地域おこし協力隊を支えて県全体盛り上げへ
【全県】 県内の地域おこし協力隊OB・OGらが現役の隊員をサポートする一般社団法人「しがごとまるごと協力隊ネットワーク」がこのほど発足した。
県によると、昨年12月現在、県内の10市町に45人の協力隊員が活動中で、地域資源を活用した特産品の開発やPR、空き家・空き店舗の活用など地域活性化に向けてそれぞれが取り組んでいる。一方、隊員の中には地域住民や行政とうまくコミュニケーションがとれず、孤独や不安を感じる人もおり、任期半ばで退任する隊員や退任後、赴任地から転居する元隊員も少なからずいることが課題となっている。
今回設立された同法人は、元東近江市地域おこし協力隊員の藤田彩夏さんを代表理事に、元同隊員の前川真司さん、元日野町地域おこし協力隊員の藤田ゆりさん、元長浜市地域おこし協力隊員の山瀬鷹衡さんが理事となり、「県内で活動する後輩隊員を支えたい」という思いで立ち上げられた。
代表理事の藤田さんは兵庫県伊丹市から東近江市に移住、2016年1月~18年12月まで隊員として活動した。活動中は、地域に眠っていた日本酒「百済寺樽」の復活に地域住民と一緒に取り組み、現在も地域活性化に関わっているが、「当初は、知り合いもおらず、誰に相談していいか分からなくて悩んだ。また、特に隊員の任期を終えた瞬間に行政とのつながりもなくなってしまったと感じ、とても不安だった」と語る。さらに後輩として活動していた隊員の定着が難しい課題について「自身の経験から、経験者などのサポートがあればもっと残ってくれたのでは」と述べる。
藤田さんは他の理事らと相談し、同法人を先月3日に設立。同法人では、(1)現役協力隊員へのサポート(相談対応や市町担当者とのつなぎ役など)(2)市町職員へのサポート(隊員募集からその後の伴走支援、定着支援、全国の事例紹介など)(3)OB・OGのつながりづくり(任期後の個別相談、ビジネスマッチングなどのサポートなど)に取り組んでいく。
同法人は先月13日、大津市におの浜1のピアザ淡海に県内の現役隊員、OB・OG隊員、市町職員などを招き、設立報告会を開いた。
報告会では、参加者らが佐賀県、愛媛県で発足している同様のネットワーク代表者らから活動内容と「隊員は全ての課題を自己解決しなければならないと思ってしまう」、「行政も部署異動などで隊員の任期満了まで伴走できないジレンマもある」といった話を聞き、同法人理事らを交え、協力隊の課題と現状、ネットワーク発足で描ける未来について意見交換するパネルディスカッションを実施、その後、参加者全員での交流会が催された。交流会では現役隊員らから「もっと地域の人や行政と一緒に学ぶ場所があれば」、「もっと滋賀のこと、地域のこと知っていきたい」といった意見が挙がっていた。
報告会後、同法人理事の前川さんは「隊員が取り組みたいこと、地域の人がやってほしいこと、行政が望む成果には差がある。このネットワークがその差を少しでもなくしていければ」と語り、同じく理事の藤田さんと山瀬さんは「活動コンセプトの『しがごと、まるごと』の通り、県全体をさらに盛り上げていければ」と話していた。
代表理事の藤田さんは「せっかく縁があって滋賀県の地域で活動をしている隊員が少しでも定着するきっかけになれれば」と意気込んでいる。
定例記者会見で同法人設立について触れた三日月大造知事は「頼もしく思う。県も隊員のサポートを行いながら、やりがいのある地域づくりに取り組みたい人を応援していきたい」と期待を寄せた。







