市の請求権の有無に波紋
【栗東】 2017年、栗東市で保存・作成中の公文書データ5万7千件以上を市職員A氏が故意に消去した問題に関し、昨年10月、「市はA氏に損害賠償を請求するべき」と求める住民監査請求が行われたことに対し、市は開会中の市議会3月定例会の答弁の中で「損害賠償請求は行わない」とする姿勢を改めて示した。
同問題とは、当時A氏が異動に伴い権限がなくなった後も旧所属のファイルサーバーなどへアクセスを繰り返し、データを故意に消去するなどしたこと。このため、後任担当者は時間外勤務でデータ復元を行った。
市は、A氏の行為は地方公務員法第35条職務専念義務の違反に該当するとし、20年にA氏を懲戒処分(戒告)した。
これに対し、監査請求では「A氏の行為は民法709条不法行為にも該当する」とし、時間外業務に支出された手当など17万円余を「損害として請求するべき」と市に求めた。
同年12月に出された監査結果では、A氏の行為は不法であり、支出された金額が損害となると認定しつつ、市が損害賠償請求権を行使することは「慎重に判断されるべき」として、棄却している。
同定例会で、改めて同問題の対応について問われた市は「監査結果を真摯に受け止める」とし、「市の業務全体や市民の生活に大きな被害がなかったこと」「監査結果を受け、A氏が被害相当額とされる金額を自主納付していること」などを理由に、「市に損害はなく、損害賠償請求権もない」と答弁した。
市議からは「市への損害を弁済するための自主納付なのに、市に請求権がないとはどういうことか。納得できない」などの意見が挙がった。





