貸付172億円、リーマン比27倍「子に迷惑かけられぬ」葛藤も
【県】 新型コロナ感染拡大の影響で減収した世帯に生活資金を貸し付ける制度で、県内の合計貸付金は172億8500万円(5月末現在)、件数で3万5千件(同)に上ることがわかった。これは、リーマンショック時(2009―11年度)と比べて貸付額は27倍、件数は11倍に達する。コロナ禍の長期化で深刻化している状況を、窓口の県社会福祉協議会、谷口郁美事務局長に聞いた。(高山周治)
―特例貸付制度とは。
厚労省が従来から設けている無利子の貸付制度で、緊急小口資金と総合支援資金の2種類あり、対象を新型コロナ感染拡大で減収した世帯に拡大した。
緊急小口資金は一時的に資金が必要な人向けに最大20万円、それでも不足すれば総合支援資金を最大で9カ月計180万円(ひと月20万円)を貸し付ける。
―生活困窮の広がりはどうか。
リーマンショック時では、製造業の盛んな大津市、長浜市、東近江市、甲賀市、湖南市の現役世代が多かったが、コロナ禍では県内全域に広がり、若者から高齢者まで幅広い。
また、もともと生活基盤の弱い人が多く、昨年11月末の調査では、正規雇用は2割にとどまり、利用者は不安定な労働環境におかれている。全体の9割が月5万円以上の減収。収入0円の世帯が2割となっている。
とくに女性がリーマン時は14%だったのに比べて、30%に増えたのが目立つ。ひとり親家庭だけでなく、大人2人が働いても、もともと低所得の家庭が減収すれば、切り詰める手立てはほとんどない。
例えば女性は非正規雇用が多く、休業などで減収した結果、預貯金を切り崩したり、食費や教育費を削らざるを得ない。
―返済(償還)が重荷になるのでは。
収入減で生活費の支援が必要な人に迅速な貸し付けを行っている。
返済は、早ければ来年4月から始まる予定だが、返済時に住民税非課税となった世帯は返済義務が免除される。
一方、これから返す自信がないので、借りずになんとかがんばりたいという人もいる。今は「子どもに迷惑をかけたくない」と借りるのをやめ、相談のサポートだけ受ける人もいる。
―貸付だけでは生活再建は限界という指摘もあるが。
自立への支援も重要だ。このため貸し付けを延長した世帯に対して、相談窓口の案内や暮らし向き(困りごと)を尋ねるアンケートを送ったり、子ども食堂や学習支援活動などと連携し、つながりが切れないようにしたい。
―今後の展望は。
困窮世帯は社会的に孤立しやすい。このため自治体と民間の支援団体などの連携が課題だ。ワクチン接種が行き届けば、もとの社会に一気に戻るのでなく、生活格差が拡大しており、困窮世帯への支援継続が求められる。県民の力も得て、できることから行う。







