杉本前県議「大野氏は利害関係者」
【全県】 大津地方検察庁が先月6日に大野和三郎県議(会派=無所属)の議員控え室を家宅捜索したことを受け、共産党県議団は同29日、大野氏の政務活動費二重取り疑惑に関し、政治倫理審査会(政倫審)の設置に賛同するよう県議会の各会派と県議に要請した。2月定例県議会の閉会日がこの19日に迫る中、本紙では今回のすべての原点といえる大野氏の不当要求疑惑を追ってみた。(石川政実)
「私が自身の利己的な要求をしたことは決してない」と大野氏は記者会見や政倫審の場で弁明した。
同氏は2021年11~12月、三日月大造知事や県農政水産部幹部らと16回面談し、県がJA全農県本部に対して、元役員が恐喝(後に脅迫に変更)未遂容疑で逮捕された堀川食品との取引を見直すよう指導することを執拗(しつよう)に求め、時には「どあほ」と暴言を吐きながら、「JAにけじめをつけさせなければ、県予算は認めないぞ」と凄んだ。
大野氏の意を即座にくんで、県農水部幹部は同年11月に全農県本部を訪ね、事前に手渡していたJAグループへの県補助金一覧表を示しながら「堀川食品との契約を見直してもらいたい」と迫った。
これに対し全農滋賀は、民・民の取引に介入する県に強い不信感を抱き、後日、県に照会状(質問状)を送付する事態に発展した。
大野氏のこれらの言動に対し、自民党を除く4会派は22年5月、議長に政倫審設置請求を行い、県議会初の政倫審が設置された。政倫審では、大野氏の一連の行為を政治倫理基準違反と認定したため、同氏は咋年2月14日、2月定例県議会の本会議で「深くお詫びする」と陳謝した。
しかし政倫審は大野氏の言動が議会の政治倫理基準の一つである「議員の品格と見識」に違反するかどうかの審査に限定したため、高圧的な行為の動機は解明されなかった。
●競合業者が大打撃
全農滋賀の畜産事業は、図のように全農滋賀から出荷された牛を、滋賀食肉市場が滋賀食肉センターでと畜解体し、その牛枝肉を全農栗東工場で堀川グループの県食品企業組合(県食品組合)が各部位に加工、また豚も当初は、県食品組合が請け負い、その孫請けとして大野氏の妻が代表(2月現在)の(有)Y・M・Oが豚枝肉加工を担っていた。
牛内臓(ホルモン)は、全農滋賀が滋賀食肉市場経由で堀川グループの企業組合堀川食品(堀川食品)に販売し、堀川食品はそれを販売・分配していた。
ところが県食品組合と堀川食品の代表(当時)であった堀川眞智子氏が19年9月、恐喝(脅迫にその後変更)未遂容疑で逮捕(22年1月に無罪確定)されため、全農滋賀は20年3月、県食品組合との契約を解除した。この間、堀川氏は県食品組合、堀川食品の各代表を辞任している。
全農滋賀は同年4月、県食品組合の従業員が独立して設立した(株)OSと業務委託契約を結ぶとともに、Y・M・Oを孫請けから下請けに格上した。
堀川食品については、代表が辞任しており、全農滋賀は従来通り牛内臓を堀川食品に販売した。堀川食品は全農滋賀の牛内臓の約90%を引き受けているだけに、食肉関係者の間では、この牛内臓は垂涎(すいぜん)のまとであった。
政倫審の委員であった共産党県議団の杉本敏隆前県議は大野氏の謝罪を目にして、「20年4月から、Y・M・Oが孫請けから下請けに格上げされるなど、大野氏は堀川食品や県食品組合とは競合関係にあり、紛れもなく利害関係者だった。同氏は自己の地位と権限を利用して、堀川食品の排除を県と全農に求め、私的利益を追求してきたといえる。全農全国本部の常務理事に対して、予算を盾に堀川食品との契約解除を求めるメールを携帯電話から送信したことは、この端的な証拠だ。その意味でも今回の謝罪で免罪されるものでない」と指摘していた。
このメールについては、本紙がスクープしたものだが、それによれば大野氏は21年12月、全農全国本部常務理事に「全農滋賀出荷分の肉内臓は、堀川食品が引き受けている実態が続いている。これについての説明責任が果たされないなら、JAグループへの県のすべての補助金は新年度予算には計上されなくなる」とのメールを携帯電話から送りつけた。
大野氏は県の予算を人質に、堀川食品との契約を見直すよう県や全農滋賀に激しく迫っていたのだ。








