食肉公社が県庁で第4回理事会
【全県】 (公財)滋賀食肉公社は先ごろ、県庁で第4回理事会を開き、県家畜商業協同組合(家畜商=注1)の田中正一理事長、同組合の澤井隆男・副理事長、小椋正清・東近江市長、小西理・近江八幡市長ら14人の理事・監事らが出席した。「食肉公社と県副生物協同組合とは係争中だが、裁判所から和解勧告が出れば乗れるなら乗るべき」と円満解決を求める声が相次ぎ、公社は困惑気味だった。(石川政実)
田中理事「現場から食肉センターのあり方検討を」
関係者によれば、理事会では(1)公社と副生物組合との訴訟状況(2)県が進める滋賀食肉センターのあり方検討―などが話し合われた。
食肉の流通拠点を目指して、公社が食肉センターを近江八幡市に整備したもので、公社が同センターの管理・運営、(株)滋賀食肉市場が同センターで牛のと畜解体、副生物組合が内臓処理をしている。
田中理事は「副生物組合と公社は係争中だが、判決が下りるまでに必ず和解の話が出る。公社や県も和解に乗れるなら乗って円満に解決してほしい」と訴えた。
澤井理事も、田中理事に呼応して「出荷者側として、現場が混乱せずに内臓処理が安定的、かつ円滑に出来る形を望む」と述べた。
小西理事も「地元として、副生物(ホルモン)は重要な産業だけに(公社と副生物組合の関係が)円滑に進み、将来に向けて地元産業が保全されるような解決」を求めた。
別の理事は「公社と副生物組合が係争中だけに、周囲からは『まだもめているのか』とよく言われる。近江牛ブランドを傷付けないためにも、県は一度、副生物組合と話し合うべき」と促した。
公社の江島宏治理事長(副知事)は「頭から和解を受け付けないわけではない」と弁明。
県内3と場(当時の所在地=豊郷町、近江八幡市、大津市)を統合して2007年に食肉センターが開設されて約15年経過し、施設の老朽化も進んでおり、同センターの今後のあり方について、県は今年度中に“たたき台”をまとめ、来年度から現場関係団体などを交えた検討会を設置する。
小西理事は「県のあり方検討では、自家割り(注2)がよくないようになっているが、むしろ進んだ制度だ。近江牛の根っこにある自家割りを維持してもらいたい」と要望した。
田中理事も「3と場の1本化は、自家割りを認めることで成立したものだ。食肉センターあり方検討は、現場を知る公社、食肉市場、副生物組合、家畜商、地元首長らが話し合わないと、県だけで“たたき台”をつくっても絵に描いた餅」と指摘した。
理事会終了後の本紙取材に、小椋理事は「食肉センター開設の原点は、近江牛の振興、家畜農家の保護、地元産業の育成だったはず。だから公社や県はいつまでも裁判で争っていないで、近江牛をみんなで盛り上げていくべきだ」と呼びかける。
公社担当者は「これほど各理事から“和解”などの話が出るとは想定外」と神妙だった。
公社と副生物組合の訴訟経緯
副生物組合の理事長などを務めていた堀川眞智子氏(故人)は19年9月、恐喝容疑で逮捕(後に脅迫容疑へ変更)された。なお、今年1月、堀川氏の脅迫未遂事件は無罪が確定している。
公社は20年3月から副生物組合とコンプライアンス(法令順守)について協議を続け、同組合の役員交代などを求めた。この間、堀川氏は副生物組合の理事長を辞任した。
だが同年12月、公社は一方的に副生物組合に21年度の施設使用契約拒絶を通知。公社は副生物組合に替わる業者選定として公募型プロポーザル(企画提案型)の公告を行った。出回った怪文書の通り21年2月、プロポーザルで県外大手のS社が選定された。
一方、副生物組合は「契約は存在している」として大津地方裁判所彦根支部に提訴。公社も同年4月、副生物組合に対し未払い金を支払えと大津地裁彦根支部に訴えを起こした。
未払い金問題は、県(公社)が牛の年間と畜頭数を当初1万2千頭と設定していたのに、実際は約8千頭にとどまり、食肉市場や副生物組合の経営悪化を招いたのが要因の一つ。
昨年度の未払い金累計額は食肉市場が約7600万円、副生物組合が約3500万円だが、公社は食肉市場を提訴しなかった。
公社と副生物組合の係争により、公社はS社との契約交渉を中断。そして裁判の長期化で21年度が過ぎたため、公社とS社との契約交渉はご破算になった。
(注1)家畜商=牛の売買を営む人
(注2)自家割り=出荷者が食肉市場でと畜し、自分で持ち帰る仕組み








