「幻の安土城」復元プロジェクト
【県】 県が進めている「『幻の安土城』復元プロジェクト」ではこのほど、失われた「安土山図屏風(あづちやまずびょうぶ)」をはじめとする安土城関連資料探索事業に着手し、広く世界中に情報提供の呼びかけを始めた。
安土城は戦国時代、武将の織田信長が現在の近江八幡市内の湖畔に築城した大城郭。日本史上初の高層天主を有した豪壮華麗な姿はヨーロッパにまで伝わっているが、関係資料が少ないため実像の多くが謎に包まれている。
県では2019年度からその謎を解明し、目に見える形で復元することで安土城の価値・魅力を広く発信し、県や地域の盛り上がりにつなげることを目標に同プロジェクトを始動させた。昨年度には、デジタル技術を活用する復元の方向性を決定している。
復元にあたり、改めて関心が高まっているのが「安土山図屏風」の存在だ。同屏風は、信長が帰国する巡察使のヴァリニャーノに贈ったとされ、安土城と城下町が忠実に描かれていた。天正遣欧使節からローマ教皇に贈られ、ヴァチカン宮殿に飾られたことまでは判明しているが、その後、行方が分からなくなり、現在も所在不明となっている。同時代に描かれた安土城と城下町に関する唯一の絵画資料ともいわれ、これまで、県や当時の安土町も現地調査を実施したが、発見に至っていない。
県のプロジェクトでは、今回、以前の調査時より情報通信技術の発展やグローバル化の進んだ現在に呼びかけることが新たな発見につながることを期待し、改めて探索事業に乗り出した。
同事業では、まず同屏風が移動した可能性が高い国の言語(イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・フランス語・ドイツ語・英語)によるホームページを公開し、広く情報募集を開始、同時に多言語で情報を求めるチラシの作成・配布、在日外国人特派員への情報提供を始めた。
今後、屏風が移動した可能性の高い国の大使館など関係機関を知事が訪問して協力を依頼したり、文化財担当職員による有識者への意見聴取を実施、集まった情報を精査した上で必要であれば改めて現地調査も検討する。また集まった資料のうち資料的価値が高いものについては県に移管し、展示公開することも計画している。
定例記者会見で同事業について紹介した三日月大造知事は「寄せられた多くの情報が新たな発見につながり、復元が正確に進展していくことに期待している」と述べている。






