじめ自殺事件で教育長が襲撃されたのも、この年の八月だった。同事件が契機になり、監視カメラは増え続け、現在、本庁舎だけで、生活保護相談室、戸籍住民課前、税窓口前など各課で約六十台に上っている。庁舎外を含めると昨年度末で五百二十八台だ。
市政情報課担当者は「担当課と対立関係になって、情報公開請求の申請に来られるケースが多いため、たまに怒鳴ったりされる方もいる。教育長襲撃事件のように職員がケガをすればだれが責任を取ってくれますか。監視カメラは絶対に必要です」と主張する。
市運用基準では、本庁舎に監視カメラを設置する場合、カメラを設置していることと管理責任者名を記載したステッカーを貼ることが定められている。いわば公開なのだ。
本紙が約六十台の監視カメラ設置場所を聞いたところ、市政情報課担当者は「どこにあるかがわかれば、監視カメラがない課が(市民から)狙われる可能性があり、公表はできない」と拒否した。
ちなみに県庁には情報公開請求ができる「県民情報室」があるが、同室担当者は「県民との信頼関係を大事にして、現在のところ監視カメラを設置していない」と言う。
山仲善彰・野洲市長は「監視カメラを情報公開申請の受付窓口に置くなど聞いたことがない」と首をひねる。
情報公開制度に詳しい同志社大学社会学部の小黒純教授は「教育長襲撃事件で一人の犯罪者があったと言って、他の市民を犯罪者扱いにして監視カメラを設置するのはいかがなものか。市情報公開条例第一条の『市民の知る権利を尊重』に反する。庁舎内に六十台とは驚いた」と目を丸くした。
情報公開と個人情報保護に取り組むNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「普通、情報公開申請を行うところは資料室も併設されるなどオープンな場だけに、監視カメラの必要があるか疑問です。市民を信用しない過剰反応とも言えます。監視カメラは、市民を監視するだけでなく、職員も監視しているわけで、労働環境の面からも検討されるべき」と指摘している。
市は今後、監視カメラ設置をどのように進めるべきか、再検討の必要に迫られそうだ。







