大きく舵を切った副生物組合
【全県】 県内唯一のと畜場、滋賀食肉センター(近江八幡市)で肉牛の内臓処理をしている県副生物協同組合(刀根章理事長)はこのほど、(1)県が設置した「滋賀食肉センターあり方検討協議会」への同組合の参画(2)近江牛ブランドのために、現在係争中の同組合と滋賀食肉公社(江島宏治理事長)との和解に向けて三日月大造知事の力添え―を求める要望書を岡田英基・県農政水産部長に手渡した。同組合が県に対して初めて和解への意向を示したものとして注目される。(石川政実)
「和解提案が出れば乗るべき」と多くの声や
「公社理事会で和解の採決」求める意見も
県の主導で2007年4月に開設された食肉センターは施設や設備の老朽化など様々な課題があるため、県は食肉流通関係者らで同センターの今後のあり方を検討する協議会を立ち上げ、7月に第1回協議会を開催した。
ちなみに食肉センターは、公社がセンターの管理運営(施設使用料徴収)、(株)滋賀食肉市場が同センターで牛のと畜解体、副生物組合が内臓(ホルモン)処理を行う仕組みで、3者は不可分な関係にある。
しかし、県(公社)のと畜計画の見込み違いにより、食肉市場と副生物組合の売上げが伸びず、施設使用料の未払いが恒常化する。公社も、市場は07年から4年間、副生物組合には07年から9年間、支払いを猶予した。猶予期間終了後は、食肉市場、副生物組合がそれぞれ分割弁済中だが、22年度末の未払い金累計額は食肉市場約7100万円、副生物組合約3500万円に上る。
このような中、19年9月、副生物組合の堀川眞智子元理事長が恐喝容疑(その後、脅迫容疑に変更)で逮捕される。公社は、この事件を契機に未払い金問題を理由として20年12月、副生物組合に対し21年4月からの食肉センター施設使用契約の更新拒否を一方的に通知した。だが食肉市場には、更新拒否をしなかった。なお堀川氏は22年1月、無罪となる。
公社は21年2月、プロポーザル方式で副生物組合に替わる内臓処理業者に、出回った怪文書の通り県外大手企業S社を選んだ。
副生物組合も同月、公社に対し「契約は存在している」と大津地方裁判所彦根支部に提訴したため、公社はS社との契約締結交渉を中断。今度は公社が同年4月、副生物組合に対し「施設使用料の未払い金を支払え」と大津地裁彦根支部に訴えを起こした。これらの係争で公社とS社の契約締結はとん挫した。
公社は昨年11月、第4回理事会を開催したが、県家畜商業協同組合の田中正一理事長は「副生物組合と公社は係争中だが、裁判所から和解案が提示されれば、乗れるなら乗って円満に解決してほしい」と訴えた。
小西理・近江八幡市長も「地元として、副生物は重要な産業だけに、(公社と副生物組合の関係が)円滑に進み、地元産業が保全される解決」を求めた。
小椋正清・東近江市長は理事会終了後の本紙取材に「公社も副生物組合もいつまでも裁判で争っていないで、近江牛ブランドを盛り上げていくべき」と呼びかけた。
県のあり方検討会のメンバーの一人は、「公社と副生物組合の係争が、近江牛ブランドの評判を下げている。そのことが、和牛枝肉販売価格にも影響しているのでは。今後は理事会を開いて、和解するかどうか、採決をとるべき時」と提案する。
副生物組合は、これらの声を踏まえて三日月知事に、公社と副生物組合との和解に向けた力添えを要請した。
また副生物組合は17年から公社に対し毎月5万円の返済をしてきたが、先ごろ開催した役員会で返済金を月50万円に引き上げることも決めている。
図でも明らかなように、22年度の近江牛の月別枝肉販売価格は需給バランスが崩れたためか、低迷する中、近江牛ブランド振興のため副生物組合が和解に向けて舵を切ろうとしており、訴訟問題は次なるステージを迎えそうだ。







