災害に備える「滋賀モデル」
【全県】 局地的な大雨をもたらす「線状降水帯」への警戒が強まっている。今月2―3日には、和歌山県や静岡県で大きな被害をもたらした。そこで、災害時における高齢者や障害者らの「要配慮者」を地域ぐるみで避難を手助けする「個別避難計画」の取り組みを取材した。
災害時には高齢者や障害者に被害が集中する。西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に被害を及ぼした「平成30年7月豪雨」(西日本豪雨)では199人が亡くなり、このうち高齢者は7割の131人に上った。
県はこのような状況を受け、「誰一人取り残さない防災」を目指して、2020年度から防災と保健・福祉が一体となって「滋賀モデル」事業をスタートさせた。
具体的には、災害時に安否確認や避難誘導が迅速にできるよう、市町が対象者の名簿を作成し、本人同意を得た人については地域の支援者(自治会、民生児童委員など)へ名簿を提供。これをもとに一人ひとりの状況にあわせて個別避難計画(当事者情報、かかりつけ医、自宅見取り図、移動方法など)を作成する。
作成に際しては、市町が伴走支援する形で、自治会や、日常的に「要配慮者」に接しているケアマネジャーなどの福祉専門職と連携して進めている。
21年度からモデル地域として取り組む大津市は、優先度の高い地域として土砂災害警戒区域、大戸川や瀬田川などの大河川流域で0・5メートル以上の浸水が予測される地域に居住する要配慮者700人のうち同意を得られた3割を対象に策定を進める。
まず、ノウハウをもつ自治体と福祉専門職が計画を策定したうえで、地域との調整会議を開いて協力を得る。担当者は「避難には地域の協力が不可欠なので、意識を高める取り組みも進めたい」という。
また東近江市は、防災と保健・福祉をつなぐインクルージョン・マネジャーを配置し、関係団体への働きかけや協力、地域での研修を取り組む。
自治会によって温度差があり、地域に出向いて実施する研修は400以上ある自治会のうち1割にとどまる。
担当者は「制度自体を知らない人が多いのが現状。このため周知を進め、行政内でも情報を共有できる仕組みを進めないといけない」と話す。
一方で、県内19市町のうち未着手・未作成の自治体は、守山と竜王、甲良の3市町だった。竜王町は今年度中に関係部局で調整したいとし、「防災部局の人員を今後強化し、課題に対応したい」としている。
なお、国は2021年5月の災害対策基本法の改正に伴い、個別避難計画作成を自治体の努力義務とし、優先度の高い支援者は5年以内を目安に計画をつくるよう促している。






