第3回近江商人のDNAを受け継ぐ~新八日市駅-平田駅~
近江鉄道は全線が59・5キロあり、駅数は33駅ある。このうち万葉あかね線(八日市線)は9・3キロで、7駅しかないのだが、同社の路線で利用者数は最も多く、観光・レジャーや買い物、通勤・通学など市民の毎日の暮らしに欠かせない重要な路線である。
最終回は、この万葉あかね線から、連載1回目で紹介した八日市駅を除く東近江市内の新八日市駅、太郎坊宮前駅、市辺駅と平田駅を案内しよう。
和洋折衷スタイルの新八日市駅舎、神々が集う天空のパワースポット太郎坊宮、市辺駅と平田駅周辺の寺社など、この辺りは、歳時記とともに地域住民や観光客、鉄道ファンの心を捉え、にぎわいをみせている。
ところで、我々が行った利用者アンケート調査では、万葉あかね線の利用者のうち、25・2%は観光・レジャーであり全体の利用者の4分の1を占めた。
びわこ学院大地域調査PT「近江鉄道十三景in東近江」
利用者の要望をみると、近江鉄道の本数増加とダイヤ改正が多かった。たしかに鉄道会社側の営業努力も必要だが、人口減少による鉄道利用者の母数減少が、廃線や路線縮小の根本的な原因のひとつである。
このため近江鉄道を守り継続するには、鉄道会社の営業努力だけでなく、沿線住民の主体性、行政の協力といった相互協力体制も必要である。
その一例として、連載第1回目で触れた、びわ学の学生たちが考え出した近江鉄道の活性化プラン「三方よし」を紹介したい。
大学生全員へのアンケートから判明したことは、キャンパスから徒歩1分のところに「大学前」駅があるにもかかわらず、近江鉄道の利用者は学生の8%に過ぎない。
学生が利用しない理由は、▽八日市駅での乗り継ぎ時間が長い(最長37分)、▽授業の時間割にあっていない(授業開始3分後に到着、授業終了の直前に発車してしまう)、▽1時間に1本しか走っていない―など。
これでは学生は、利用したくてもできなくなってしまう。そこで、うまく授業時間に合わせた電車が走っていれば、学生の利用が増加し、経由地の八日市駅周辺のお店へも立ち寄れば、経済効果が波及し、近江鉄道も経営が上向くのではないか?というのが「学生よし!地域よし!近江鉄道よし!」の主な内容だ。
もうひとつ、今、プロジェクトチームは市民有志と共に、クラウドファンディングを利用した試みを計画している。
集まった資金は、近江鉄道でかつて貨物列車として活躍していた、国内最古級(大正時代製造)の電気機関車ED31の市内での保全に充てる予定である。
保存活用プロジェクトでは、ED31型の保存だけでなく、近代産業遺産として観光事業への活用も併せて検討中で、全国的に情報発信する予定である。
さて、これまで3回にわたって、東近江市にある近江鉄道の13駅沿線の魅力再発見の旅を案内してきた。
同じ風景も角度をかえて見ると異なる表情が現れる。そして現地に足を運び、五感で四季折々の風景を感じ、豊かな時間を楽しんでいただきたい。
写真を通して学生の視点で発見された「美」、そして伝統文化資源のすばらしさを感じていただけると幸いである。
というわけで、このエッセイをお読みくださった読者の方が、少しでも意識して、近江鉄道を利用してくださることを願って、この連載を終える次第である。
本文=パン・ジュイン びわこ学院大学教授、スポット紹介=学生担当。
平田駅 御澤神社
池に囲まれた庭園のような境内は、夏場はとても心地よく、5月には藤の花が見頃を迎えます。また名水の地としても知られており、毎日多くの人が湧水を汲みに来ています。平田駅より平田町を南側に進み、田園を西へ進むと、丁字路にある「御沢神社」の石柱を目印に右手に曲がりすぐ。平田駅から御澤神社まで徒歩15分。
市辺駅 岩戸山十三仏
参道にはたくさんの石仏が奉納されている。岩戸山の山頂には、聖徳太子が自らの爪で彫ったと伝わる磨崖仏があります。新緑豊かな参道を歴史の風を感じながらハイキングしてみませんか。市辺駅より船岡山沿いに歩いて岩戸山麓への案内に従い登山口まで徒歩20分。登山口より山頂まで約1時間。
太郎坊宮前駅 太郎坊宮
古の時代から人々の信仰を集めたこの山は、神々が集う天空のパワースポットとして有名で、勝利と幸福を授ける神様として知られています。プロスポーツ選手や受験生、そして地域の人々から深く信仰されている神社です。太郎坊宮前駅から参道を徒歩15分。
新八日市駅 新八日市駅舎
ミント色の駅舎は町のシンボル。駅舎は木造二階建てで、築100年以上の歴史のある建物です。レトロな洋館風で、テレビ朝日の「報道ステーション」で生中継されたこともあります。多くの地域住民や鉄道ファンの方が訪れています。










