「混沌」から「安定」へ クオリティー高い行政推進
5月1日、新元号「令和」が施行され、新たな時代の幕が開いた。「令和」の2文字には、「希望を大きく咲かせる時代に」という意味が込められる。そこで、本紙は新しい時代のスタートに際し、東近江市の将来展望について、小椋正清市長にインタビューを行った。(聞き手・高山周治、写真・古澤和也)
――東近江市にとって、平成という時代を振り返ってみて、どんな言葉に表せますか。
小椋市長 東近江市にとって、平成は、「混沌(こんとん)」の時代だった。1市6町の合併は、旧市町の住民にとって、自分たちの歴史が否定された、と感じた人も多かったのではないか。
そこで私は、鈴鹿の山並みから琵琶湖までつながるスケールメリットを生かしたまちづくりを推進していこうと掛け声をかけてきた。
例えば、合併前の行政単位で図書館がそろっている自治体はあまりない。廃止ありきでなく、プラス思考でクオリティー(質)の高い行政を推進したいと考えている。
――令和の幕開けに際して、まちづくりの思いをあらためてお聞かせください。
小椋市長 改元を節目に混沌の時代を終わらせ、安定へ向かいたい。
平成は、秩序破壊の時代でもあった。例えば、IT技術の進化で便利になった反面、人が互いに助け合う文化が薄れてきた。だからこそ今、東近江市に残る惣村の精神を大切にしたい。
もう一つは観光施策。まずは市民自身が地域の宝を「すごい」と見直し、ひいては首都圏などに発信し定住移住につなげたい。
太郎坊・阿賀神社(小脇町)は、5年間の努力で、今年3月、ようやく国の登録有形文化財に指定された。
また、万葉集を代表する歌人・柿本人麻呂と並び、「歌聖」と称される山部赤人を祭る山部神社本殿(下麻生町)も3月、市指定文化財に指定された。
市内にはこのほか、額田王と大海人皇子が相聞歌を交わした蒲生野があり、万葉の時代から連綿と歴史・文化・伝統が受け継がれている。市民はこれをきっかけにして、地域の宝を見直してほしい。
――2019年度が本格的に動き出しました。今年度の主な施策は。
小椋市長 八日市駅周辺の中心市街地活性化の歯車がようやく動き始めた。
常々言っているが、本市の商業中心性指標は0・85で、買い物客が市外へ流出している。これを、飲食や買い物ができる中心市街地をつくり、指標を「1」にしたい。いいものを供給したら、人は必ず集まる。
――中心市街地と一体とされる近江鉄道の鉄道事業について、支援する県と沿線市町は今年度中に存続を含めて今後の在り方について方向性を示すが、市の考えは。
小椋市長 県と沿線市町による法定協議会(今年10月に発足予定)は、近江鉄道の判断だけで鉄道事業を廃止できないよう、歯止めをかける役割を担う。
東近江市の協議のスタンスは、廃止ありきではなく、存続ありきだ。少子高齢化と人口減少の時代において、公共交通はますます必要となるでしょう。その前提にもちろん近江鉄道の企業努力がある。
このほかにも、道路や河川の改修、農林業の振興も重視している。危機管理対応では、頻発する自然災害のほか、インフルなどの国境を越える感染症やインターネットによる人権侵害の事案など新たな脅威に備えて、危機事案を一元的に総括し調整する危機管理監を新たに配置した。







