「教育・子育て予算の引き上げが先だ」
十月九日告示、十六日投開票の甲賀市長選は、四選をめざして出馬表明した現職の中嶋武嗣氏(68)に対して、元衆議院議員で新人の岩永裕貴氏(42)が「甲賀市の潜在力を生かし、人口減少に歯止めをかけ、市内旧五町の均衡ある発展をめざしたい」と名乗りを上げている。そこで本紙は、中嶋氏と岩永氏に同市の課題や政策を聞くことにした。今回は新人の岩永氏である。【石川政実・高山周治】
財政破たん招く「桜の杜構想」の見直し
トップセールスで 地域の潜在力引き出す
――出馬を決意した動機は。
岩永 私は国会議員として地方分権の推進に力を入れてきた。しかし、市内各地をあらためて歩いてみて、教育や福祉、産業で抱えている多くの課題を一日も早く解決しないと甲賀市は生き残れないと考えた。
例えば、甲賀市は十二年前に旧五町が合併した当時、人口目標は十万人だったが、今では九万人まで減少した。これはまちに魅力がないため若者が定着せず、市外へ流出しているためだ。このままでは税収が減り、行政サービスが低下することで、もっと住みづらい地域になってしまう。
しかし、市は課題解決にほとんど手をつけずに、七十億円もの豪華な庁舎を着工するなど順序が逆になっている。行政の透明化を徹底することで、市民目線に立った税金の使い方をすべきと痛感した。そこで、国政で培った経験と人脈を生かし、地元の元気を取り戻そうと、おおさか維新の会を正式にやめ、無所属による出馬を決意した。
――現在の中嶋市政は。
岩永 三期十二年の多選の弊害で、スピード感の増している時代の変化に追いつけていない。
例えば、小中学校の教育現場をみると、夏は扇風機、冬は石油ストーブと、昭和のレトロな風景のままだ。この原因は、教育予算が県平均(一人当たり四万九千円)と比べて二〇%も低いことにある。
県内の市の小中学校でエアコンがないのは甲賀市だけで、さらに電子黒板やタブレット端末といったIT教材も導入できず、教員研修の機会すら少ない。ちなみに甲賀市の小中学生の学力水準は全国最低水準と聞く。
このため教育予算をアップする必要があるのに、旧公立甲賀病院跡地(水口町)で計画する市の「桜の杜構想」は、住民への説明や、市議会での議論がほとんどないまま進められようとしており、財政破たんを招きかねず、是非とも見直したい。新たにいくつもの箱ものを建てるよりも、甲南庁舎等の利活用を図った方が費用対効果からみてベターだ。
――どんな政策を打ち出していくのか。
岩永 まず、人口流出に歯止めをかけるため、子育てしやすいまちづくりに力を注ぐ。目玉施策として、全国のモデルになるような経済的支援制度を創設して、子どもの育ちの環境格差を極力少なくしたい。また、教育予算をまず県平均レベルに底上げし、教育環境を向上させるほか、医療費完全無償化も小学三年から六年へ引き上げていく。
高齢者施策では、生活の足を確保するための乗合型タクシーの公共交通への導入や、訪問介護・医療の充実を図る。とくに訪問介護・医療は、深刻な介護職員不足もある中、市は、平成二十一年度に平気で介護補助金を三割もカットした。このような愚をやめ、介護職員の処遇を改善して、人材確保に努めたい。
産業では、市内に三つある高速道路のインターチェンジ周辺の企業誘致や、お茶、信楽焼、甲賀の薬などの地場産業の振興を図る。観光では、世界に通用するブランドである忍者や水口・土山の東海道宿など数々の文化遺産をトップセールスで売り出す。農業では国まかせにせず、甲賀らしい農業振興に市として全力で取り組む。
――選挙戦では何を訴えていくのか。
岩永 一旦立ち止まって、合併後十二年間のまちづくりについて市民の皆さんと考えたい。余談だが、ある団体が中嶋市長に公開討論会の出席を打診したのに、現職が断ったため中止となった。せっかく、市民の皆さんに分かりやすく建設的な政策を議論する場だったのに残念だ。選挙戦では、旧五町の個性を生かした均衡ある発展を訴えていきたい。







